シリーズ <第148回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

11月   MVPtop   1月

ヒメホコリタケ
 まるでルーペで覗いているような写真だが、これはヒメホコリタケの表面をマクロレンズの開放絞りで撮ったもの。小型のホコリタケにはよく似たチビホコリタケもあるが、それは表面が微粉で覆われている。もっとも、この写真のものも、アラゲホコリタケモドキにかなり似ていて紛らわしい。
 私のきのこバイブル「新菌類図鑑」でも、本種の項に「外皮はさまざまで3〜4個の集合刺が多く」と書かれている。直径が1.3センチほどでトゲの長さもやや短いと判断して、いつもの通り「迷いを払って」同定した。
 だいたいが基準種の「ホコリタケ」ですら、大きさ、形、色、表面の様子などにとても変化が多く、肉眼的な特徴で細かく分けていったらキリがない。あまり大雑把に過ぎるのも問題だが、全部ひっくるめて「同種」と言い切ってしまえば実にすっきりする・・・が、それも能がないか。
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2015年12月13日(日)

上野森林公園

三重県伊賀市

フユノコガサ
2015年12月20日(日)

くろんど池

奈良県生駒市
 この前の週の「きのこ探して」には「暑い」と書いている。たった一週間で夏から冬への急降下・・・いや、垂直落下と言いたいほどの気温変化だ。
 観察会のいつもの集合場所である児童公園は、この朝、一面の霜に覆われて白くなっていた。しばらくは草や落ち葉に付いた霜の結晶を撮ったりしていたが、そこに点々とフユノコガサが生えているのに気付いた。先にスタイルのいいのを撮った後、日陰になった所にこの小さな1本があった。カサの縁が白っぽいのでよく見るとキラキラ光る霜の結晶が付いていた。
 エノキタケやヒラタケなど、寒い季節が好きなきのこが何種類かある。これもその名の通り「冬きのこ」の1種だ。カチカチに凍っても平気で、溶ければまた成長もする。なぜこんな季節に?と思うが、おそらく虫に食べられないように執った生き残り作戦ではないだろうか。 戻る

ミイロアミタケ?
未同定種の考察
 本年最後のMVPは「美の追究」ではなく、ちょっと「謎解き」を楽しむことにした。湿地に横たわる広葉樹の枯れ木に、見慣れない赤いカサを見付けた。2個とも円形に開いていてカサ径は約8センチと6センチ。同心円の浅い環溝があり、中心近くには隆起した環紋も見える。管孔は多角形で粗く 1ミリに2個ほどで、乱れはほとんどない。
 初め、この赤はミイロアミタケの環紋に見られる色だと思ったが、全体が赤いことや肉質が柔軟なため違うだろうと思った。しかし、@管孔の大きさ、A縁が鈍縁、B肉がコルク質で淡褐色、C1センチ以上の長い管孔、D白色腐朽、などから絞り込んでいくと、ミイロアミタケにかなり近付いてきた。
 採取して少し乾燥すると、カサはしっかりとした硬さになった。カサの色には疑問が残るが、それ以外の種とも考えにくい。さて、どうだろう?
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2015年12月27日(日)

むろいけ園地

大阪府四條畷市

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