シリーズ <第177回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

4月   MVPtop   6月

アルポバ・ディプロフロエウス
Alpova diplophloeus
 近年、「地下生菌」が注目を集めているらしい。文字通り地下にきのこを作る種類のことだが、菌類の分類上のグループではなく、担子菌や子嚢菌などが混在している生態分類の集団で、あの「トリュフ」もその仲間だ。
 きのこが子孫を残す方法として、柄を延ばしてカサを広げて胞子を空中に漂わせたり、チャワンや皿型の表面から胞子を吹き飛ばしたりと様ざまな手段を取っている。それぞれ多様な戦略を使って、積極的に胞子を拡散するためにエネルギーを使っている。
 しかし、地下生菌たちはそれをやめてしまった。小さな球形の塊の中に胞子を作り、あとはひたすら何かを待っている。どうやら、特有のニオイを放って虫などを誘い、食べられることで胞子を拡散させているようなのだ。
 この日見つかった本種は、ハンノキの樹下に発生する特徴から種名が同定された。およそ写真映えするきのこではないが、生態が興味深い。戻る
2018年 5月20日(日)

くろんど池観察会

奈良県生駒市

ヒメカタショウロ  誤解のないように初めに書いておくが、本種と次の「ザラツキカタカワタケ」は地下生菌の仲間ではない。成長するにつれて、頂部の表皮が破れて開き、成熟した胞子を自らまき散らすからだ。
 大きさは直径1〜3センチが多く、地面に半分埋もれて生えている。採取してみると白い根のような菌糸がたくさんある。毒を持っているようなので、ショウロなどと間違えないように注意が必要。
 この日の「ドキッと塾」撮影会は、雨のタイミングもまずまずなので期待したが、やはり梅雨前のこの時期はとてもきのこが少ない。会の性質上、美しい被写体を求めてひたすら探すのだが、気が付けばフォトジェニックでもないきのこの「観察会」になってしまう。ナイフで切断したり、ニオイをチェックしたり・・・と。解散前のきのこ談議もあまり盛り上がらず、いったい「きのこスイッチ」の条件は何なのだろうと、首をかしげた。  戻る
2018年 3月26日(土)

けいはんな記念公園

京都府精華町
「ドキッと塾」撮影会

ザラツキカタカワタケ  本種の名前については面白いエピソードがある。古い図鑑などを見ると「ザラツキカタワタケ」という名前で載っている。やがて「カタワ」とは不適切な用語を使っていて遺憾・・・ということで「ショウロダマシ」という名前に変更された。ところが、よくよく調べてみると元々が転記間違いで、最初の命名は「ザラツキカタカワタケ」だったことが分かった。そこで、最初の命名者の名誉を重んじたかどうかは知らないが、元の名前に戻された。
 撮影が目的の「ドキッと塾」で、いたって写真映えのしない種類を立て続けに2種ピックアップするのも皮肉な話だが、この2種とも鮮度のいい旬の状態だったことは確かだ。
 おそらく、よほどのことがない限り、この2種が本コーナーに登場することは今後ないと思われる。モデルとなる美形のきのこはなかったが、さわやかな風の抜ける、薄曇りの一日は歩くにはとても快適だった。  戻る
2018年 5月26日(土)

けいはんな記念公園

京都府精華町
「ドキッと塾」撮影会

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