シリーズ <第117回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ウラスジチャワンタケ
 モニターで構図を決めながら、記憶の片隅にこんな建造物があったような気がしていた。そうだ、思い出した!北京オリンピック(2008年)のメインスタジアム・・・別名「鳥の巣」と呼ばれていた外観だ。そして同時に「CG合成の花火」や「口パク歌唱の美少女」なども思い出したが、それは偏見に過ぎるだろうか?
 それにしてもきのこは、子孫を残すという目的のために実に多様なスタイルを見せてくれる。決して考えあってのデザインではないはずだが、太古の昔から生命はありとあらゆる可能性を試みて、どんな気候変動にもしなやかに対応し、そして、したたかに生き延びてきたのだろう。
 その気の遠くなるような連綿たる「命の系図」に比べれば、人間の英知など薄っぺらで、こざかしくさえ見えてしまう。   戻る
2013年 5月 6日(月・祝)

大和民俗公園

奈良県大和郡山市

ウラベニガサ
2013年 5月12日(日)

かいがけ道

大阪府交野市
 名前の通りカサの裏が紅色を帯びるきのこだ。実際はびっしり並んだヒダの表面で、胞子が成熟してピンク色になるので、カサが開いた成菌になって見ることができる本種の特徴だ。
 いつものようにローアングルに構図を決めて、ヒダや柄がよく見えるようにレフ板を当てた。ところが、本種の特徴であるヒダのピンク色がサッと消えて、真っ白になってしまった。これでは本種らしい写真にならないので、レフ板の強さを加減し、柄の部分だけに当たるように角度を変えて撮った。
 写真のジャンルにポートレートというのがある。俳優や芸術家などの著名人を、いかにもその人物らしい表現で撮る肖像写真だ。夏目漱石やピカソといえば、誰もが思い浮かぶ肖像がある。それを「きのこ」で表現したいと思う。そのきのこ「らしい」写真を撮りたいと狙っている。
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マツオウジ
2013年5月25日(土)

生駒山麓公園

奈良県生駒市
 いよいよマツオウジの季節が始まった。関西にはまだまだ松林が元気な山や公園が多いので、これからの季節は本種を見る機会が多くなる。
 もう何度も撮ったから今回はパス ・・・と言いたいところだが、本種はいつもスタイルが良く、株立ちになって元気よく生えているので、ついつい写欲をそそられてしまう。
 ちょうど1年前の本コーナーでも、5月の「きのこ探して」で5回も登場させてしまった・・・「しまった」と書いている。なるべく同じ種類を続けないように気を遣っているつもりだが、とにかく梅雨の前でこれだけの迫力を見せてくれるきのこは他にあまりない。今年は少し遅れ気味なのか、まだ3回しか登場していない。
 食用とするには好みが分かれているのが現状で、人によっては中毒を起こすようなので一般的には「有毒」という扱いになる。   戻る

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