シリーズ <第160回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ムササビタケ
2016年12月 4日(日)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市
 私の撮るきのこ写真は主役が画面の中央にある、いわゆる「日の丸構図」と言われるものが多い。より芸術性の高い作品を撮ろうとするなら「日の丸構図」は避けるべきだ・・・と言われていることは、ある程度理解できる。しかし、私には芸術的センスが乏しいのか、イマイチ「日の丸」を外した構図の良さがよく分からない。
 このムササビタケのように、正面右側からの低いアングルで背景を入れ込む場合は、確かに左側を広くあけて倒木の斜めラインを出した方が良い・・・ことは分かる。広くあいた空間に、主役を引き立てる「何か」があって、そこへ移動した視線がそのまま彷徨うことなく主役に戻ってくる・・・なら、OKだと思う。そうした名脇役もいないのにセンターから追いやられた主役は、とても居心地が悪そうでかわいそうな気がするのだ。なので、これからも「日の丸」がきっと多い。戻る

ヒメスギタケ
2016年12月11日(日)

くろんど池観察会

奈良県生駒市
 今年最後の観察会は寒い一日だった。事前に申し合わせていた通り、昼食は湖畔の食堂で温かいものを食べてほっこりする。
 エネルギーを充電したところで午後の探索を始めたが、いつもなら何かしら面白い種類が見付かる竹林を歩いても何もない。しかし、さすがベテランの「きのこ目」メンバーが揃っているので、しばらくして薄暗い竹林の奥で「ヒメスギタケ発見!」の声が聞こえた。
 立ち枯れた広葉樹の根際に、本種としては大きめのカサが開いていた。カサと柄の表面には細かいトゲ状の鱗片があり、柄の上部は平滑で白っぽかった。撮影中は薄暗いこともあって、すぐ前に小さな幼菌が出ていることに気付かなかった。超ワイドレンズを使えば、幼菌を主役にして面白いシーンが撮れたかも知れない。いや、これだけ近いと地面を掘らないと無理かな?  戻る

ムジナタケ  今年一年を振り返ると、梅雨明け頃までは雨量が多めで、その後、過去に経験がないほどの「夏枯れ」となった。今年もまた気温の乱高下が頻繁に起こり、昔もそうだったのだろうかと首をひねる。
 仕事の都合で年末の繁忙期は日曜しか休めないので、12月は4回しか撮影に行ってない。毎回なにか目新しい種類を撮りたいと探してみるのだが、見付かるのはこの時季の定番きのこばかり。今年の最後に選んだ写真は、ムジナタケのヒダのクローズアップだ。
 1本だけポツンと生えていて、初めはササタケのように見えたが、撮影後にヒダを見ると「動かぬ証拠」があった。他の種類には見られないユニークな特徴で、このヒダのまだら模様は真っ黒になった老菌でもルーペで見ることができる。姿は地味なきのこで華やかさはないけれど、このまだら模様を見るたびに強く自己主張をしているように感じる。ヒカゲタケ属の一部にはヒダのまだら模様があるようだ。 戻る
2016年12月25日(日)

大和民俗公園

奈良県大和郡山市

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