シリーズ <第140回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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アクニオイタケ
 クヌギタケ属の仲間には、とてもいい被写体になってくれる種類が多い。代表的なものにチシオタケやコウバイタケなどがあるが、このアクニオイタケもその一つ。色は決して華やかではないが、均整の取れた三角のカサが、とてもバランスよく群生している。それぞれのカサが、全体のバランスに気を配りながら開いているように感じられる。撮影する側にとっては、誠にありがたい気遣い(?)だ。
 この日もたくさんの群生があちこちで見られ、いつものようにクローズアップやローアングルで表情を捉えていた。ふと、切り株の上に出ている色の濃い一群を見付け、不思議なことに普通に見下ろすアングルに、今までとは違う新鮮な美しさを感じた。色やくっきりした条線などの表情が、そう感じさせたのだろう。 
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2015年 4月11日(土)

神野山

奈良県山添村

未同定
2015年 4月12日(日)

高円山ドライブウェイ

奈良県奈良市
 去年、初めてカンムリタケの撮影に成功したが、狙った構図に不満が残ったので、再挑戦に出かけた。今回はマズマズうまくいって、「GALLERY」にも載せることができた。
 その撮影をしていてふと目に留まったきのこ・・・と言うより、直径2ミリほどの2つの白い点。以前なら撮影をためらうほどの極小菌だが、今のマクロレンズならきっと描写できるだろうと思った。
 モニターで拡大してみると、10本前後の粗い条線があり、なかなかいい表情をしている。少し離れた所には成菌もあって、そのカサは台形に開いていて、まるでカップ型で作ったババロアのようだった。
 図鑑を繰ってみてもこんな小さなきのこは見当たらず、柄がやや硬いような様子からホウライタケの仲間ではないかと思うが自信はない。とても儚げなきのこだ。  
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ヒメテングノメシガイ
2015年 4月19日(日)

くろんど園地観察会

大阪府交野市
 高さが約2センチの小さなきのこに、「天狗の飯匙」とはまたずいぶん大仰なネーミングだ。
 この仲間は外見の似た種類がたくさんあり、大きくはテングノメシガイ属とヒメテングノメシガイ属に分けられる。前者は子実体が黒い短毛で覆われ、後者には毛がない。なので、当日は後者の属名で掲載したが、観察会メンバーのDさんが検鏡された写真を見ると、子嚢胞子の隔壁が10前後とやや多いものの、ヒメテングノメシガイそのものとしていいような気がする。表題の「属」の字を小さくしたのは、その気持ちの表れだ。
 これは頭部が、中央の窪んだ紡錘形でとてもすっきりした姿だが、普通はもっと扁平になったり屈曲したりして変化に富む。担子菌に比べると、子嚢菌の方がより個性的なスタイルが多いように思う。なかなか写真向きの役者が揃っている。  戻る

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