シリーズ <第146回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

9月   MVPtop   11月

ベニヤマタケ
 華やかないい被写体を見付けたと、喜んで撮影を始めた。時おり陽が差してとても撮りづらいので、白い傘を広げて直射を遮った。三脚にカメラをセットして大まかに構図を決め、レフ板の効果的な位置を探る。
 赤〜オレンジ色〜黄色と、カサのグラデーションがとてもきれいだ。大きく裂けているのは残念だが、これもある意味では表情があると思った。
 同じアングルで縦位置の構図も撮影して、いよいよ、期待のかかるローアングルに三脚をセットしようとした時だった。右の前にあった板チョコミラーのレフ板に、カメラの角がコツンと当たった。次の瞬間、信じられないほど恐ろしいことが起こった。ミラーが前に倒れて、手前のきのこを壊してしまったのだ。「うわっ、何とかなるだろうか?」と思ったが、万事休すとはこのこと。残りの2本だけでも撮ろう・・・という気には、なれなかった。
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2015年10月 3日(土)

神野山

奈良県山添村

ヒメロクショウグサレキン
 目いっぱい拡大しているので大きさが分かりにくいが、円盤の直径は2〜3ミリしかない。種々の材をろくしょう(緑青)色に染める菌の仲間で、本種を含め3種ある。
 基準種のロクショウグサレキンは円盤がやや大きく、全体が青緑色で皿状になる。やや稀で高山帯に多いようだ。「ヒメ」が付く本種は盤面が白っぽくてあまり窪まず、里山や平地でよく見かける。もう1種はロクショウグサレキンモドキで、同じく青緑色だが円盤ではなく、縁に柄が付いた団扇型になる。
 いずれも青く染まった木片や倒木はよく見かけるのだが、あまりきのこを作らないので、極小菌の割に写欲をかき立てる種類だ。特にこの神秘的な色が魅力だ。
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2015年10月 4日(日)

矢田山遊びの森

奈良県大和郡山市

スッポンタケ
2015年10月10日(日)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市
 ちょうど柄が伸びきったベストの状態のスッポンタケが、別のきのこを撮っていたすぐ先にあった。にもかかわらず特有のすえたニオイを全く感じなかったのは、おそらく風上にいたためだろう。撮影を始めると、本種特有の長く記憶に残るようなニオイが漂ってきた。
 頭部のグレバがきれいな深緑色だったので、マクロレンズでクローズアップしてみた。初めは白い縁取りがほとんどないが、次第にグレバが落ち着き白い畝が網目となって現れる。
 知人の I さんの観察で、これがちょうどハエの足場になっていると聞き深く納得した。確かに全体がネバネバではハエも止まりにくかろう。ハエの大きさによって自由に足場を選べる、とてもフレキシブルな構造になっている。つまりこれは、スッポンタケによる生き残りのための、一種の「お・も・て・な・し」なのだ。   
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