シリーズ <第119回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ウラグロニガイグチ
2013年 7月 12日(金)

大和葛城山

奈良県御所市
 腰椎の手術から1ヵ月弱。まだスチール製の頑丈なコルセットは外せないから、ただでさえ汗の噴き出る猛暑では、とても歩く気になれない。
 まだ少し早いかと思ったが、避暑をかねて高山へ逃げることにした。ロープウェイの6分だけで、下界とは10度も気温差がある。
 モデルになるようないい姿のきのこは少なかったが、このウラグロニガイグチはちょうど撮り頃だった。構図を決めながら、これはきのこ界の「ネグロイド系」だなぁと思った。
 古い図鑑には「外見に似ず美味」と書かれていて、一度試したことがある。確かにヤマドリタケモドキと肩を並べるほどの味だった。しかし、その後は中毒する例があり、今では「毒きのこ」扱いとなっている。
 ビジュアル的にあまり美形のきのこではないかも知れないが、個性的という意味ではしっかり主張がある。 
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ヒメアワタケ
 実は本種の存在を知らなかった。直径2センチほどの小さなカサを見付けて、裏を覗き込むととても粗い管孔だった。こんなに粗いのはトゲミノヒメイグチぐらいだろうと思ったが、それのカサ表面は細かくひび割れる褐色で、本種の平滑な特徴とかなり違う。
 不明のままでページを作り、属だけでも調べようと「新菌類図鑑」を読むと「アワタケ属」らしいと分かった。さらに検索表を読むと、「子実体は小形で孔口は大きい」という本種に行き着いた。
 よく見ると管孔はなかなか複雑な立体構造で、オリーブ色の胞子が付いているのが黒っぽく見えている。色も形も美しい管孔だ。
 一方、トゲミノヒメイグチは、かなり昔に気まぐれで撮影をパスしたら、それっきり未だに撮影の機会が得られない。これを教訓に「きのこにこの次はない」を、我が座右の銘(!)としている。   戻る
2013年 7月21日(日)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市

ヤブレベニタケ
 珍しく形の整った赤いベニタケ属を見付けた。いつもならあまり写欲が湧かないきのこだが、このところ派手目のきのこが乏しかったので、じっくり撮ることにした。柄が真っ白だったのでドクベニタケだろうかと思ったが、ローアングルを撮ってみると、カサの紅色がヒダの縁に回り込んでいた。きれいなヤブレベニタケだった。
 ちょうどその時、年配の婦人が孫らしき数人連れで通りかかり、きのこの名前を尋ねられた。大抵は答えても覚えてもらえないことが多いが、その婦人は何度も繰り返して記憶に留めようとされた。そこで、きのこを採取して美しいヒダを見せてあげた。子供達もそれぞれゲーム機のカメラで、熱心に撮影していた。別れた後も、この日たくさん出ていたシロハツモドキを見付けて、楽しく撮影しているようだった。きのこに目を向けるきっかけができたかな?   戻る
2013年 7月28日(日)

大和民俗公園

奈良県大和郡山市

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