シリーズ <第136回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
<<<<< 2014年 12月 >>>>>
MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

11月   MVPtop   1月

クジラタケ
 「端正な管孔」・・・横浜の「新治市民の森」で定点観察を始めた頃に、本種の見分け方の一つとして教えてもらった。孔口の大きさが良く揃っていて全く乱れがない。純白であることも相まって「端正」の言葉は本種によく似合う。カサに厚みがあり、縁の部分に丸みがあるのが特徴だが、成長するとカサ表面に灰色の不明瞭な環紋が現れ、貝殻状に湾曲するようになる。
 新菌類図鑑U(保育社)によると、この成長による外見の違いからかつては別種とされていて、幼菌の方は「モンパタケ」と呼ばれていたらしい。現在は成長した方に付けられていた和名に統一されている。
 未だに不可解なのは「クジラ」の由来だ。どうやら、「巨大」という意味合いではなく、灰白色で丸みのある大きなカサからイメージされた名前のようだ。「きのこの語源・方言辞典」(ヤマケイ)には、鯨の骨に生えた旨の記述があるが、それは本種とは別の種のことらしい。  戻る
2014年12月 7日(日)

むろいけ園地

大阪府四條畷市

ワサビタケ
2014年12月21日(日)

くろんど池観察会

奈良県生駒市
 秋が深まり肌寒さを感じる頃になると、多くのきのこが一斉に姿を消して撮影行の楽しみが半減してしまう。そんな時、まるで慰めるように元気な姿を見せてくれるのが本種などの「冬きのこ」だが、今年は早々と10月下旬に出会ってしまい、「アチャー、もう冬になるのか・・・」と嘆いた。
 広葉樹の切り株や落ち枝に、たくさんのカサが並んでいるのをよく見るが、時どき、立ち枯れの高い枝などにも出ていることがある。
 この日の観察会でも落ち枝などにたくさん見ることができた。そして、何気なく見上げた立ち枯れの木に、頭上はるか高い所までびっしりカサを並べていた。
 カサの表面が見えない上に味のチェックもできないが、独特のヒダの色と太短い柄を見れば本種であることは間違いない。寒くなってからなら、本種を大いに歓迎する。  戻る

ネンドタケモドキ
2014年12月28日(日)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市
 長年EOS kissXの初代機「デジタルX」を使ってきたが、腰を痛めてからはアングルファインダーを使っても撮影に苦労するようになり、仕方なく「ネオ一眼」カメラに頼るようになっていた。しかし、やはりここ一番の撮影には不満が拭えず、今回、最新機の「EOS kissX7i」に乗り換えてマクロレンズも純正の60ミリを購入した。
 やはり、きのこ撮影にはバリアングルモニターが極めて優位であり、倍率1対1のマクロレンズも強力なアイテムになる。

 これは直径1センチほどの幼菌を等倍で撮ってトリミングしたもの。被写界深度を浅くすることで、管孔面が平面ではなく段差があることを表現できた。本種はカサの上面に粗い剛毛が密生するが、管孔面も指で触れるとゴワゴワした感触がある。この写真を撮りながら、なるほど、幼菌の時からその兆しありと納得した。 
 戻る

11月   MVPtop   1月