シリーズ <第184回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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チャカイガラタケ
2018年12月9日(日)

くろんど池観察会

奈良県生駒市
 今年最後の定点観察会。ほんの数日前にはまだ気温25℃の「夏日」だったが、この日は風も冷たくて寒い一日となった。
 観察されたきのこは小型が多く、中には初めて見る「コガネヒメホウキタケ(仮)」というのもあった。しかし、今回のMVPにはこれを選んだ。
 池の東岸には長いサクラ並木があるが、その1本にチャカイガラタケの老菌が付いていた。いや、もう老菌も過ぎてすっかり干からびた「残骸」という状態だ。それでも、このしっとりと落ち着いた環紋が目に留まり、バランスよく並ぶカサに構図を探してみた。すると、縦位置でしっくり収まり、シャッターを切った後に「よし!」と手応えを感じた。
 観察会としては記録にカウントできないような状態だが、写真のモデルという点ではこの日最も印象に残った1種となった。 戻る

アシナガタケ
2018年12月16日(日)

むろいけ園地

大阪府四条畷市
 「冬きのこ」のイメージが強い本種だが、今までの撮影記録を見てみると晩秋から初冬にかけてと早春の頃に多いことが分かった。今年も12月の声を聞くとあちこちの公園や里山で、何度か見つけることができた。
 ところがこのきのこ、写真の被写体としてはちょっと困ったところがある。名前の通り足が長く、まるで八頭身〜十頭身にもなるスタイル抜群のモデルなのだが、まばらに単生していることが多くなんとも構図がとりにくい。
 この日の撮影もはなから全身を撮る気はなく、いつものアングルでカサやヒダ、そして柄のねじれた繊維紋を描写することにした。こんなスリムなきのこをオートフォーカスで撮ったらことごとく「後(あと)ピン」になってしまう。レフ板で光を回して構図を決めたら、マニュアルフォーカスで慎重にピントを合わせてから、静かにシャッターを切る。いつもながら息が詰まる瞬間だ。  戻る

シイタケ  この公園には1ヵ所、コナラやサクラのホダ木が置いてある所がある。シイタケをはじめ、ヒラタケやナメコがたくさん生えているのを何度か見たことがある。この日も立ち寄ってみたが、それらのホダ木には何もなく、積み上げられた古いホダ木にこのシイタケが出ていた。びっくりしたのはそのサイズで、測ってみると直径16センチもあった。
 ところでこのシイタケの学名に関して、ちょっと面白い話題がある。学名は「Lentinula edodes」(レンティヌラ・エドデス)と言うが、種小名の「edodes」は「江戸」のことだする説がある一方、ギリシャ語で「食用」という意味の単語がもとになったという説も有力らしい。世界で最も食べられているきのことして有名で、英語をはじめフランス語やその他の国々でも「Shiitake」の名前が定着しているらしい。マツタケはヨーロッパなどで嫌われているようだが、さすがにシイタケの旨みは世界中が認めているということだろう。 戻る
2018年12月23日(日)

大和民俗公園

奈良県大和郡山市

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