シリーズ <第142回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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アンズタケ属
2015年 6月14日(日)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市
 散策路脇の斜面、高さ1.5mほどの所に生える、小さな黄褐色のきのこを見つけた。初めキツネタケの仲間かと思ったが、ヒダの様子がなんとなく変だ。よく見るとそれは、脈連絡の少ないシワヒダだったので、ヒナアンズタケに近いアンズタケ属の仲間だと分かった。
 シワヒダと柄の境目がくっきりと分かれていて、白いシワヒダも印象的だった。当日、掲載する前にいろいろ調べたが、特徴の合致するものは見付からなかった。この仲間には、まだいくつもの名前の付いてない種類がありそうだ。
 後ろの1本が傾いていてちょっとバランス悪いが、なかなかいいポーズを取っているのでじっくり撮影した。カサや柄に付いた砂粒を刷毛で落とし、レフの光をいろいろ加減してみると、柄の明るさなどがちょっと神秘的な雰囲気になった。
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リュウコクヒナベニタケ
(小寺祐三氏仮称)
 去年、この斜面で初めてヒナベニタケを見付けて撮影した。今年も出ているなぁ・・・と思ったが、よく見ると紅色ではなくオレンジ色を帯びた赤い色をしている。サイズもヒナベニタケよりさらに小型で直径8ミリほどしかない。
 いつものようにローアングルに構図を取って、さらにびっくり、柄が白ではなく透明感のあるオレンジ色だ。1〜2年前からいくつかのサイトでこの仮称で見た記憶があり、ひとまず仮称種として掲載した。
 「資料館」に追加すべく仮称の「名付け親」を探したところ、なんとなんと、毎月参加している定点観察会のメンバー小寺祐三さんから、「龍谷大学の森で見付けた時に私が付けた」とメールをいただいた。
 ベニタケ属やチチタケ属は柄が裂けずにポキポキ折れる特徴があるが、この透明感のある柄がそうは見えないので尋ねたところ、「カサも柄も壊れやすい」という返答をいただいた。  戻る
2015年 6月14日(日)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市

ルリハツタケ
2015年 6月27日(土)

矢田山遊びの森

奈良県大和郡山市
 5年ぶりの再会だった。
 かつて神奈川県平塚市にいた時に、マイフィールドとして足繁く通っていた「高麗山(コマヤマ)」に、毎年のようにきれいなルリハツタケが出るポイントがあった。まるでラピスラズリのような澄んだブルーから、「高麗山の宝石」と呼んで撮影を楽しんでいた。
 発生場所が限られる点や、その特異な色彩から、きのこファンの垂涎の的となっていて、「一度は見たい」という声をよく聞く。
 この矢田丘陵にも生えるポイントがあるという情報は、以前からいただいていた。この日、見付けることができたが、ずいぶん早い発生時季に驚いた。そして、その場所はとても高麗山のポイントに似ていると感じた。
 奇しくも今月のMVP3種は、すべて矢田丘陵で観察したものだった。至近地にいい「きのこ環境」があるのは幸せなことだ。   戻る

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