シリーズ <第169回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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エイザンモミウラモドキ
2017年 9月10日(日)

ふれあいの森

大阪府四条畷市
 経験したことがないほどの「凶作」が、9月の声を聴いてもまだ続いている。そうなれば、もう大型はおろか中型きのこですら探すだけ無駄に思えてくる。
 そこでこの日は、初めから小さなきのこに的を絞って、新鮮な被写体がありそうな場所を選んだ。
 細い流水沿いの散策路に、点々と小さなきのこが並んでいる。コケの生えた垂直斜面に広く散生していて、一見クヌギタケ属を思わせる姿だった。カサの直径はほとんどが1センチ前後だったが、中に2センチに届く老菌があって、そのヒダを見て驚いた。なんとピンク色の胞子がたくさん付いていた。クヌギタケ属ではなくイッポンシメジ属だったのだ。
 帰宅後、図鑑を繰ると本種がよく似ていることが分かった。そしてその学名「mycenoides」(クヌギタケ属に似た)を見て、強く納得した。  戻る

キュウバンタケ
2017年 9月18日(月・祝)

神野山・木工館下

奈良県山添村
 8月10日に近畿に上陸した台風5号に続いて、18号も連休の近畿に向かって来た。予想よりやや北西にずれて日本海沿岸を北上したので、影響の少なそうな東方の山へ向かった。しかし、ここもかなり強い風が吹いたようで、道路にも山道にも落ち枝がいっぱい散乱していた。
 薄暗い林床に1本だけ、とても新鮮な小型菌が生えていた。直径1センチほどのカサには、淡い褐色の放射状の線が見えたので、直感でヌナワタケだろうと思った。ところが柄には全くヌメリがない。となると、もう一つの候補、キュウバンタケの方だ。
 当日の更新ではカサの表面の方にスポットを当てたが、ここではローアングルシーンを載せる。
 極めて緻密に作られたガラス細工のように、細い透明の柄がとても儚げだ。強いマイナス補正で撮影した写真をもとに、さらにトーンを落として仕上げた。 戻る

シロコナカブリ  ようやく朝夕に秋の気配を感じるようになって、野山にやっと群生するきのこが現れ始めた。しかし、まだまだ「凶作」の後遺症を引きずっているようなので、最後の1点も小さなきのこを取り上げることにした。
 他のきのこを撮りながらふと目を上げると、視線の先に真っ白な極小菌が数本見えた。細い透明の柄には白い微毛がびっしりと付き、カサの表面には白い粉のような鱗片が載っている。カサの直径は約7ミリ。
 柄の表情を撮ろうとした写真は、うかつにも現地で画像チェックを怠ったためにピントが来てなくてガッカリした。しかし、本種の名前の由来でもあるカサ表面の白い粉は、慎重にピント合わせをした。
 今月もまだきのこが少なくて小さな被写体ばかりになったが、肉眼で観察するだけでは気付かないミクロの世界には、目を見張るほどの美しいシーンが潜んでいることがある。それもまたきのこ撮影の醍醐味だ。  戻る
2017年 9月23日(土・祝)

大和民俗公園

奈良県大和郡山市
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