シリーズ <第176回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

3月   MVPtop   5月

カンムリタケ  再会を待つこと10数年、この森に毎年出ると観察会メンバーのS夫妻に教えてもらい、やっとカメラに収めたのが今から4年前。それから毎年この時期になると撮影に向かうのだが、当初から狙っているシーンがなかなかうまく撮れなかった。
 澄んだせせらぎに好んで生えるという本種なのだから、何とか「水鏡」に映る写真が撮りたい。ところが、これがなかなか難しくて思うように撮れない。しかも現地はせせらぎだから、膝を付くことができないまま低い姿勢を強いられる。10カットも撮ればもう足腰が悲鳴を上げ始める。
 今回は少し上流まで探索して、小さな群生を狙ってみた。水面の像をクッキリさせるにはなるべくアングルを下げたいが、三脚に載せていては限界がある。三脚の脚にカメラ座布団を載せてカメラを据え、やっと納得のシーンを撮ることができた。カメラが水没しないかとひやひやの撮影だった。戻る
2018年 4月15日(日)

春日山原始林

奈良県奈良市

ヒメアジロガサモドキ
2018年 4月21日(土)

けいはんな記念公園

京都府精華町
「ドキッと塾」撮影会
 「ボク、お名前は?」とか「あんた、だれ?」とか尋ねて、名前を教えてくれたらいいのだが、きのこはいつも「ただ座して語らず」・・・イヤ語ったら怖い。
 今年最初の「ドキッと塾」きのこ撮影会で、なかなかいいモデルが見つからない中で、メンバーのSさんが「発見!」と声を上げた。見るとそこに、小さいながらもスタイルのいいきのこが立っていた。中高に開いたカサは全体に白っぽくて手掛かりなし。「これは同定困難」と思いながら柄を覗き込んでみると、そこに帯状のオレンジ色のツバが見えた。「わたくし、こういうものです。」と、まるで名刺を差し出されたような気がした。
 季節、発生場所、カサの形、そして柄の上部にあるオレンジ色のツバ。これは紛れもなく「ヒメアジロガサモドキ」だ。どんなきのこもこうやって、自己紹介をしてくれると嬉しいが。戻る

ニセヒメチチタケ  本種を初めて見たのは2007年5月で、場所は箱根にほど近い函南原生林だった。落ち枝の下に群生していて、見つけた時は名前が分からなかったが、ヒダから白い乳液が出たのでチチタケの仲間を調べると、種名はすぐに分かった。関東にいた間は他で一度も見なかったので、これは高山性の希少種に違いないと思っていた。
 ところが関西へ帰ってくると、あちこちの里山や公園で極めて普通に見られることが分かった。2011年に今の定点観察会に初参加した時、小さなチチタケ属菌の同定された名前を聞いて驚いた。「まさか、あのニセヒメチチタケがここに?」と、認識の誤りを教えられた。分布に「西高東低」の傾向があるようだ。
 この日もあちこちに散生していて、状態のいいものを選んで撮ることができた。柄の白さが特徴なので、こんなアングルで「らしく」撮れる。 戻る
2018年 4月30日(月・祝)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市

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