シリーズ <第162回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ヒメコガサ
2017年 2月18日(土)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市
 カサの直径は約5ミリ。なので、周囲を取り囲む緑がまるで雑草のように見えるが、実際はコケの仲間だ。
 一年の内で最も寒いこの時季は、最もきのこが少ない時でもある。ひたすら「きのこ目」を研ぎ澄まして探しても、ただ甲斐もなく歩くだけになってしまう。だがしかし、そこで諦めてはいけない。必ず何かがある・・・そう自分に言い聞かせていると、こんな極小菌が見付かるものだ。
 和名は「タケ」を付けて呼ばれることもあるが、標準は「ヒメコガサ」だ。よく似たサイズで名前も紛らわしい「ヒナコガサ」という同属種があるが、それは針葉樹の材に生え、カサの頂部が尖る特徴がある。
 本日の貴重なモデルだからと三脚に一眼レフを載せ、マクロレンズで構図を取りピントを慎重に合わせ、2枚のポケットミラーでレフの光を当てる。
 春はまだ遠いな・・・と思った。 戻る

シャグマアミガサタケ
2017年 2月26日(日)

くろんど園地観察会

大阪府交野市
 実はこの日の前日、25日(土)は京都府精華町の「けいはんな記念公園」へ撮影に出かけたのだが、カメラを向けたくなる種類が何一つ見付けられず、更新を諦めた。
 そしてこの日もスタート時点では、傷んだ小さなハダイロガサがあっただけで、その先が思いやられる状況だった。ただ、他の場所で本種があったという情報を得ていたので、この公園での発生場所に期待を寄せていた。
 とは言ってもまだ肌寒い2月なので「空振り」は覚悟の上でポイントへ向かった。6人のメンバーがまさに地を這うように探したところ、なんと、カサ径1.5センチという小さな1本が見付かった。さらに少し離れて、もっと小さいもう1本もあった。
 こんなに小さくても「栴檀はなんとか」ということわざ通り、その姿はなかなか迫力がある。来月はもっとスケールの大きな姿を見たいものだ。 戻る

ヒラタケ  関東に比べてエノキタケやヒラタケなどの「冬きのこ」が少ないなぁ・・・と、言いかけたちょうどその時、このみごとなヒラタケの群生が見付かった。なのでその言葉は飲み込んで、なかったこととして撮影に取りかかった。
 陽が当たってまともに逆光になっていたので、いつもの日除け傘を用意しかけたが、ほとんどの部分は材の陰になっていたので大きめの銀レフを広げて撮影した。
 本種はエノキタケと並んで冬を代表する「優秀食菌」だが、近年そのヒダに線虫が寄生して多数のコブを作ることが多くなっていた。ここ数年はそんな様子を何度か見たことがあるが、今冬見かけた老菌などには一度も寄生がなかった。今回の群生も写真で分かるように、とてもきれいなヒダが広がっている。寄生の多発は一過性の現象だったのかも知れない。
 やはりその季節らしいきのこを見ると、いい年になりそうだと感じる。 戻る
2017年 2月26日(日)

くろんど園地観察会

大阪府交野市

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