シリーズ <第141回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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カンゾウタケ
2015年 5月 5日(火・祝)

大阪市立大附属植物園

大阪府交野市
 2日続けて夜半に雨が降った。久しぶりの雨だった。何か目新しいものに出会える予感がして、ほぼ1年ぶりにこの植物園を歩くことにした。
 いくつか鮮度のいいきのこを撮影した後、スダジイの林に差しかかった。「GW」と「シイの古木」・・・と、まるで連想ゲームのように、本種がありそうな気がした。
 10本ほども樹の根回りをぐるぐると巡り、「やっぱりないかぁ・・」と思った時、根の深い隙間の奥に小さな赤い粒が見えた。長さ4〜5センチの幼菌だった。狭い隙間にカメラが入らないが、幸いマクロレンズにはちょうどいい距離だ。ところが、レフ板に使うポケットミラーも入らない。そこで、アルミ製の物差しを下に置いたところ、ちょうどいい具合の明るさになった。
 ぐるぐる回った甲斐があったというものだ。
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アカショウロ
 大きさは長径でも1.5センチほどの小さな卵形のきのこで、全体が黄色くて所どころ赤いシミが見える。今までにも何種類かの「地下生菌」を見たが、本種は初めてだった。
 大雑把に「地下生菌」というくくりで考えがちだが、その中には子嚢菌も担子菌も含まれるので、分類としてのくくりは不適切だろう。有名なトリュフの仲間は子嚢菌であり、このショウロの仲間は担子菌だ。
 地下に潜ると胞子の拡散にとても不利になると思うのだが、虫や動物に食べられることでうまくこなしているようだ。スズメバチを誘うシラタマタケのように、特定の「お得意様」があるに違いない。
 ただ、いずれにしても写真の被写体としては魅力に欠け、写欲をかき立てられるものではないが、ユニークな生き残り作戦を執ってきたグループとしては興味をくすぐられるものがある。  戻る
2015年 5月17日(日)

くろんど池観察会

奈良県生駒市

ムラサキフウセンタケ
2015年 5月23日(日)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市
 もうすっかり「5月のきのこ」というイメージが根付いていて、雨の2日後に狙いを定めてこの森を歩いた。ところが、最初に見付けたのは直径10センチを超える、大きな老菌が2本。「ちょっと遅かったか・・・」と思った。
 しばらく歩いて、色鮮やかなヒメカバイロタケに引き寄せられた時、すぐ横にこれが立っていた。今まで見た中では最も「撮り頃」の1本で、俄然、じっくり撮る意欲が湧いてきた。
 ローアングルに構図を決め、肉眼でもほとんど見えない濃紺のヒダに、ポケットミラー2枚で光を送り込む。シャッターの度にモニターで確認しながら、絞りを変えて何枚も撮った。レフの光によって、カサの縁に青紫の明るい輪が現れたのも、写真のいいアクセントになった。
 狙い通りのきのこの、ベストショットを撮る。これが、きのこ撮影の「醍醐味」というものだ。   戻る

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