今日はどこまで行ったやら・・・


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2004年
7月25日(日)

鎌倉・台峰
神奈川県鎌倉市
(神奈川キノコの会)
 昨年、ここ台峰で行われた神奈川キノコの会の野外勉強会で、珍しいアカイカタケを撮影することができたが、時期的には梅雨明けの頃なので他のきのこはあまり見られなかった。
 今年も同じ時期でしかも昨年よりもっと雨が少ない状況だから、ほとんど軟質菌は見つからないだろうと思った。それでも、小さなきのこはなかなかいい状態を観察することができた。
 地面に高さ2.5センチほどの小さなきのこがあり、一見するとナヨタケ属のきのこのように見えたが、ポケットミラーで確認するとシッカリしたツバが見えた。オキナタケ科フミヅキタケ属らしいことが分かったが、ずいぶん小型で柄も細いのでツチナメコとも感じが違う。後の同定会でコツチナメコとされたが「?マーク」付きで、顕微鏡で担子器(胞子を付ける細胞)を見ないと分からないとのことだった。
 その付近の藪の中の倒木に見慣れないきのこが生えていた。今日、ビジター参加をしてくれたK・Mさんは素晴らしいきのこ探しの勘を持っている人で、深い藪の中でよくこれを探したと驚いた。朽ちた倒木にいくつも生えている弱々しい感じの中型菌で、ウラベニガサ科のきのこのような感じがした。ところがヒダを見ると、カサが十分開いた成菌を見ても真っ白のままでピンク色が見えない。ヒダが密で柄に離生している点はウラベニガサ属で良さそうだ。
 同定会ではやはりきのこが少なく「きのこより人間の数の方が多い」などというグチも聞かれたほど。そんな中でも朽ちた落ち枝に生えたニセキンカクアカビョウタケが、なかなかきれいな状態でいい被写体になってくれた。
2004年
7月24日(土)

七沢森林公園
神奈川県厚木市
 毎年のことだが梅雨が明けてしばらくの間は、どこへ行ってもきのこが少ない。そこでいつも「どこに雨が降ったか」を見て探索場所を決めるようにしている。金曜日に厚木市や伊勢原市にわずかな雨が降ったようなので、今日は七沢森林公園にしてみた。
 予想通りわずかな通り雨ぐらいでは地面は乾ききっている。それでもよほど乾燥に強いのか数個のツルタケが新鮮な状態で生えていた。柄がささくれてしまっているがシッカリしている。
 切り株の根元にかなり干からびたきのこを見つけた。撮影しながらカサの表面や柄を観察すると、どことなく見覚えのある強靭な感じがするきのこだ。どうやらマツオウジらしいとヒダを確認すると鋸歯状になっている。古くなるとかなり嫌なニオイがする。
 真っ白いベニタケ属のきのこが斜面の土を被っていた。普通こういう場合は筆を使って丁寧に土を取り除いてから撮影するのだが、以前そうやってこの純白さが薄汚れてしまった経験がある。そこでまず、このままで撮ってみることにした。後で土を掃ったが案の定汚れてしまった。このヒビワレシロハツはカサの表面が微粉に覆われているため、どうしても汚れやすい。綺麗にするつもりで汚してしまう場合もあるのだ。
2004年
7月18日(日)

こども自然公園
神奈川県横浜市
神奈川キノコの会
 いよいよきのこは「夏のハザカイ期」に入ったらしく、30人以上の参加者があったにもかかわらず採取された種類は少なかった。
 撮影もかなり歩いてからようやく、まずまずの被写体となるツルタケを見つけた。よく見ると乾燥のために柄がささくれてカールしていた。
 もう1種、かなり珍しいきのこが発見された。切り株の根際に生えた小さなきのこで、注意深く見ないとうっかり採取してしまいそうだが、根元に黒褐色のフクロを持っている。ウラベニガサ科のコフクロタケで、カサが開いた方はヒダが肉色になっているのが分かる。根元のフクロが黒いのでゴミと間違いやすく、見つけてもフクロタケの仲間と分からないことが多いだろう。慎重に標本撮影もしておく。
 これからしばらくは、あまりいい状態のきのこを期待できないかも知れない。
2004年
7月17日(土)

高麗山
神奈川県大磯町
 じっとしていても汗が噴出すような時季は、早朝のきのこ探索が楽でいい。・・・と、6時ごろから高麗山を歩いてみた。数時間で切り上げるつもりで軽装備にしたら、なんとこの時季の必須アイテム「蚊取り線香」を忘れた。仕方なく虫除けスプレーで対応したが、これは汗をかくと効き目が落ちる。
 きれいにカサを開いたシロハツの仲間を見つけた。ベニタケ属を見るなり「同定困難」の文字が頭に浮かぶ。しかし、撮影後にヒダを見るとその懸念は消えた。ヒダ全体がわずかに緑色を帯びて見える。アイバシロハツだ。この色をデジカメで出せるかどうか再挑戦。
 近くの斜面には、これも微妙な色の違いで判定が変わる、カバイロツルタケが幼菌と並んで生えていた。幼菌のカサにヌメリがあるように見えて疑問に思ったが朝露だった。
 尾根筋にはほとんどきのこが見られなかったが、アオミドリタマゴテングタケのきれいな状態を見つけた。撮影していて気づいたのだが、カサの表面以外は白だと思っていたのに良く見るとツバもわずかに緑色を帯びている。これもデジカメで見えるだろうか。今日は微妙な色が決め手の3種になった。
 今、アングルファインダーが故障中のため、腰痛持ちには超ローアングル撮影は過酷だ。早朝にもかかわらず、2時間ほどで汗だくになってしまった。
2004年
7月11日(日)

松原湖
長野県小海町
(キノコの会宿泊勉強会)
 一夜明けて素晴らしい好天。澄み切った空気と深い青空が何とも清々しかった。・・・ところが、朝食後に集合写真を撮る頃からにわかに曇り始め、ついに大粒の雨が降り出した。参加者は急きょ雨天仕様の装備に変えたりとあわただしかったが、うまい具合に目的地に着いて探索を始める頃には雨は止んだ。
 カラマツの多い雑木林はたっぷりの雨を受けて、すべての色が瑞々しく輝いていた。そんな沢沿いの斜面に柄の赤いイグチが出ていた。わずかに触れただけで速やかに紺から黒へと変色する。管孔面を見るとこれも赤い。どうやらアメリカウラベニイロガワリだろう。今日はあちこちで本種を見ることができた。
 ウラジロモミがたくさんある付近では、これも赤い色のウスタケがいくつも生えていて、様ざまに構図を選びながら撮影することができた。雨に打たれたせいか、やや色に鮮やかさがなかったのが残念だった。
 今日最も多く見られたのはベニタケの仲間で、例によって名前の特定に苦労する。きれいな紫色のカサで周縁部には条線があるベニタケ属があった。カサには少しヌメリがあり、柄は白い。後の鑑定会でチギレハツタケと同定されたが、撮影時には紫色に惑わされて種名が分からなかった。
 もう探索も終り近い頃、カサの色が赤っぽいオレンジ色のイグチが見つかった。柄の上半分がやや赤く、下半分は黄色い。オオダイアシベニイグチという種に似ているように思われた。切ってみるとかなりゆっくり青変していく。細かな特徴を総合的にチェックしていくと、やはりオオダイアシベニイグチで間違いなさそうだ。初めて見るきのこなので付近を丁寧に探したが、残念ながらこの幼菌だけだった。
 数箇所で大きなハナビラタケも見つかっていたが、昨日降った雨でこんなに多種が生えた訳はないから、きっとこの一帯ではこれから一雨ごとに多くの種類が発生すると思われる。ぜひ、再訪したい場所だ。
 翌朝は帰路途中に白駒湖へ寄り、カラマツとツガ(?)の多い散策路を探索して興味深いきのこを2種、撮影した。
 1種はヤマドリタケモドキにしてはカサも柄も色が黒すぎる。柄の全体に網目があることからススケヤマドリタケと思われたが、携行した図鑑によればブナ科の樹下とあるため違うと判断。一時はヤマドリタケではないかと思ったが柄の色が違う。結局、他の図鑑も見てみるとススケヤマドリタケは針葉樹林内に発生とあるので、それで良さそうだ。
 もう1種は、一見した印象はオオキノボリイグチだが、カサには強いヌメリがあり、柄は深紅の網目状になっている。何より驚いたのは管孔面で、カサや柄と同様に全面が深紅色をしていて、黄色い透明液をいっぱい噴き出している。まったく該当するきのこがなく、キクバナイグチ属かどうかも怪しくなる。詳しく調べてみることになった。※2011年にアカネアミアシイグチと発表された。
 今回の宿泊勉強会はかなり雨に見舞われたが観察中に降られることがほとんどなく、気温も天候も快適でたいへん恵まれた結果となった。
2004年
7月10日(土)

松原湖
長野県小海町
(キノコの会宿泊勉強会)
 本年の神奈川キノコの会の宿泊勉強会は、長野県の松原湖で開催された。昨日まで雨が降らなかったため、3年前の富士山でのカラカラ天気の再現かと心配された。
 ところが、向かう途中の中央高速で雨が降り始め、途中に訪れた清里では激しい雨のため探索を断念するほど・・・。まあ、降らないより少しはマシだろうと淡い期待を抱いた。
 松原湖畔の「ファミリーロッジ宮本屋」さんに到着し、雨が小降りになると早速湖畔を探索。草むらの中にいくつもキツネノロウソクが出ていた。卵(幼菌)も付近に見つかった。卵は赤い色が透けるのかと思ったが、よく見ると淡い青緑色が見える。どうやらグレバが見えているようだった。
 カラマツ林の地上にきれいなテングタケを見つけたが、カサの上のイボが白ではなくやや褐色を帯びている。何となくテングタケそのものではないような気がした。事実、後の鑑定会でテングタケ属の仲間とされたが、その理由はイボの色ではなく柄に段だら模様があることだった。
 藤棚のフジに大きなトキイロヒラタケが生えていた。あまり鮮やかな色ではなかったが、それでも日の光に透けると美しい。なかなか迫力のある姿だった。
 明日は沢沿いのカラマツが多い地帯を探索する予定。
2004年
7月 4日(日)

新治観察会の追加
神奈川県横浜市
 今回の新治定点観察会で同定の意見が分かれたきのこがあった。ツルタケ節なのだが、ツルタケのように灰色ではなくかなり褐色が強い。一見してカバイロツルタケだろうと意見は一致したが、私がツボの色も褐色の部分があれば確実だと言って掘ってみると、なんと真っ白だった。こうなるとツルタケにも思えてくる。
 ところが図鑑によるとDNA鑑定でこの2種が別種だとされたとある。つまり肉眼だけでなく顕微鏡の下でも判定が困難だということだ。言い換えれば外見だけの印象で同定しても、間違いだと言えないことになる。
 今回の場合は色から言って、カバイロツルタケでいいように思う。
※今週末は「神奈川キノコの会」の宿泊勉強会に参加するので、次の「きのこ探して」更新は12日の夜以降になる。
2004年
7月 4日(日)

新治市民の森
神奈川県横浜市
 今日も抜けるような青空で湿度も低く、単に山歩きにはたいへん快適なのだが、地面はからからに乾いてきのこは少ない。そんな中での定点観察会だがそれでもやはり7人で歩くと、それなりにいい状態のきのこは見つかるものだ。
 まずベニタケの仲間が見つかったが一見して名前が分からない。ほとんど白く中央部だけが褐色で、よく見ると周縁部には粒点状の条線が見える。試薬なども試してみたが結局、同定には至らなかった。
 いつもイグチが良く出る斜面に、今回はきれいなミドリニガイグチがいくつも出ていた。カサは濃いオリーブグリーンで柄の根元が鮮やかな黄色。なかなか写真の被写体にはいいきのこだ。
 すぐ近くには小さな木片からホコリタケの仲間が生えていた。頂点に尖った鱗片がなくて材上生ということはタヌキノチャブクロだ。
 スギが多い薄暗い森の地上にカサの黒っぽいテングタケ科が生えていた。高さは約7センチ。よく見るとカサの色がやや青い。アオミドリタマゴテングタケという長い名前のきのこだ。この色もデジカメでは表現しにくい色だが、撮り方を変えて何カットか試すといい色になる。
 同じ林内で草に埋もれてまるで保護色になっているきれいな緑色のきのこを見つけた。緑色のベニタケ属としてはカワリハツの緑色型やクサイロハツなどがあるが、肉眼で見分けることは困難だ。カワリハツは硫酸鉄(FeSO4)で変色せず、クサイロハツは灰ピンク色に変わるとのことなので、試してみると濁った赤褐色に変わった。他の細かな特徴からもこれはクサイロハツでいいのだろう。
 雨が少なくてもこの程度の種類が観察できて、撮影も楽しむことができた。一雨ごとに・・・と、期待が膨らむ。 
2004年
7月 3日(土)

高麗山・びわの森
神奈川県平塚市
 あまりにさわやかな天気が続くので、すっかり梅雨の真っ最中であることを忘れていた。この時期はどこへ何を撮りに行くべきか・・・と、過去の記録を見てみると、ちょうど6月末、7月初旬にはキヌガサタケが出る頃なのだ。
 高麗山のポイントへ行ってみると、もう萎れかけた1本だけ見つけることができた。付近を探しても卵(幼菌)らしきものはなく、今年は発生が少ないのかもしれない。
 今年はテングタケ科が順調に出始めた様子なので、びわの森も探索してみることにした。4年前に大きなタマゴタケの群生を見たことがあるので、今年は期待できるかもしれない。
 遊具のある斜面に小さなタマゴタケがあった。カサが欠けているので何ものかに齧られたかと思ったら、生えるときに草の根に引っかかってしまったようで、ちぎれた残骸がツボの中に残っている。
 キャンプ場の調理棟の傍に、前にもここで見つけて名前が分からなかったきのこが生えていた。カサの表面に放射状の繊維模様があって中央が黒い。柄は白くて平滑でヒダは肉色をしている。胞子が明るい褐色なのでウラベニガサ科やイッポンシメジ科のようだが、ヒダがあまり密ではないので後者のほうになるのだろう。新菌類図鑑ではコムラサキイッポンシメジに似ているが、紫色はほとんどないようなので違うかもしれない。
 そのすぐ近くの苔から柄の長いきのこが3本出ていた。アシナガタケとは明らかにカサの感じが違う。カサの中央が尖っていて繊維状なのでアセタケの仲間のように見える。どうやら「きのこ図鑑」(幼菌の会)のアシナガトマヤタケという種類らしい。高さは約10センチで、柄が堅くて丈夫だ。
 気温はそれほど高くないのだが、空気が乾いて日差しが刺すように痛く感じる。明日もあるのでバテないうちに引き上げた。
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