シリーズ <第189回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ウスムラサキオキナタケ
(青木氏仮称)
 以前なら「クロシワオキナタケ」と同定していただろう。奈良に帰ってから参加している定点観察会のおかげで、図鑑に載っていない種類のことをずいぶんたくさん知ることができている。本仮称種の名前もそこで教えていただいた。
 「クロシワオキナタケ」によく似ているが、中央部があまり黒くならず粘液状のシワも顕著ではなく黒い色も見えない。それ以外の特徴はほとんど同じだ。カサの直径は1.5〜3センチで、シイタケほだ木の朽ちた木片から生えていた。
 両種ともヒダはきれいなサーモンピンクなのでローアングル写真に期待したが、今回は残念なことにすでにヒダが傷んで褐色に変化してしまっていた。それでも全体としてとてもいい状態で、本種としての価値のある写真=Valuable Photoとして記録できたのは嬉しいことだ。  戻る
2019年 5月 2日(木)

大和民俗公園

奈良県大和郡山市

ツチヒラタケ
2019年 5月 3日(金・祝)

むろいけ園地

大阪府四条畷市
 一年前にこの場所で本種を見つけた。あまり見かけない「珍種」の部類に入ると思うが、今年も見ることができた。しかも、発生の数も範囲も昨年より増えていた。
 カサの幅は大きくても4センチほどで、付近には1センチに満たない幼菌がたくさん生えていた。カサにはゼラチン質の層があるようで、材上生の同属菌「ヒメムキタケ」に雰囲気がよく似ている。また、小さなカサが並んでいる様子はキクラゲ類の「ニカワハリタケ」にもよく似ていると感じた。
 幼菌の間はカサの両翼が内巻きになっているが、成長すると逆に外側へ反り返るように開く。その姿はまた、キクラゲ類の「ニカワジョウゴタケ」にも似ているように思う。
 こんな風にきのこの生え方やその姿、あるいは部分的な特徴などを捉えて覚えると、フィールドでの同定にとても役立つものだ。 戻る

ヒノキオチバタケ  「5月はきのこが少ない」・・・きのこ仲間からよく耳にする言葉だ。爽やかに晴れる日が多く、空気が乾いていて風も強い。たまに雨が降ったところで雨量は大したことがなく、翌日にはすっかり乾いてしまっている。さらに気温まで乱高下することが多いとなると、人間だけでなくきのこの体調(?)もおかしくなるに違いない。
 そんな訳で、まとまった雨の翌日に当地へ足を延ばしたが、元気なのはキクラゲ類だけだった。かろうじてカサ径8ミリほどの本種が、いい被写体になってくれた。近接撮影プラス深度合成、さらに思い切ったトリミングをしたので画質は荒れてしまったが、ささくれ立った柄の表面や不揃いのヒダの様子は捉えることができた。
 もうすぐ梅雨がやってくる。大きな災害をもたらすことなく、多くの種類のきのこを活発にさせる、そんな梅雨になってくれるよう切に願っている。 戻る
2019年 5月15日(水)

上野森林公園

三重県伊賀市

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