シリーズ <第134回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

9月   MVPtop   11月

クリフウセンタケ
(ニセアブラシメジ)
 今までクリフウセンタケを見たのは、やや標高の高い開けた落葉樹林だったので、これを見付けた時は「よく似た別種に違いない」と考えていた。まさかこの山で本種に出会うとは思ってもみなかったので、強く疑いながら慎重に特徴をチェックした。
 カサは黄色みの強い褐色、カサの縁には白い綿毛状の鱗片がある、ヒダは密で淡い褐色を帯びている、白くて長い柄は上下同径で屈曲している・・・どの部分もすべて本種の特徴だった。私のBEST5に入る優秀食菌だ。
 この翌日、台風18号が雨を降らせたので、脳裏には群生している様子が浮かんだ・・・のだが、そこは「気紛れ」が信条のきのこのこと、全くの期待外れ。予想外の出会いで喜ばせておきながら、きっちり肩すかしも用意している。こんな小悪魔的な魅力の虜になって翻弄されている、哀れなきのこファンはきっと私だけではあるまい。 戻る
2014年10月 4日(土)

神野山

奈良県山添村

ナヨタケ
2014年10月11日(土)

生駒山麓公園

奈良県生駒市
 「しまった、掃除する前も撮っておけば良かった。」と、撮影後になって思った。それくらい、息の詰まるたいへんな作業だった。バックに見えるつる性の植物がカサや柄の間に絡みついて、撮影を諦めさせるに十分な状態だったが、「なんとか頑張ってみよう」と思わせる、とても魅力的な被写体だった。
 カサの中央が橙褐色で高く盛り上がって、周囲には細い条線が弱々しく広がっている。柄は細長くてとてももろいので、少し乾くと簡単に折れてしまう。いちばん背の高いカサでおよそ高さ7センチ。なかなかこんな束生には出会えないので、じっくり気を落ち着けて撮影した。
 普通のアングルを撮った後は、いつもならローアングルの構図を決めるところだが、上から見たカサのバランスがとても良かったので、あまり撮らないハイアングルにしてみた。 戻る

ベニヒダタケ
2014年10月12日(日)

上野森林公園

三重県伊賀市
 当日アップした写真は、もう少しヒダをくっきりさせようとピントを深くしたものだった。そのため、バックの玉ボケ(木漏れ日の白丸)がこれより小さくて、ちょっと目障りだった。もっとも、この写真でもボケが小さくて、数が多すぎると感じる。
 今、主に使っているカメラは「ネオ一眼」と呼ばれる、高倍率ズームレンズ一体型のタイプ。何を撮るにもオールマイティーでとても重宝するが、表現にこだわると不満を感じることがある。レンズ交換が面倒でも、やはり一眼レフで撮りたくなる時が度々ある。
 それはさておき、この日の最初に見付けた本種は、目にも鮮やかな山吹色の小さなカサで、開き始めたヒダがわずかにピンク色を帯びたいいモデルだった。
 カサがもっと赤いヒイロベニヒダタケとともに、とても写真映えのするウラベニガサ属のトップモデルだ。
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