シリーズ <第174回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ハカワラタケ
2018年 2月 4日(日)

けいはんな記念公園

京都府精華町
 毎年感じることだが、この2月の「月間MVP」が最も苦労する。手がかじかむような寒さの中ほとんど何も見つからず、ただ時間だけが過ぎて行く時、毎回のように「今日の更新は無理かな?」という思いが頭をよぎる。
 それでも何とか、カメラを向けたくなる被写体を見つけて何カットか撮るうちに、この季節ならではのシーンを捉えることができる時もある。
 この写真は、太い間伐材に生えたハカワラタケの老菌だが、その表面に緑藻類が広がって緑色になっていた。普段ならこれにレンズを向けることはしないが、この日は寒さのためにそこに霜が降りて「冬化粧」が施されていた。
 改めてカサの形や緑藻の色合い、霜の付き具合など、絵になる構図を探して何カットも撮った。もう少ししっかり霜が付いていて欲しかったが、寒がりだから贅沢は言えない。 戻る

ウスバタケ  この冬は気温の高低変化がほとんどなく、ずっと寒いままの毎日だ。晴れていても陽射しに力がなく、陽だまりでホッとするということがない。
 この日も数種類のきのこを撮影したものの、どれもいい被写体とは言えず、「きのこには違いない・・・」という程度のものばかりだった。「まあ、今は仕方ないか」と帰りかけると、立ち枯れた木の幹に白い背着菌が広がっていた。一見したところ新鮮そうだったので、ルーペを取り出して表面を覗いて見ると、そこには管孔でも針状でもない、独特の薄刃がびっしりと並んでいた。
 そのきのこの「最もそのきのこらしい姿」を追いかけている私は、本種のきれいな状態に出会えて大きな手応えを感じた。この日はロクな写真が撮れてなかったが、この1種で寒い中を我慢して歩いたことが報われた気持ちになった。これも「きのこのポートレート」なのだ。  戻る
2018年 2月18日(日)

ふれあいの森

大阪府四条畷市

エゴノキタケ
 モニターを見ながら「前に撮った覚えのある写真だなぁ」と思った。その記憶をたどってみると、去年の1月にこのコーナーに載せた「チャカイガラタケ」だった。確かにこの2種は、カサの表面を見ただけでは見分けができないほどよく似ている。しかし、記憶の中の違う方の姿まで思い起こさせるとは、改めてそのソックリぶりに驚かされてしまった。
 本種は名前の通りエゴノキにしか生えないから、本種が生えた木は間違いなくエゴノキだ。しかし、厄介なことにエゴノキにはチャカイガラタケも生えるので、エゴノキに生えているのがエゴノキタケとは限らない。事実、今までに何度も同定を間違えた経験がある。この2種を見分けるには、ヒダの粗密をチェックするしかない。チャカイガラタケに比べると、エゴノキタケのヒダは極めて粗い。見慣れてくると何となく、カサの表面でも見分けられるような気になるが、どっこい、それできっちり騙されてしまう。  戻る
2018年 2月25日(日)

くろんど園地

大阪府交野市

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