シリーズ <第145回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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キホウキタケ
2015年 9月12日(土)

神野山

奈良県山添村
 朝夕に少しずつ「秋の気配」を感じるようになり、やかましいセミが減ってコオロギが鳴き始めた。とは言っても日中は真夏日になり、まだミンミンとツクツクの大合唱が響く。
 山道を歩くと、そこここにヌメリコウジタケとチャニガイグチが数を競い合っている。見ると白いカビに侵されたものも多い。何か目新しいものはないか・・・と視線を走らせると、その先に鮮やかな黄色のホウキタケ属が見えた。去年、この付近で見たコガネホウキタケだろうと近付くと、雰囲気が違う。
 根元が細く枝先も長いので、これはキホウキタケだろう・・・と思いながらも、ホウキタケの仲間は難しいからと及び腰だ。成長とともにびっくりするほど変身するものが多い。
 しかし、当「ドキッときのこ」の伝統(!)として、直感と独断で言い切ることにしよう。    戻る

ウツロイイグチ
2015年 9月13日(日)

矢田寺へんろみち

奈良県大和郡山市
 ちょうど4年前、当地で焦げ茶色のイグチの老菌を見付けた。初めて見る種で名前が分からず、各部の撮影をして図鑑を見ると、どうやら本種らしいことが分かった。
 そこから少し離れた場所で、今回はきれいな成菌に出会った。「おっ、ウツロイや。」名前はすぐに分かった。
 図鑑やネットを見ると、カサの色にずいぶん変異がある。当地のものはかなり黒っぽいタイプで、カサも柄も暗褐色をしている。最も特徴的なのは柄の様子だろう。縦に長いかすり模様になって、白い部分が織り込まれるように混じる。そして、柄の上端と下部が白くなる。
 「うつろい」・・・なかなかいい響きで、濃い褐色のカサがやがて明るい色に変わっていく様を表していると、何かで読んだ。こまめな追観察は事情が許してくれないが、そんな移ろう姿も見てみたい。   
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ツネノチャダイゴケ
 自宅から2時間あまり、やっと着いた駐車場で予想外の暑さに驚いた。愛宕山へ来たくなった理由は実にたわいない。子供の頃に聞いた愉快な民話を、HPに書きたかったからだ。※当日の「きのこ探して」を参照
 「おおっ、白い。こんな小さいのか!」初めて見付けた本種の、あまりの小ささに驚いた。付近にたくさんあるのだが、どれも空っぽでカプセルの残っているのは数えるほどもない。何とかいい状態のものを集めて撮影した。
 チャダイゴケの仲間はとてもユニークな生態で、中にある胞子カプセル(小塊粒)の裏側に水で弾けるバネのような糸を持ち、外へ飛び出して草や動物の足に付いて遠くへ運ばれるらしい。小型のコチャダイゴケにはその仕掛けがないが、同じく小さい本種にはある。ぜひ、カプセルが飛び出すシーンも見てみたいものだ。
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2015年 9月26日(土)

愛宕山東麓

京都府京都市右京区

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