シリーズ <第171回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

10月   MVPtop   12月

クチベニタケ  男女を問わず「口数が多い」人は敬遠されがちで、特に男は人格を軽く見られてしまうことが多い。それでは、本種の口が一つ多い場合はどうなんだろう???
 今年のきのこ不作がずっと尾を引いて、とうとう爆生も見ないまま冬になってしまった。この日も手応えを感じる被写体はなく、足取りも重く引き返す道で数個のクチベニタケを見つけた。もう何度もここで見ているから・・・と、気の乗らない撮影をしていると、その中にこの1個があった。
 初めは、別の子実体から「クチベニ」が剥がれてくっついたのだろうと思ったが、モニターで拡大してもそんな様子には見えなかった。おそらく異常な発生をしたのだろう。
 ひょっとすると胞子を拡散する上では有利となり、自然淘汰で生き残る変異かも知れない。未来ではこれが普通になっている・・・かも?  戻る
2017年11月 3日(金・祝)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市

トガリフクロツチグリ  開いた直径が3センチほど。初めシロツチガキかと思ったが、内皮にはクッキリと白い円座があるのでフクロツチガキの方だと改めた。ところが、幸運にも付近に開く前の幼菌が2個あって、その姿はまるで「クワイ」そっくりに頂部が長く尖っていて、やっと本種だと分かった。
 今まで2度だけ本種を見ていたが、それはいずれも幼菌の状態だった。このヒメツチグリの仲間の幼菌はどれもよく似た球形か、少しだけ頂部が尖るものが多いが、本種の場合は強く突出しているので分かりやすい。幼菌は同定しやすいことが分かったので早く成菌が見たいものだと思っていた。
 今回、念願かなっていい状態の成菌を見ることができたので、内皮と円座の色や、長い孔縁盤の様子などしっかりと記憶しておきたい。それにしても、この仲間の種名は「・・ツチガキ」と「・・ツチグリ」が混在していてややこしい。全部「ツチガキ」に統一したらすっきりすると思うのだが。  戻る

 ※2015年9月27日に同地でヒナツチガキと同定したものは本種だった。
2017年11月12日(日)

くろんど園地

大阪府交野市

シロキクラゲ  きのこと言えば「食べられるか?」が、一般的には最も興味があるところだろう。このシロキクラゲはもちろん食べられる。しかし、それだけではない。どうやら健康増進や美容効果まで期待できそうなのだ。
 1300年前の中国では、世界3大美女として名高いあの楊貴妃が、こよなく愛した食材らしく、当時は同じ重さの金と取引されたとか・・・。
 現在でも栽培された乾燥品が食用として販売されたり、抽出エキスを使った薬用品や美容商品が流通されているようだ。ビタミンDやB2が豊富で、保湿成分も多く含まれるらしい。
 コナラなどの広葉樹の枯れ木や間伐材によく発生していて、乾燥保存も容易にできるので、積極的に採取して常食してみてはいかがだろう。ひょっとすると、不老長寿と美貌を両方とも手に入れることができるかも知れない。もちろん保証はできかねるが、信じれば報われるのでは・・・?  戻る
2017年11月26日(日)

矢田山遊びの森

奈良県大和郡山市

10月   MVPtop   12月