シリーズ <第164回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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アミガサタケ
2017年 4月16日(日)

「ドキッと塾」撮影会

京都府精華町
「けいはんな記念公園」
 今年もまた「ドキッと塾」の撮影会をスタートさせた。第1回目のこの日は参加者5名で、あいにくの「快晴+夏日」という悪条件(?)の中での開催となった。そして恐れたとおり、参加者の撮影意欲に反比例してモデルがいない。昼食ポイントに近づく頃になってようやく、2、3種のきのこが見付かった。
 午後もほとんど被写体がないまま、コース終盤に差しかかると、やっとこの時期らしいきのこに出会うことができた。高さが5〜6センチの幼菌が数本まばらに生えていて、撮影を楽しませてくれた。
 いくつかの図鑑には「チャアミガサタケ」という名前で載っていて、アミガサタケの一変種という扱いになっている。窪んだ所の色がオリーブ褐色〜暗褐色という特徴なのだが、これは成長とともに薄くなり普通のアミガサタケと見分けが付かなくなる。別種?変種?それとも同種?・・難しい。戻る

ミイノモミウラモドキ  「水温(ぬる)む頃」・・・何と情緒のあるみごとな表現だろう。つい昨日までは水が冷たそうで手を浸す気になれなかったが、今日はもうひんやりと気持ちが良さそうだ。
 そんな澄んだせせらぎをバックに、小さなミイノモミウラモドキが並んでいた。そろそろカンムリタケが見頃だろうと、いろいろ撮影の作戦を練りながらやって来たが、期待したほどの群生ではなかった。そこから少し上流へと移動してみると、本種が4本立っていてその内の小さな2本がいいモデルになってくれた。カンムリタケとは違って、水辺が似合うかどうかは大いに疑問を感じるところだが、まさに「水温む頃」にピッタリの作品になった。
 落葉広葉樹の山々では、そろそろ新緑の季節を迎えようとしている。山裾を眺めると、モコモコと膨らんだ木々の脈が、山の頂に向かって伸びている。もっとゆっくり・・・と願っても、「春」はいつもとてもせっかちだ。  戻る
2017年 4月29日(土・祝)

春日山原始林

奈良県奈良市

クロコタマゴテングタケ
2017年 4月30日(日)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市
 おかしいのは自分の周囲だけかと思ったら、今年の「冬〜春」のきのこ事情が芳しくないのは全国的な現象のようなのだ。朝から「きのこ目」を研ぎ澄まして、どんな極小菌も見逃すまいと頑張っても、終わってみれば空振り。こんな日が何日もあったことは、過去に経験したことがない。
 しかし、この日はそんな失意の日々を忘れさせてくれるきのこに出会うことができた。この森で毎年今ごろに出る本種が、今年はやや遅れていたおかげで、この日ドンピシャで幼菌〜成菌の撮影を楽しめたのだ。
 テングタケの仲間といえば季節は夏から秋がピークだが、本種はなぜかまだ寒さが残るような早春に発生する。カサが白い「コタマゴテングタケ」の変種らしいのだが、春に生えるのは本種しか見たことがない。
 さて、来月からは今までのうっぷんを晴らしてくれる、こんないいモデルたちに会えるのだろうか。  戻る

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