シリーズ <第163回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

2月   MVPtop   4月

ヘリトリゴケ
(地衣類)
 これは石の表面に密着している地衣類の一種で、周囲の淡い水色が薄い層となって広がり、そこにかさぶたのような子器を作る。子器の大きさは直径1ミリ以下が多い。
 今まで地衣類にあまり興味を向けてこなかった。しかし、石の表面に生える本種を初めて見て、ネットで種名を調べる内にいろいろなことを知った。何より分類上は「菌類」であり、生き方として、有機物の分解をせずに藻類と共生して光合成をする道を選んだ「知恵者?」である。だからこそ石の表面だけでなく、もっと過酷な環境でも生きることができる。
 「生命の循環」の中で還元の役目を担っている「菌類」だが、その仲間である地衣類はひねくれ者の異端児かも知れない。しかし、考えてみればどんな生き物も、他の生き物のために存在しているのではない。それぞれが独自に「ひたすら」且つ「したたか」に命を繋いでいるだけなのだ。  戻る
2017年 3月11日(土)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市

ロウソクゴケ
(地衣類)
 ・・・とまあ、堅苦しい話はその辺にして、「菌類」の仲間でありながらあまり人気?のない地衣類に目を向けてみることにした。
 これは落ち枝上で見付けた、直径2センチほどの黄色い地衣類。その周囲で絡まりながら広がっているのは、コケ類のヤスデゴケの仲間だ。とても鮮やかな黄色が目に飛び込んできて、新鮮であることは素人目にも分かった。一見すると粉っぽい感じだが、よく見ると花びら状になっている。
 名前を調べるとすぐに本種だと分かった。そして、名前の由来も印象的ですぐに覚えられた。その昔、ヨーロッパで黄色いロウソクを作る色素として使われたらしい。
 今回のモデルは、言わば「幼菌」の段階のもので、普通は街路樹などに広範囲に広がっている黄色いものを見ることができる。改めて観察してみると、どこにでも必ずと言っていいほど目にする身近な「菌類」だった。 戻る
2017年 3月20日(月・祝)

むろいけ園地

大阪府四條畷市

モジゴケ
(地衣類)
 「う」や「と」、「ん」に似たものもある。それに英文字の「X」や「Y」・・・中には人が踊っているような形も。解読不可能な暗号文か、それともどこかの部族の呪文かも知れない? SF映画に出てくる宇宙人がこんな文字を使っていたような気もする。
 枝に広がる白い部分が本体で、表面に近いところに緑藻類の層があって、その光合成による養分を得ている。黒い文字の部分が「子器」で、その中に子嚢が並んでいる。よく似た種類がたくさんあって、学術的な分類も確定的ではないらしいので、ここでは代表的な本種としておく。近似種に「コモジゴケ」や「ニセモジゴケ」などがある。
 もちろんこの「文字」には意味があるはずもないが、偶然にも「短文」や「漢字」に見えたりしないだろうかと思う。もし見付けたら、撮影して「面白ぎゃらりぃ」に掲載したいと狙っているのだが・・・。  戻る
2017年 3月20日(月・祝)

むろいけ園地

大阪府四條畷市

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