シリーズ <第139回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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フクロシトネタケ属
(旧シトネタケ属)
2015年 3月 8日(日)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市
 恐らく「オオシトネタケ」だと思うが、「フクロシトネタケ」の可能性も大いにある。この仲間は十分に成熟した胞子を検鏡しないと、正確な同定はできないようだ。発生する材の「針・広」で区別できるのでは?と、かつて目論んだことがあるが、そんな単純ではなかった。
 仕方なく当日の更新では「シトネタケ属」としてアップしたが、これもまた最新の分類では変更されている。旧分類(当HPでは現状これを採用)では「ノボリリュウタケ科シトネタケ属」だったが、今は「フクロシトネタケ科フクロシトネタケ属」になっている。
 テレビや新聞では春の訪れが近いと報じているが、まだまだ防寒対策が欠かせない毎日。そんな中で、「ウグイスのリハーサル」に耳を傾けながら見付けた、確かな春の兆しだ。みんな、コツコツと春に向けた準備に怠りがないのだなぁと感心した。 
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シャグマアミガサタケ
 シャグマとは「赭熊」と書いて、赤毛のクマのこと・・・と思っていたが、違っていた。仏教の高僧が持つ、柄の先に白い毛の付いたもの=払子(ほっす)の、毛を赤く染めたものを「赤熊・赭熊」(しゃぐま)、白い毛を「白熊」(はぐま)と言い、赤毛のクマは「赤熊」(あかぐま)と言うらしい。なるほど、このきのこを、白い柄の先に赤い房が付いている様子と見立てて名付けたようだ。
 3月の観察会は、このシャグマアミガサタケを見るために集まっているとも言えて、何個見付けられるかが楽しみになっている。この散策路沿いの斜面付近には、常緑・落葉の広葉樹ばかりで針葉樹がない。しかも、日当たりも風通しも良くて、こんな所にシャグマが?と首をかしげてしまう。サイズこそやや小型(高さ数センチ)ながら、その独特の色と火山噴火の噴煙を思わせる姿は、他種には見られない迫力がある。  戻る
2015年 3月22日(日)

くろんど池観察会

大阪府交野市

ムササビタケ
2015年 3月28日(土)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市
 昔、富士山で車中泊する予定で、前夜に富士山スカイライン(静岡県)を走っていた時、シカやタヌキ、イタチなどを見かけた後、30センチ四方くらいの四角いものが車のすぐ上をかすめて通過したことがある。すぐには何か分からなかったが、あれがムササビだったのかと嬉しくなった。
 きのこにはいろんな動物の名前が付けられているが、それぞれその動物が特別イメージできる訳ではなく、何となくそんな雰囲気という程度のようだ。このムササビタケも同様で、どんなに想像を膨らませても皮膜を広げて滑空するようには見えない。
 乾燥した日が続いた後の探索でやっと見付けたが、その割にはまずまずの鮮度だった。この付近では一年を通して本種をよく見かける。豊かな森の中で、せっせと頑張って枯れ木を分解している働き者のきのこなのだ。  戻る

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