今日はどこまで行ったやら・・・


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2004年
8月29日(日)

富士山北麓(その2)
山梨県鳴沢村
(その1から続き)
 昨年7月、精進湖での宿泊勉強会の帰りに、きのこ仲間9人が直径45センチの巨大なハナビラタケを見つけたのがこの場所。広大な敷地にウラジロモミが整然と植林されていて、下草が全く生えていないところ。あまり多種のきのこは生えないが興味深い種類が見られる。
 ここには今、モリノカレバタケやエセオリミキ、カヤタケなどが多く出ていた。2000年にGallery16のオオキヌハダトマヤタケを撮ったのもここだった。
 今日もたくさんのオオキヌハダトマヤタケがあって、カサの表面が裂ける前のとても綺麗な状態のものもあった。有毒だが写真栄えのするいいきのこだと思う。
 ウラジロモミの倒木に見事に青くなったアオゾメタケが生えていた。幼菌の時はほとんど真っ白だが、成長すると綺麗な青色になる。カサの表面全体に粗い毛が生えているのも特徴。
 地面から小さなオレンジ色のものが出ていた。紙を巻きつけたような面白い形のニカワジョウゴタケだ。高さが3センチほどなのでうっかり見過ごすところだった。
 立ち枯れの木からは小さなニカワハリタケが出ていた。前種と同じキクラゲ類のヒメキクラゲ科に分類される食菌だ。ゼラチン質で柔らかい。
 去年のハナビラタケのあったカラマツの大木が見つからずうろうろしていると、別の根こそぎ倒れてしまったカラマツに行き当たった。そして、その根の下側の方へ回ってみて驚いた。去年のものよりさらに大きなハナビラタケが出ていた。二株に分かれているようだが、その横幅は50センチを超える。もう古くなっていて部分的に傷んでいるが、ほとんどはまだ柔らかい花びら状だった。去年の経験からあまり巨大化したものは、味や食感の点でもやや劣るので採取はしなかった。
 車に戻る途中、地味な色のために見過ごしていたきのこがあった。カサ全体がくすんだ灰褐色の粗い鱗片に覆われている。何かの図鑑で見た記憶があったので撮影後に調べると、1997年に新種報告されたヒョウモンクロシメジらしいことが分かった。ヒダが灰色を帯びる点など特徴が符合するので間違いないだろう。有毒とのこと。
 今日一日でかなりの種類のきのこを見つけ、撮影することができた。今年こそ「きのこ豊作」の年になる手応えをを感じた。
2004年
8月29日(日)

富士山北麓(その1)
山梨県鳴沢村
 大型台風16号の影響で週末は2日とも大雨の予報だった。たまたま土曜日は仕事だったので好都合と思っていたら、皮肉にもほとんど雨が降らなかった。そこで、土曜日の夜に出発して「きのこが爆発的に出ている」と噂の富士山でビバークを敢行した。
 遅れていた雨が昨夜から降り始め、朝になっても止む様子がない。傘を片手に少し歩いてみると、まず驚いたのがキチチタケの多さ。大袈裟ではなく踏み潰さずに歩くのが難しいほどだ。他にも次々と目に飛び込んでくるので、急いで朝食を済ませて撮影開始。
 まず、黄色に黒のカスリ模様があるアイシメジ。キシメジに似ているがヒダを見ればすぐ分かる。キシメジは全体が黄色いが、これは周囲だけが黄色くてほとんどが白い。
 すぐ横には、並んで生えるので「兵隊きのこ」とも呼ばれるサクラシメジがあった。少し苦味があるが美味しいきのこだ。独特のワインレッドとカサの周囲やヒダの白さを覚えれば見分けやすい。
 木の根元には薄い青緑色のカサのアオイヌシメジが生えていた。食菌だがあまり多く生えない。桜餅そっくり、と言うより桜餅そのもののニオイがするのが愉快だ。
 キチチタケと競うほど数が多かったのがホウキタケの仲間で、見分けが難しくて種名が特定できないものが多い。どれもカラフルで被写体としてはとても優秀だが、有毒のものが多いらしい。4種をまとめて掲載する。
 今まで見たことがなかったキンチャワンタケをやっと見つけたが、残念ながら群生ではなく、4個だけ並んでいた。小さいものだと思っていたが、1個の直径が3センチ以上もある。ぜひ群生を見たいものだ。
 遠くに何やら異常に赤いものが見えて、あまりに鮮やか過ぎるからきのこではないと思いながら近づくと、なんと見事に赤いタマゴタケだった。今までにこんな赤いものは見たことがない。撮影後によく見ると、自分の傘がタマゴタケのカサに写り込んでいた。もっと後で幼菌も撮ることができた。
 後半は場所を変え、昨年大きなハナビラタケが見つかったウラジロモミの植林地を探索してみた。(その2へ)
2004年
8月23日(月)

KKRきのこセミナー
KKRホテル東京にて
 メイン講師に「きのこ画家」の小林路子先生をお招きして開催された「KKRきのこセミナー」が、100名近い参加者のもと予定通り16:30から始まり、盛況のため終了時間を延長して19:30まで行われた。
 小林先生は英国王立キューガーデンに寄贈の決まっている作品12点を展示され、きのこ画を書くようになった経緯から、きのことの接し方など、楽しいエピソードを交えながら講演された
 私の写真は「食・毒・美」をテーマに43点を展示し、「食毒」に関連した話をさせていただいた。
 他にも森産業さんのきのこ栽培の講演や、同ホテルの和・洋・中の各料理長によるきのこ料理など、盛りだくさんの内容でとても充実したセミナーだった。
 会場セッティングの長い待ち時間でも、とても気さくに話をしてくれる小林先生のお人柄がとても印象的だった。
2004年
8月22日(月)

一碧湖
静岡県伊東市
 久しぶりに伊豆半島の一碧湖へ行ってきた。周囲から伝わってくる情報では、いま富士山でかなりのきのこが出ているらしいが、夏休み中を考えると混雑が予想されたのでちょっと方向を変えてみた。
 湖畔に駐車して歩き始めると、いきなり真っ赤なきのこが目に飛び込んできた。スギの間伐材が積み上げてある薄暗いところに、アケボノオシロイタケがかたまって生えていた。上の面が鮮やかな赤橙色なのに対して管孔面はかなり白っぽい。
 マツの間伐材には一面に苔が生えていて、そこに小さな橙色のきのこが群生していた。ヒメカバイロタケだ。かなり柄が長く伸びて、面白い表情を撮ることができた。
 この季節に一番期待するのは、やはり迫力のあるテングタケの仲間だ。まず、ドクツルタケの仲間を見つけた。外見だけでは同定できない。柄にささくれがあまり無いのでシロタマゴテングタケではないかと、試薬(KOH)を付けてみた。予想通り、黄色くならない。やや不快臭があるが強くはない。
 すぐ近くで小型のテングタケ科を見つけた。カサの中央だけが黒く、周囲へ薄く広がって周縁はほとんど白になっている。わずかに残ったツバは薄い膜質で黄色味がかっている。どうやらクロコタマゴテングタケのようだ。
 今日、もっとも多く見られたのはシロオニタケだった。幼菌から成菌、もう朽ち果ててしまった老菌まで、いたるところで見ることができた。カサ一面に尖ったイボ状突起が密生して、ツバの表面にまで続く。ツバは柄に残る場合とカサの周囲に垂れ下がる時があり、いずれにしても早くに落下してしまう。幼菌の時からなかなか迫力のあるきのこだ。※後日に幼菌がオニテングタケであることが分かった。
 硬質菌でいい状態のものをもう1種見つけた。斜面のあちこちに八重の花びらのように重なって生えている。裏面に細かなイボが密生していて、表面がやや黄色いのに対して裏は橙色が強い。ボタンイボタケだ。
 明日は都内のホテル(KKRホテル東京)での「きのこセミナー」に写真を展示するので、今日の探索も3時間ほどで切り上げて帰途についた。
2004年
8月14日(土)

高麗山・地獄沢
神奈川県大磯町
 相変わらず朝の7時にはもう30度を超え、まったく雨が降らない。近所の海浜公園のマツの防風林を少し歩いてみたが、地面が乾ききっていて気配すら感じない。無い袖は振れぬ・・・ならぬ、無いきのこは撮れぬである。
 こういうとき頼りになるのが高麗山の麓にある地獄沢で、全くの空振りに終ることはほとんどない。
 キハダの多い一帯にキツネノカミソリが一斉に咲いていた。その根元にいくつも小さな芽のようなものが出ている。よく見ると冬虫夏草のツクツクホウシタケだった。セミの鳴き声もいつしかツクツクボウシの大合唱になっていると気づいた。
 沢に落ちた枝からきれいなウラベニガサが生えていた。ちょうどカサを開ききったところで、シダの葉に赤褐色の胞子が落ちている。今日唯一のきのこ型のきのこだった。
 ※後日、クロスジウラベニガサ(青木氏仮称)であることが分かった。
 大きな倒木の表面に2〜3種の変形菌が見つかった。1種だけ絵になりそうだったのでクローズアップで撮った。サビホコリという種類で、変形菌の中では平凡な方らしく、切り株や倒木でよく見かける。
 今日も健康のために午前の2時間で切り上げた。
2004年
8月 8日(日)

高麗山・湘南平
神奈川県大磯町
 今日も朝から夏空が広がり、おまけに全くの無風状態。真冬のきのこ探しも我ながら「物好き」にあきれるが、こんな日は熱中症などの身の危険さえ伴うので、午前中の短時間だけ探索することにした。
 湘南平の遊具のある斜面はいつも何か興味深いきのこが見られるが、今日はそこに白っぽいベニタケ科を見つけた。カサの中央が窪み、灰褐色が周辺へ向けて薄くなっている。周辺には小さな粒を並べたような条線があり、ゴツゴツした感じに見える。やや色が白すぎるがキチャハツなのだろう。
 同じ斜面にカバイロツルタケがたくさん生えていて、幼菌から成菌までとても新鮮でいい状態が見られた。カサの色や柄の鱗片、それにはっきり色の付いたツボなど、典型的なカバイロツルタケのスタイルだ。
 散策路に張り出した根の間から小さなきのこが2個出ていて、思わず踏み潰しそうになった。よく見ると細い柄の根元にツボがある。ヒダはかなり赤味を帯びているのでコフクロタケに違いない。先月18日にこども自然公園で見つかった時は珍菌の発見に喜んだが、今年は発生が多いのかも知れない。他の2箇所でも見つけることができた。
 猛暑であまり雨が降らない割には、昨日今日ともにまあまあいい状態のきのこを観察することができた。
2004年
8月 7日(土)

飯山白山自然公園

神奈川県厚木市
 今日は暦では「立秋」で秋の始まりとなるが、関東では今日も30℃を越えて1ヶ月以上「真夏日」が続いている。まるで亜熱帯も通り越して熱帯になってしまったような気温だ。
 丹沢山系では今年もヤマビルが多いと聞いたが、この暑さではさしものヤマビルもひと休みしているに違いないと、丹沢に近い飯山白山へ行ってみた。
 歩き出してすぐ、枯れ枝の折り重なったところに明るい褐色のきのこを発見。新治の杉林の中でよく見かけるとてももろいきのこで、今のところ名前が分からない。幼菌のときだけカサに強い粘性があるが、少しカサが開くとほとんど粘性がなくなり、とても柔らかい肉質になる。ヌメリガサ科のきのこではないかと思う。すぐ横には小さなキツネノカラカサも出ていた。
 そこでいきなりヤマビルの攻撃に遭った。幸運なことにドジなヤマビルだったので、むこうずねにチクリと感じるものがあって、すぐに発見して軽症で済んだ。
 1個だけベニタケ属の幼菌を見つけた。カサの色をよく見ると全体は赤褐色なのだが、部分的に弱い緑色も見える。この色の混ざり方はカワリハツだろうと思う。
 その近くで斜面に赤い小さなカサを見つけたので近づくと、久しぶりに見るアカキツネガサだった。シッカリしたツバの周囲にかすかな赤いラインが見える。
 テングタケ科ではドクツルタケの仲間、ニオイドクツルタケ(仮)が出ていた。ごく小さな幼菌から貫禄のある成菌まで、数本が散らばって生えていた。さすがにこの仲間は猛暑でも元気なきのこだ。
 1種撮るごとに汗が噴き出してメガネに落ちるので、とても撮影がやりにくい。2時間ほどでベンチに座って休憩したが、チェックしてみるとやはりヤマビルがもう一匹ふくらはぎに付いていた。発見が遅いとなかなか血が止まらない。何とも厄介な生き物だが、スズメバチやマムシの被害に比べれば危険度は低いのかも知れない。
2004年
8月 1日(日)

新治市民の森
神奈川県横浜市
 迷走台風10号が太平洋上を東から西へと通り過ぎて行き、かなりの雨をもたらせてくれた。里山は「きのこのハザカイ期」に入っているが、この雨で大いに期待を持って「新治定点観察会」を行った。
 ところがすでに地面は乾いていて、やはりハザカイ期には雨の効果も弱いことがわかった。枯葉に埋もれて大きなアセタケの仲間が出ていた。カサ表面の放射状に裂けた特徴はオオキヌハダトマヤタケのものだろう。
 竹林の中の広葉樹の倒木にきれいな黄色いきのこが生えていた。鮮やかな黄色でカサの中央部分の色が濃い。ウラベニガサ科のベニヒダタケだ。とてもいい状態だったので竹林をバックに何カットも撮った。
 積み上げられた古畳にヒトヨタケ科の幼菌が出ていて、すでに朽ちた老菌はカサが真っ黒に液化していた。生えた場所から考えてマルミノヒトヨタケかと思ったが、採取してみると柄が12〜3センチもあったのでどうやらネナガノヒトヨタケになるのだろう。
 杉林の中では赤い硬質菌、アケボノオシロイタケが目立っていた。幼菌のときはサジ型に生えることが多く、ヒイロタケに比べると肉厚で柔軟質。針葉樹に生える点でも区別できる。
 
もう少し気温が下がるまでこんな調子が続くのだろうか。
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