シリーズ <第185回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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サガリハリタケ  昨年暮れに1台のコンパクトデジカメを買った。はっきりとした購入目的があった訳ではなく、言ってみれば「衝動買い」に近いものだった。寒波が押し寄せてフィールドが面白くなくなってしまったことも、背中を押した動機の一つだ。
 このカメラには面白い機能がたくさん装備されている。その中で、日ごろの「きのこ撮影」に威力を発揮しそうな機能を駆使してみるのも楽しそうだ。この写真はそんな一枚で、木のウロの中に生えている本種を、ウロの中にカメラを潜り込ませて撮った。画角を広げるために「フィッシュアイコンバーター」を付けたが、モニターを見ることができないので、「Wi-Fi」機能を使ってスマホでリモコン撮影した。スマホがモニターになり、ズームもピント位置も手元で操作できる。一昔前に比べたら「写真術」の中身がすっかり変わってしまったように思う。  戻る
2019年 1月 6日(日)

むろいけ園地

大阪府四条畷市

ヒロハノキカイガラタケ
2019年 1月13日(日)

太陽が丘公園

京都府宇治市
 冬真っただ中ともなると、どんなに目を凝らして丁寧に探しても、撮るべききのこは見当たらない。そこで、普段はあまり目を向けないサルノコシカケの仲間、いわゆる「硬質菌」をモデルにする機会が多くなる。
 この日も、だらだら歩きの散歩をしながら、マツの切り株に生えた本種を見つけた。新鮮な状態ではなかったが、いろいろアングルを探しているうちにこんな構図を見つけた。
 サルノコシカケの仲間はカサの裏面に細かな管孔を持つ種類が多く、ローアングルで撮ると表情に乏しく、そのきのこらしさを表現することが難しい。しかし、カイガラタケや本種などは端正に並んだ「ヒダ」を作るので、こんなアングルでも写真に表情が出てくる。いわばその種類の「個性」とも言うべきもので、それが撮影の手応えにもつながる。  戻る

ダイダイタケ  名前が「ダイダイガサ」と紛らわしくて混同しやすいが、「タケ」の方がサルノコシカケの仲間だ。全体に黄褐色でカワウソタケなどに近い種類で、薄っぺらいカサには濃い褐色の環紋がある。カサの縁には鮮黄色の縁どりがあることが多く、くっきりとしたラインが目を引くきのこだ。
 一見すると分かりにくいが、カサの表面にはビロード状〜フェルト状の密毛があり、意外に滑らかで手触りが良い。カサの下側は微細な管孔だが、今回のものをルーペで見てみると、細かな迷路状になっていた。記憶にある「ニクウチワタケ」のパターンをもっと細かくした感じだった。観察した時に、ひょっとするとこの管孔の違いは案外だいじなポイントで、近縁の別種として分けるべきものなのかもしれないと思ったりした。しかし、きのこ全体をもう一度眺めてみると、やはりこれは紛れもなく「ダイダイタケ」であり、管孔パターンが多少変化することもあるのだろうと思った。  戻る
2019年 1月14日(月・祝)

上野森林公園

三重県伊賀市

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