シリーズ <第153回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

4月   MVPtop   6月

オリーブシワチチタケ
(川口氏仮称)
 何年か前、リンクサイト「きのこワールド」(山口県)の“吉敷川だより”コーナーに、一風変わったチチタケ属菌が載った。カサも柄も黒っぽいオリーブ色で、カサ表面には縮緬ジワが目立つ。一見したところカビに侵された状態のようにも見えたが、新鮮なもののようだった。後に川口泰史さんが付けられた仮称は、よく特徴を捉えていてすんなりと記憶に残る名前だった。
 そして驚いたことに、昨年の秋に観察会メンバーのSさん夫妻が、奈良県の春日山原始林で同種と思われるきのこを発見された。さらに、春にも発生したというので、ポイントを教えてもらって撮影に赴いた。
 うまい具合にいい状態のものが出ていて、撮影を楽しむことができた。現地ではもっと黒っぽい色に見えたが、緑色の強いオリーブ色はなかなか美しいものだった。ちょうどクロチチタケのような雰囲気があって、きっと近い種なのだろうと思わせる。とても印象深いチチタケ属のきのこだ。  戻る
2016年 5月 4日(水・祝)

春日山原始林

奈良県奈良市

ヒメクチキタンポタケ  どんなに可愛くVサインでポーズを決めてみても、その下の朽ち木に隠れた部分を想像してみると、やはり「気持ち悪い」「不気味」と感じてしまう人が少なくないようだ。そう、これは「冬虫夏草」の一種で、キマワリという甲虫の仲間の幼虫から生えている。
 数年前のこと、孫とおぼしき幼い女児の手を引いたお爺ちゃんに、何を撮っているのかと尋ねられたことがあった。「アリから生えるきのこ」だと答えると、無言で孫の手を引っ張って急ぎ足で行ってしまった。そんなおぞましいモノを可愛い孫娘に見せられない・・・その気持ちは分からなくもない。
 何を隠そう当HPでも、開設当初は「虫草」の掲載を避けてきた経緯がある。訪問してくれた方々に不快な思いをさせたくない・・・と。しかしそれは間違った考えだと気付いた。それは偏見をさらに助長する行為に他ならない。人以外のあらゆる生物の生き方に、善悪の違いなどないのだから。 戻る
2016年 5月14日(土)
イワシミズハチマングウ
石清水八幡宮
   ヤワタ
京都府八幡市

クリイロイグチ  本種を見るのはずいぶん久しぶりだと遡ってみると、3年前の秋、場所は・・・同じポイントだった。「ドキッと塾」の撮影会でのことで、その直前に見たきれいなベニヒダタケが印象深く、本種の記憶は薄れてしまっていた。きのこは今回の方が大きくて、とても新鮮なものだった。
 本種にはよく似た同属菌がもう2種あって、ちょっと見分けが難しい。1つは「クリイロイグチモドキ」で、サイズが同じ〜やや大きくて、もっと明るい褐色(黄土色)をしている。カサ表面の繊維がフェルト状(本種は圧着した短毛)で、柄の太さがよく途中で変わるのが特徴。もう1種は「ビロードクリイロイグチ」で、サイズは2種より小型で、より鮮やかな栗色をしている。カサ表面はビロード状で、柄が細いことで見分けられる。
 3種ともに共通した面白い特徴がある。管孔が真っ白なので、レフ板が強いと白飛びしてしまう。ちょっと撮影に苦労させられるグループだ。  戻る
2016年 5月28日(土)

けいはんな記念公園
   
京都府精華町

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