シリーズ <第152回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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オオセミタケ
2016年 4月10日(日)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市
 例えば誰かに、1本のマッチ棒を森のどこかに立ててもらい、それを探し出してくることができるだろうか。それはもう、ほとんど不可能に近いことだろう。つまり、このきのこは探そうとしてなかなか見付けられるものではなく、たまたま視線の先にあって「おっ」と驚くきのこなのだ。
 ところが、今年はこれが4回目で、この後も1回見付けている。すべて単生だったが、場所によっては多数群生する場合もあると聞く。ひょっとすると今年は、例年より発生数が多いのかも知れない。もしそうなら、それは取りも直さずセミにとっての受難の年ということになる。
 今までに数回、掘り起こしてみたことがあるが、すべてアブラゼミ(と思う)の幼虫から発生していた。近年、関西ではクマゼミの方が多くなっているので、幼虫の見分け方をよく学習してから再確認してみたい。   戻る

フミヅキタケ
2016年 4月23日(土)

矢田山遊びの森

奈良県大和郡山市
 「魔が差した」のか、梅雨明けまで封印していたはずの神野山まで行ってしまい、午前の時間を無駄にした。
 急いでとって返して車を停め、気を取り直して歩き始めると、すぐにきれいなフミヅキタケの一群を見付けた。「やはりこうでなくては・・・」
 まばらに生えるいくつかを撮影して次に行こうとした時、少し離れた所にやや小ぶりなこの1本があった。コンデジだけで押さえておこうと低いアングルで撮ると、ちょうどカサから皮膜が離れてツバができるところだった。「おお、素晴らしい!」と、また三脚をセットして撮影再開。ツバの上にはヒダから落ちた胞子がきれいな胞子紋を描いていた。
 先を急いでなるべくたくさんの種類を見たいとも思うが、きのこは「一期一会」なのだからこんな瞬間は丁寧に撮っておきたい。これこそが、常々撮りたいと思っている「きのこのポートレイト」なのだ。    戻る

ケコガサタケ
2016年 4月24日(日)

大和民俗公園

奈良県大和郡山市
 コケや低い草が茂る地面に、小さなきのこが群生していた。きのこの業界用語(?)で言うところの、典型的な「LBM」だ。リトル・ブラウン・マッシュルームの頭文字で、小型の茶色いきのこ・・・つまり、種名の同定が困難な・・・と言うより面倒くさいきのこを総称してこう呼ぶ。
 高さは3センチほどで、細長い柄には粉状の微毛が付いていて、下に向かって黒っぽくなっている。カサは釣鐘型で放射状に粗い条線がある。これはどうやらケコガサタケのようだ。
 2本や3本並んでいるものをモデルに、いろんなアングルから構図を探し、絞りを変えながら何枚もシャッターを切った。小さくて迫力こそないが、こうして並んでいると可憐な表情がある。種名の同定はたとえ面倒でも、写真のモデルとしては何の問題もない。「LBM」のBがビューティフルなら、それだけで大満足だ。   戻る

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