シリーズ <第120回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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サンコタケ
高さ約8センチ
 今までに見たサンコタケの中では最も大きく、そして最もいい状態で、さらに最も堂々として立っていた。サンコタケの色には2系統があって、一つは紅色系でもう一つが黄色系。この写真のものはオレンジ色だが、系統としては黄色の方だろうと思う。
 ハエを誘うためのグレバのニオイはかなり強く、撮影中は悪臭に包まれながらとなった。本種の属するアカカゴタケ科は、実に個性的なスタイルの集団だ。行燈(あんどん)、籠(かご)、烏賊(いか)や赤烏賊(あかいか)、さらには赤海星(あかひとで)というのもあって、いずれも負けず劣らずクサイらしい。同じようにニオイで虫を誘う「虫媒菌」には、もう一つスッポンタケ科というグループもある。こちらもなかなかの個性派ぞろいである。
 そのスタイルに決めた理由を、ぜひ聞いてみたいが・・・。 戻る
2013年 8月4日(日)

生駒山麓公園

奈良県生駒市

コツチナメコ
ツバの直径約7ミリ
 上に見える白っぽいのがカサで、その直径は1.5センチほどしかない。種名が分からないままカメラを構えると、モニターにきれいなツバが見えた。俄然、写欲が湧いてくるから不思議だ。以前にも「女性がアクセサリーにこだわる心境が分かったような気がする」と思ったことがある。
 ヒダを覆っていた部分が溝となって放射状に広がり、褐色は恐らく付着した胞子の色だろう。ツバから上の柄には胞子が付いてないので、カサが開いてから降り積もったのではなさそうだ。
 種名に「コ」が付くかどうかは、担子器を検鏡しなければ分からない。しかし、これだけ小さいと普通のツチナメコとは考えにくい。あるいは、どちらでもない「近縁の別種」も否定できない。
 私は、こんなツバの表情が撮れれば、それで満足だ。   戻る
2013年 8月10日(土)

矢田山遊びの森

奈良県大和郡山市

未同定イグチ
2013年8月14日(水)

大台ヶ原(東地区)

奈良県上北山村
 今年もまたペルセウス座流星群の見物を兼ねて、前夜から大台ヶ原へ入った。天の川のダイナミックな迫力と大きな流星群を堪能して就寝。
 早朝から歩き始めたが、この山には珍しく乾燥していてきのこが少ない。それでも、適度な間隔で被写体があり、それなりに楽しめた。
 高さ2mほどの岩の崖下にきのこを見付けて下りてみると、見慣れないイグチだった。管孔は黄色くて孔口が赤いので種名は絞れるのだが、知っているウラベニイグチの仲間とは特徴が合わない。
 柄の表面が独特で、赤い粒点や網目模様がなくて縦に長いかすり模様がある。上半分は帯オリーブ色、下半分は紫色が見える。
 HP「八重山諸島のきのこ」(高橋春樹氏)のデータでは、「アメリカウラベニイロガワリ近縁群」に属するのだろうか。気になる1種だ。   戻る

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