シリーズ <第175回> | 竹 しんじ |
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自選 《月間MVP展》 <<<<< 2018年 3月 >>>>> |
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO |
一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。
2月 MVPtop 4月
アクニオイタケ | 前回、魚眼レンズを使ったのがいつだったか、もう思い出せない。それだけ、このレンズを使いたくなるモデルに会えなかったということだろう。 この日の観察会では「春きのこ」として定着の、シャグマアミガサタケやトガリアミガサタケを見ることができたが、なぜかこの観察地に多いはずの本種が見当たらない。ちょっと遅れているのかなぁ・・・と、諦めかけていた時、朽ちたマツの倒木の下にこの群生が見つかった。下の方のカサは生え方が乱れているが、目いっぱい接近しても左右が広く写りこむレンズは、こういう被写体に向いている。中央付近のカサはレンズ前2センチほどの所にあるので、レフ版でうまく光を回すのが難しい。 不作だった去年のうっぷんを晴らすような、勢いのある群生に出会う機会が多ければ、きっと魚眼レンズの出番も多くなるはずだ。肉眼で見る姿とは違う、迫力のある「きのこ写真」をいっぱい撮りたい。 戻る |
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2018年 3月18日(日) くろんど池観察会 奈良県生駒市 |
オオシトネタケ | 3月に入ってこれが2回目の観察だが、1個だけより3個並んだ表情がいいのでこちらを選んだ。とは言うものの、これを本種だと言い切るのはやや強引な感じもする。見分けがつかないほどソックリな「フクロシトネタケ」という別種があるからだ。生える木の種類(針葉樹or広葉樹)で区別可能かと期待したが、そうは問屋が卸さないらしい。最近では分類の「属」までが、揺れ動いたりしている有様だ。正確に種名を同定するには、十分に成熟した子嚢胞子を顕微鏡で観察する必要がある。 しかし、いずれにしてもこの仲間の幼菌を見つけると、「やっと春が来た」と実感することができる。成菌は直径20センチになることもあって、激しく波打つ表面は一種のグロテスクさを感じる姿になるが、出始めたばかりの幼菌はとても可愛い。そのギャップの大きさはなかなか面白く、このあどけない表情からはとても成菌を想像できない。 戻る |
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2018年 3月21日(水・祝) むろいけ園地 大阪府四条畷市 |
ヒメクズタケ | 漢字で書けば「姫屑茸」になる。屑扱いにするのは可哀そうだが、確かにカサ径1センチほどでコケの上に点々と広がる生え方は、きのことしては取るに足りない印象を与えるかもしれない。しかし、分類では幻覚性の毒を持つ種類が多く含まれる「シビレタケ属」の仲間で、本種も同様の有毒種だとされている。 カサも柄も全体が赤褐色で、乾くと黄土色になってしまう。しゃがみ込んでよく観察してもあまり魅力を感じるような姿ではないが、もっと視線を下げて虫が見上げるようなアングルで見ると、思いもよらぬ美しい表情が見えてくる。ヒダの幅が広く、柄に弱く垂生していて、均等に並んだ小ヒダの様子もとてもいい。 一眼レフに60ミリマクロを付けて、目いっぱいのローアングルで撮った。改めて「屑」という不当な扱いに、強い不満を感じた作品になった。 戻る |
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2018年 3月24日(土) 太陽が丘公園 京都府宇治市 |