今日はどこまで行ったやら・・・


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2004年
11月28日(日)

びわ青少年の家
神奈川県平塚市
 今日こそ「寒風吹きすさぶ」のかと思ったら、またまた穏やかな小春日和。そうなればきのこ探しに行かない訳にはいかない。きっとどこかに綺麗なきのこが出ているに違いない・・・いつもこの言葉に誘われて重い腰を上げる。
 暖かいと言いながらも朝は霜が降りている。地面の適度な湿り具合は撮影には好都合だ。
 昨年、きれいな群生を見せたアクイロウスタケは、残念ながら盛りを過ぎていた。新鮮なときは黒々としているが、少し乾くとツヤのある明るい灰褐色になる。
 どんなに寒くなろうと元気な群生が見られるのはニガクリタケだ。針葉樹の材を使った階段に、一列に並んで群生していた。
 その後パッタリときのこの姿が見えなくなり、今日はたった2種で終るのかと思いながら気になる「珍菌ポイント」へ寄ってみると、先月と同じアカヒダカラカサタケがまだ出ていた。カサは萎れてしまっているが、柄の独特の赤い色は健在。超ローアングルで撮る。
 今年は冬の撮影テーマに「極小菌」を選んでみようかと考えているが、その第1号とも言うべききれいな極小菌が見つかった。クヌギタケ属の仲間でコウバイタケに近いと思うが、カサの色合いが赤系ではなくオレンジ色が強い。2002年11月に飯山観音で撮ったものとも少し色が違うように思う。
 やはり「綺麗なきのこ」は出ていた。これだから真冬でもきのこ探しを止められない。
2004年
11月27日(土)

泉の森公園
神奈川県大和市
 まるで、きのこが無いことを確認するために歩いている・・・という感じだった。強い風が吹いて寒くなるという天気予報がはずれて、少し汗ばむほどの穏やかな小春日和の中で「泉の森公園」を歩いた。
 一面に落葉が降り積もった広場の真ん中に、ポツンと1本だけきのこが生えていた。高さもカサの直径も5センチほどのハイイロイタチタケだった。付近一帯を注意深く探したが、これ以外には幼菌すらなかった。
 とにかく1本見つけたので「きのこ目」の精度を強くして根気よく探し歩いたが、どんな小さなきのこも見つからない。それでも、過去に見た記憶を頼りに探すと、やはりきのこが好む場所というのがあるようで、同じ場所に違う種類が見つかる。
 去年きれいなアセタケ属を撮った近くに、小さなエノキタケが出ていた。ローアングルでファインダーを覗くと、柄がずいぶん偏平している。カサに厚みがないのでちょっと疑問に思ったが、よく観察するとやはりエノキタケの特徴だった。「今年は多い予感」と予測したがまだほとんど見ていない。
 こういう日は硬質菌でもいいからいい状態を見たいと思っていたら、その期待に応えてくれた。コナラの落ち枝に並んだきれいなネンドタケだ。あまりに平凡で普段なら撮らないが、今日はとてもいい被写体になってくれた。
 所どころで落ち枝の間にコキララタケが見られたが、どれも傷んでいて撮る気になれなかった。最後に車に戻る途中でやっといい状態の1本を見つけた。今日、最も時間をかけて撮影した1種だった。
 そして、この4種が今日撮影した全種類だ。
2004年
11月23日(火・祝)

小室山・一碧湖
静岡県伊東市
 この季節になるといつも、少しでも温かい南の方へ行きたくなる。いつもなら「伊豆の瞳・一碧湖」へ行くところだが、新規開拓も必要なのでその付近にある小室山へ行ってみた。みごとな青空が広がり、気温も快適だ。
 が、またまた期待は裏切られた。「この世からきのこが消えてしまったか」と本気で思えるほど何も見つけられない。極小のきのこはおろか硬質菌ですら目に止まらない。芝生の広場に思わず寝転がり「今日は止めた!」・・・と思ったが、一碧湖なら何かあるかも知れない、と、気を取り直した。
 昼食後、探索を始めると信じられないものが見つかった。まさかここでコウタケを見つけるとは・・・。撮影後にかじってみると苦い!「なんだケロウジだ。」と、名前に必ず「なんだ」が付く可哀相なきのこだ。
 やはりここでも、ほとんどきのこが見つからない。スギと思われる切り株の朽ちたところにニガクリタケの幼菌が出ていた。とても猛毒きのことは思えない可愛い姿だが、味を確認すると苦い。「苦い」二連発になってしまった。
 去年11月にザラエノヒトヨタケを撮った近くで、今度は落ち枝に生えた名前の分からない小型菌を見つけた。ヒトヨタケ属の仲間だと思うのだが、知っているきのこや図鑑のきのこに当てはまらない。
 この「第3端境期」のような時期を過ぎると、また多くの種類が見られるのだろうか? このまま終って欲しくないものだ。 
2004年
11月21日(日)

高麗山・地獄沢
神奈川県大磯町
 11月も下旬になるとさすがにきのこの姿は少なくなってしまうが、それでも2日続きの雨の後に抜けるような青空の「小春日和」と来れば、きっと面白いものが見られるはずと高麗山を歩いた。
 期待は裏切られた。しばらく歩いてやっと見つけたものは、倒木の隙間に生えた全く名前の分からないものだった。撮影後に取り出してみると、まるでカリフラワーのような形で水分の多い柔らかなもの。フィールド図鑑で見るとホウキタケ科のサクラホウキタケ(仮)とそっくりだが、当然ホウキタケの仲間は材上生ではないから違う。ニオイはちょうどブナハリタケを思わせるような少し甘いにおいがした。
 ※2009年10月25日に同じ場所で「ヤマブシタケ」を見付けたことで、これが「ヤマブシタケ」の無性世代(アナモルフ)らしいことが分かった。
 色の鮮やかさでいい被写体になってくれたのはニクウスバタケだった。クローズアップで懸命に撮影していたら、通りがかりの人に「珍しいきのこですか?」と聞かれて返答に困った。正直に「極めて平凡です」と照れ笑い。
 地獄沢まで行ってみると、去年も生えていてHP「キノコのホームページ」の山口さんに名前を教えていただいたツチイチメガサを見つけた。柄の中ほどにしっかりしたツバを持つ独特の姿だが、この仲間には似た姿のきのこがいくつかあって被写体としてはなかなか面白い。
 落ち枝の先に白っぽいきのこを見つけて、すぐにヒラタケだと分かった。色が薄いのでウスヒラタケとも思えるが、肉厚なことと季節を考えてヒラタケだろうと思う。今年はまだ群生を見ていない。これからに期待したい。
 最後に車に戻る散策路のウッドチップにコチャダイゴケが群生していた。まだ開いていない幼菌の蓋の部分はどうやって取れるのかと思ったら、どうやら溶けるように崩れていくようだ。中の碁石状の胞子カプセルが雨粒の衝撃で弾き飛ばされるという、何とも変わった胞子の拡散法をもった仲間だ。「チャダイ」の意味が分からないのだが、小銭が入っているように見えるので「茶代」ではないだろうか。
2004年
11月13日(土)

大志戸・木の実の里
山梨県大和村
 とても11月とは思えない暖かい日が続き、木曜日には大雨と激しい雷があり、そして今日は晴れて気温が下がった。これだけ条件が揃うと先月見た「木の実の里」のシモフリシメジがきっと出ているに違いない。
 探索を始めてまず驚いたのは、地面がカサカサに乾燥しているように見えたことだったが、これは落葉樹の落ち葉が大量に降り積もっているためだった。山一面が厚い枯葉の層に覆われている感じで、まったくきのこを見つけられない状況だった。
 やっと枯葉の間からカサを覗かせていた褐色の中型菌を発見。撮影しながらも名前が分からない。枯葉に菌糸層を作っていること以外はこれといってキーになる特徴が見当たらない。生え方などからコノハシメジではないかと思う。
 急な斜面にはナラタケの密集した株が出ていた。付近を探しても見つからず、この株も少し古いようだったので採取はしなかった。
 大きな岩の陰になったシモフリシメジのポイントにも枯葉が堆積していて、払いのけて探したが1本も見つけることができなかった。諦めて引き返す途中、斜面に張ったグリーンネットの間からコウタケが1本だけ出ていた。すでにカサの表面が黒くなっていたが、裏面の針はまだ新鮮な状態で、濃い醤油に似た芳香を放っていた。手のひらいっぱいほどの大きさで肉厚だったので、また数回の「コウタケ飯」を楽しめそうだ。
2004年
11月 7日(日)

県立自然保護センター
神奈川県厚木市七沢
 本日は「立冬」。エノキタケやクリタケのシーズンになってきたので、どこかできれいな束生でも見つけようと考えた。毎年エノキタケをよく見かける「県立自然保護センター」へ行ってみた。
 ツバがしっかり付いた小さなきのこを見つけて、名前が分からないまま撮影したが、ファインダーを覗くとそれはナラタケだと分かった。カサの直径が2.5センチしかないので別種に見えたが、付近にはナラタケ特有の柄の長い幼菌がいくつも出ていた。
 撮影意欲が湧いてくるきれいなきのこを見つけた。とても小さいが鮮やかな赤と白いヒダのコントラストが美しい。ヌメリガサ科のベニヒガサだ。カサにヌメリがなく、ヒダは柄に長く垂生するので一枚が三角形に見えるのが特徴。丁寧にゴミを取り除いてクローズアップ撮影。
 散策路沿いの柵にフウセンタケの仲間が2本あった。全体が褐色でこれといった特徴がないので、一見しただけでは種名が分からない。ひとまず撮影する。ところが採取して細かくチェックしてみても、やっぱり名前が分からない。少し古いので紫色が消えたのか、あるいは元々ないのか・・・。カサにはわずかに暗褐色の鱗片があり、柄の上部が少し明るい色になっていて根元は太い。肉の色は白く変色なし。やっぱり不明
 真っ白いカサのきのこが並んでいた。カサの直径は5センチでかすかに灰色の部分も見える。枯葉を除くときれいなオレンジ色のビロード状の柄が見えた。柄の上部だけが白く、根元はツエタケのように長く伸びている。スギエダタケの特徴だがこんな大きいのは初めて見た。
 やっと束生しているきのこを発見した。しかしエノキタケでもクリタケでもなかった。カサの中央が盛り上がり、周囲にはっきり条線がある。モエギタケ科のセンボンイチメガサだ。カサの色は明るい褐色なのだが、自らの胞子を被って濃い褐色になっている。
 今日、撮影した中で初めて見る奇妙なきのこ(かどうかも不明)が1種あった。頭部にトゲ状の細かな突起が並び、とてももろいので付近には折れた残骸がいくつもあった。腹菌類か子嚢菌類だと思われるが、どの図鑑にも似たものがない。(何かご存知の方はぜひ教えてください。)
2004年
11月 6日(土)

飯山観音
神奈川県厚木市
(神奈川キノコの会)
 今年度最後の野外勉強会は昨年と同じこの場所で行われた。ここは昨年からヤマビルが多くなりその対策を講じる必要があったが、専用の忌避薬を使わなくても筋肉痛緩和剤、いわゆる肩こりの薬が効果があると聞いたので試してみた。
 足元は釣り用の長靴を履き、足首の部分より上の表面に薬を塗布した。あと手首の部分と首筋にも、皮膚と衣服の両方に塗布した。
 ここまで武装して勇んで探索を始めたが、いったいどうした訳かきのこがほとんど見つからない。所どころでナラタケの群生があってずいぶん採取されていたが、それ以外には皆無に近い状態。
 仕方なくヤマビル覚悟で沢沿いを歩くと、居るわ居るわ、たちまち数匹のヤマビルが長靴を這い登ってきた。観察していると薬を塗布した所まで来ると、小さなヤツは下へ戻って行き、なんと大きなヤツは何度登ってきてもポロリと落ちてしまい、1匹たりとも上まで登ることができなかった。
 これで気を良くしてやっと見つけたコガネタケの幼菌を撮影していたが、ついには三脚やカメラにまで這い登ってくる始末で、とうとう撮影意欲は完璧に萎えてしまった。
 鑑定会場に持ち込まれたきのこも、ナラタケ以外はほとんど目を引くようなものがなかった。
 肩こりの薬にヤマビルの忌避効果が大きいことは確認できたが、なるべくならそんな場所へ出向きたくないのが本音だ。
2004年
11月 3日(水・祝)

新治市民の森公園
神奈川県横浜市
(定点観察会)
 今月の定点観察会は少し早めて、今日行った。このところ里山ではかなり多種のきのこが出ているようなので、かなり面白いのではないかと期待した。
 去年、駐車場付近で見つかった不明のキツネノカラカサ属にコゲチャイトキツネノカラカサという仮称(城川先生)が付けられたが、草に埋もれて生えるそれの群生が見つかった。幼菌のときは特有の赤い色が観察されたが、成菌になると赤味はなくなってオニタケのような雰囲気を持っている。
 地上に生えた中型のきのこで名前が分からないものがあった。カサが黒く中央が盛り上がり、ヒダが白く密、柄もカサと同じように黒く繊維状でねじれている。ヒダと柄のコントラストが強く、ヤギタケやクロチチタケも考えたがどちらも違うようで、どうやらコザラミノシメジの可能性が強そうだ。
 面白い形の腹菌類が見つかった。その名もカニノツメ。この名前はとてもうまく形を表していて覚えやすい。この仲間は少しグロテスクなものもあるが、どれも形と名前がユニークで面白い。
 先月から出始めたハタケシメジがまだいくつか群生になっていたが、いつみてもこの幼菌は汚れたような感じで美味しそうに見えない。成菌になると明るい褐色になるのでいくぶん外見はよくなるが、食用にするには幼菌の方が歯ごたえがあって美味しい。
 もう1種、優秀な食菌が見つかった。どちらかといえば冬を代表するきのこだがもう出始めている。枯れたエゴノキの根際に束生していたエノキタケだ。柄が黒いビロード状の毛に覆われているので、鏡を使ってスポット的に反射光を当てても、やっとこれくらいにしか写ってくれない。
 今日はあまり見かけないきのこを一つ覚えることができた。エセオリミキかと思ったのだがカサの色合いやヒダ、柄の感じもどことなく違う。同じモリノカレバタケ属のアカチャツエタケの方だった。わずかに紫色を帯びたような明るい褐色は、印象に残るきれいな色だと思った。
 この分だと今月いっぱいくらいはまだ、たくさんの種類が見られそうなので撮影の期待が高まる。
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