シリーズ <第143回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
<<<<< 2015年  7月 >>>>>
MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

6月   MVPtop   8月

テングタケ属
 「おっ、いい被写体だ」と、すぐにカメラのセッティングを始めた。高さが8センチほどの黄色いテングタケ属だ。構図を決め、シャッターを切りながらも、頭の中では次々に「?」が浮かんでいた。
 カサの縁に条線があるのでキタマゴタケかと、カサの中を覗き込むとツバがない。それに柄が白すぎる。するとタマゴタケモドキか?・・・いやいや、それは条線がなくてツバがあるからもっと外れる。黄色いツルタケにヨソオイツルタケというのがあるが、カサ中央が褐色になるなど、これもまたずいぶん印象が違う。同様にコガネツルタケという種とも違うようだ。
 ドーンと範囲を広げてテングタケ属(Amanita)のネット画像を探し回ったが、結局、似たものに出会えなかった。珍種なのか新種なのか、いったいこれは、なんだろう? 仮称を付けるなら「ウスキツルタケ」か。 
  戻る
2015年 7月 5日(日)

大和民俗公園

奈良県大和郡山市

セイタカイグチ
2015年 7月11日(土)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市
 細身の体を少しくねらせ、ちょっと小首をかしげて立つポーズ。   きのこを擬人化するのは好きではないが、この時はモニターを見ながら「まるで少女が立っているような・・・」と感じた。
 この森ではかなり前に1、2度、本種を見かけている。この日も淡い期待を持ちながら歩いたが、記憶していた場所では見付からなかった。
 まだちょっと早いのだろう・・・と諦めて、適度な間隔で現れる被写体きのこの撮影に夢中で、すっかり本種のことは忘れていた。
 昼食のベンチからどのコースで車に戻るか、勘と経験を頼りに3つから選ぶのだが、今日は「めだか池」にしよう・・・と決めた。
 そして、池の横の階段を登ろうとした時、この「少女」が待ちくたびれた様子で立っていた。「おおーっ、あったー」と思わず声が出た。  
 戻る

コアラホウキタケ近縁種
2015年 7月25日(土)

くろんど園地

大阪府交野市
 定点観察メンバーのSさんから、きのこ情報メールが届いた。そこには幼菌の会のきのこ図鑑に載っている「コアラホウキタケの仲間」の写真によく似た、ホウキタケ属の写真が添付されていた。
 現地に赴き、撮影に至るまでにはいろいろ苦労もあったが、それはさておき・・・そもそも、なんでオーストラリアの動物の名前が付いているのか。キツネやイタチやムササビとは違って、とても違和感を覚える。
 思うに、コアラの前脚の指が枝をつかむ時に2本ずつになる様子に、本種の枝先が似ているからではないだろうか。※今井三子博士の命名で「小粗(コアラ)箒茸」であることが判明した。
 Sさんが検鏡された胞子は形、サイズともに本種に近いらしいが、この仲間は極めて同定が難しいようだ。成長とともに色や姿を大きく変えるものが多いため、得意の肉眼同定もおいそれとは通用しない。  戻る

6月   MVPtop   8月