シリーズ <第107回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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キツネノタイマツ
(高さ 約8センチ)
2012年7月7日(土)

けいはんな記念公園

京都府精華町
 「ロウソク」より大きくて、柄と頭部にくっきり分かれている姿に「タイマツ」と名付けたことは、みごとなネーミングだと感心する。
 前夜から未明にかけて、安眠を妨害されるほどの豪雨だったが、本種がそれに耐えて立っていられるはずもなく、早朝から一気に伸びたことがうかがえる。
 頭部に付いている黒緑色のグレバ(胞子粘液)が特有の悪臭を放ち、ハエなどの虫を集めて胞子を運ばせる虫媒菌の仲間。撮影中にも小さなハエが、魅惑のニオイに引き寄せられてやってきた。
 イベントの打ち合わせで訪問して時間に遅れそうだったが、きれいな笹垣をバックにした新鮮な本種をやり過ごすことはできない。
 一気に伸びた「タイマツ」は瞬く間に勢いを失い、1時間後には倒れているに違いないのだ。  戻る


テングタケ
(高さ約6センチ)
2012年7月14日(土)

上野森林公園

三重県伊賀市
 最近のきのこフィギュアはかなり精巧な仕上がりのものがあるので、これを見付けた時は、誰かがフィギュアを置いたのかと疑った。
 そう思ってしまうほど均整のとれたスタイルと、均等に散らばるカサのイボと、等間隔にカサの縁に並ぶツバの破片だった。
 ツバはきれいな上向きで柄に付き、根元のツボもまさに本種の典型と言える形だった。
 しかもそれが、色鮮やかな苔の上にちょこんと立っていたのだから、自生していることに疑いを持っても不思議ではなかっただろう。
 これをモデルにフィギュアを作ればいいと思ったが、出来上がったものを見て逆に「出来過ぎ」と言ってしまうかも知れない。  戻る
 
  
アセハリタケ
(横幅 約11センチ)
 関東で2度、そして今回と3度も見れば「珍種」とは言えないのかも知れないが、新しい図鑑やネット上でもほとんど出てこないから、やはり珍しいのだろう。
 太さ12センチ、長さ20センチほどの朽ちた材(広葉樹?)から、明るい橙褐色の新鮮なカサが生えていた。撮影を迷ったが種名だけでも調べようと、一部を採取して驚いた。カサがべたべたと指にくっつくのだ。
 初めて見つけた2007年5月に、城川会長(神奈川キノコの会)に教わった粘着性の特徴を思い出し、裏側を見るとびっしりと針が並んでいた。改めて、じっくり撮影にとりかかった。
 初見の時にも本コーナーに登場していて2度目になるが、状態は過去2回より良くていい撮影ができた。  戻る
2012年7月29日(日)

むろいけ園地

大阪府四条畷市

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