シリーズ <第183回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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イタチタケ
2018年11月 3日(土・祝)

大和葛城山

奈良県御所市
 また例年のように、寒くなってしまう前に行っておこうと、標高1000m近い山へ登った・・・むろんロープウェイで。できれば2年続けて見つけた「ニカワツノタケ」の群生に会いたかったが、今年は残念ながら空振りだった。
 いい「被写体きのこ」はあまり見つからなかったが、ボロボロに朽ちた広葉樹の材に小さな黄色いきのこがペアで出ていたので、アングルを下げてアップで撮った。
 小さくてよく見えないので初めはニガクリタケかと思ったが、モニターを見ると違うことが分かった。カサにはわずかに条線があり、被膜の名残が縁に残っている。どうやらイタチタケだろうと同定したが、本種はサイズはもちろん生える場所にも変化があるのでなかなか自信が持てない。
 柄の基部のもふもふ菌糸にピントが合うように、アングルを探してシャッターを切った。 戻る

ムササビタケ  前種と同じナヨタケ属に分類される本種も、前種に負けずなかなかの「クセモノ」だと思う。
 しばらく雨が降らなかったので地面は乾いているに違いないと思ったが、意外にも湿り気があっていくつかの群生を見ることができた。その中の一つが本種で、大きくカサを開いたものは直径5センチもあった。「ムササビはこんなに大きくならない」と思ったが、後で図鑑を見ると5センチもアリだった。それにしても、倒木から細い柄を伸ばしてたくさんカサを並べるのが「典型」スタイルだと思っていたので、今回のボリュームは認識を新たにした。
 さらに、この後に見つけて「ヒメイタチタケ?」としたきのこも、どうやら同じ本種だったように思う。本種を見分ける手掛かりとして、ヒダが淡褐色の色を持っていることも知った。サイズや色合いなど、かなり変化の幅が大きいきのこだが、今回は経験値を高めることができた。  戻る
2018年11月 4日(日)

むろいけ園地

大阪府四条畷市

チシオタケ  毎年、今頃の季節は夏に戻ったり冬に行きかけたりと、気温が安定しないことが多い。この日の観察会も2日前に雨が降り、気温は高めになったので、きっと面白い内容だろうと期待した。
 期待は裏切られ、読みが外れるのが「きのこの常」で、歩いた距離の割にきのこは少なかった。そんな中で朽ちた倒木上に群生していた本種は、色の華やかさもあっていい被写体になってくれた。カサの直径2センチ前後の成菌はやや古く、色もあまり鮮やかではなかったが、すぐ横に出ていたこの小型の5本はとてもいい色だった。
 撮りながら、倒木の表面を覆っている黒いものが気になった。よく見るとそれは、乾燥でボロボロになったヒメキクラゲの残骸が、先日の雨で少し戻った状態のものだった。しかし、この後さらに復活を果たすようには見えなかった。不安定な気候に翻弄されるきのこはきっと多いに違いない。  戻る
2018年11月11日(日)

くろんど園地観察会

大阪府交野市

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