シリーズ <第144回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ヌメリコウジタケ
2015年 8月 1日(土)

神野山

奈良県山添村
 8月の声を聞くと一気に夏本番となり、「連続猛暑日」の記録更新が始まった。平地を歩くのは精神的にも耐えられないので、気休めでもいいからと山に向かう。
 やや珍しいアイカシワギタケやササクレシロオニタケなどを撮った後、遠くに明るいオレンジ色のカサを見付けた。見慣れないイグチでしばらく種名が分からなかったが、管孔面を見ると特徴的な鮮黄色だった。カサと柄にヌメリがある点も考慮して、色の薄いヌメリコウジタケだと同定してアップした。
 それにしてもカサや柄が淡色過ぎると思っていたら、Sさんから「同じヌメリコウジタケ属にカサが青いものや淡褐色のものがあって、別種ではないかと言われている」との情報をいただいた。もしそうなら、この淡褐色は見たので、ぜひ青いカサというのも見たいものだ。
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ニガイグチモドキ
 今年も「あわよくば流星見物」のノリで前夜出発して大台ヶ原の駐車場に着いたら、3年ぶりの満天の星空でたくさんの流星を見ることができた。
 翌朝は霧が立ちこめ肌寒い中を歩き始めたが、カメラを向けたくなるきのこは少なかった。
 数種のきのこを撮った後、散策路の脇にとても新鮮なこの2本が立っていた。カサは明るい紫灰色で管孔面は白い。全体の印象はニガイグチモドキによく似ているのだが、管孔面が白いので違うだろうと思った。・・・が、他に思い当たる種類がない。
 そこで、1本を標本撮影して、その際に味見をしたところ、確かに苦いことは苦いがニガイグチモドキの強烈さではない。管孔の表面をよく見ると、孔口だけがごく淡いピンク色をしていた。どうやら、かなりおとなしい性格のニガイグチモドキだと思われる。  戻る
2015年 8月14日(金)

大台ヶ原(東地区)

奈良県上北山村

ベニナギナタタケ
2015年 8月29日(土)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市
 本種としては典型の姿ではないので、標本としては好ましくないが、この「巧まざる造形」の美しさに強く惹かれるものがあった。
 いつものベンチで昼食を済ませ、いつもこの先3コースのどれを選ぶかで迷う。その時、ふと針葉樹コースに目をやると、ヒノキの樹下にたくさんの赤い縦すじが見えた。ベニナギナタタケの群生が「今日はこっちが面白いよ」と誘っているように思えた。
 近付いて撮影を始めると、小さな球形になったトゲトゲのものやまるでニワトリのトサカのようなものなど、次々に面白い形が見付かり、普通の棒や針のような形よりずっといい被写体だと感じた。
 考えてみれば名前が「ナギナタ(長刀)」であり「ヤリ(槍)」とは違うのだから、むしろこの写真の方が名前のイメージに合うように思う。(高さ:約5センチ)   戻る

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