今日はどこまで行ったやら・・・


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2003年
6月29日(日)

高麗山・入生田
神奈川県大磯町・小田原市
 神奈川県立「生命の星・地球博物館」と菌懇会の合同で開催された観察会に、初めて参加させていただいた。箱根登山鉄道の入生田(イリウダ)へ向かう途中に、高麗山の竹林でちょうどキヌガサタケが出ている頃だと思い、早めに出発して寄り道をすることにした。
 8時過ぎ、一昨年と同じポイントに行くと、タイミングはドンピシャ!ちょうど大きな1本がレースを広げ始めているところだった。それから40分ほどの間にほとんど完全に開ききった。2年ぶりに見る「貴婦人」の姿に、やはり神秘的な不思議さを感じずにはいられなかった。
 それで、博物館の集合時間には遅れてしまったが、かろうじて合流することができた。まず、大きなシイの根際に黄色いきのこを見つけてカメラのモニターで見ると、ヒダが分厚く柄に垂生していることが分かった。どうやらアンズタケだ。採取してニオイを確認すると、しっかりフルーティな香りがする。従ってヒダではなくシワ状の脈ということになるが、脈の間を連絡する細かな脈もルーペで確認できた。
 落葉の積もった柔らかい地面からガンタケが出ていた。カサの表面にイボをつけていてテングタケに似ているが、柄やヒダに独特の赤い色が見える。食菌になっているので一度食べてみて何ともなかったが、テングタケと同じ毒成分を含んでいるらしく、やはり大量に食べると中毒するのかもしれない。
 枯木のウロに黒っぽい小さなきのこが生えていて、デジカメのモニターで見ると肉眼で見るより明るい色になる。ヒダが白く見えたが撮影後に確認すると、わずかにピンク色を見ることができた。ヒメコンイロイッポンシメジのようだ。この肉眼とカメラでの不思議な色の差は、やはり紫外線の影響なのではないかと思う。
2003年
6月28日(土)

芝公園
東京都港区
 仕事帰りの芝公園も定番となってきた。あまり変わり映えのするきのこは見られないが、ウッドチップを敷き詰めた所はこのところの雨で何か出ているに違いないと思った。
 なんと公園に入るための横断歩道を渡る前から、きのこが一面に生えているのが見えた。・・・いや、あまりに多すぎて、きのこだとは信じられなかった。ヒトヨタケ科ヒトヨタケ属だろうと思うが、種名は分からない。クローズアップでやや赤味がかった色が良く見える。ちょうどチシオタケのような色合いだ。
 高さは5〜6センチ、すぐに黒くなり液化しているものも多い。カサの表面や柄にもササクレや鱗片はなさそうだ。
 良く観察すると所どころに、ちょっとタイプの異なるものが混じっている。さらに小型でカサの色が褐色。こちらはヒトヨタケ科ナヨタケ属のように見える。
 とにかくおびただしい数のきのこで、2種類なのかもっと多いのか良く分からない。わずかながら、まだ、キオキナタケが残っていた。
2003年
6月25日(水)

びわ青少年の家・続報
神奈川県平塚市・6/21
 6月21日にびわ青少年の家で見つけた、種名の不確かな2種について城川会長にお尋ねしたところ、快く検鏡していただけることになった。そして、早速にお返事をいただいた。
 まず、ゴムタケ?として掲載した子嚢菌は青木氏のきのこ図版で「シュイロコナチャワンタケ(仮称)」となっているらしい。鮮やかな橙色の外面が目立つが、むしろ全く光を反射しない子実層面の漆黒の方が強い印象が残っている。幼菌も多数見られたので掲載しておく。⇒後日、コフキクロチャワンタケと名付けられた。
 もう1種はフチドリツエタケだと思って落胆(?)したきのこが、どうやら違っていてフチドリベニヒダタケの可能性が高いとのこと。しかし、そうだとしてもあんな低地の、しかも芝生上での発生は不思議だ。付近を探したが他になかったので今後の発生も期待薄だろう。
2003年
6月22日(日)

こども自然公園
神奈川県横浜市
(神奈川キノコの会観察会)
 今年最初の野外勉強会は少々好天に恵まれすぎたようで、きのこの数は期待したほどでもなかった。
 シイなどの硬い枯葉が多いところに、鮮やかな黄色いヒダが見えた。キヒダタケだ。カサの表面は枯葉と同化して見つけにくいが、このヒダは良く目立つ。イグチ科の中で唯一ヒダを持つきのことされるが、傷をつけるとヒダが青変するイロガワリキヒダタケというのもあるらしい。
 すぐ近くのシイの根際にはテングタケ科の幼菌が出ていた。カサは黒褐色で条線があり、柄とツボは白い。良く見ると日に透けた部分にわずかなピンク色が見える。通称アカハテングタケと呼ばれるタマゴテングタケモドキのようだ。付近にもう少しカサの開いた幼菌が倒れていて、それでヒダのピンク色が確認できた。
 小さな落ち枝に黄色いビョウタケの仲間が並んでいる。ルーペで見ると根元にわずかな黒い部分が見える。ニセキンカクアカビョウタケという長い名前のきのこだ。撮影の間じゅう盛んに胞子を噴き出すのが見られた。名前の通りもっと赤いタイプもあるが、黄色いタイプの方をよく見かける。
 大きなアカマツの混じる雑木林で、白いアセタケのシロニセトマヤタケを見つけた。いつもスタイルがいいのでよく写真を撮るが、やはり薄暗い場所での白いきのこは撮影が難しい。
 鑑定の場所でもあまり多くの種類がなく、ややさびしい内容の会だった。
2003年
6月21日(土)

びわ青少年の家
神奈川県平塚市
 昨日あたりから最高気温が30℃に届くようになり、いよいよ夏のきのこが見られる頃となった。周囲からの情報では、テングタケ科やイグチ科が多くなってきているようだ。
 毎年決まってニオイコベニタケが出るところに、今年も出た。やや乾燥しているせいかカブトムシのニオイはあまり強くない。カサの表面に細かな粉が付いているように見えるのが特徴。鮮やかな紅色が美しい。
 今日もっともよく見かけたきのこはヤマイグチだ。1〜2本ずつまばらに生えていて、柄がとても堅くしっかりしたイグチだ。食菌だが柄が少し堅すぎるように思う。
 暗い林の地面にオレンジ色の縁を持った黒い盤菌を見つけた。良く見ると木の根から生えている。ゴムタケのような感じもするが、肉か薄いこと、周囲の色が鮮やか過ぎることで、確証が持てない。
 ※後日、青木氏仮称のシュイロコナチャワンタケであることが判明した。⇒後日、コフキクロチャワンタケと名付けられた。
 苔の上にきれいなクリイロイグチが出ていた。カサの表面がビロード状ではなく平滑で、全体の色も淡いのでクリイロイグチモドキの方なのかもしれない。成長すると柄が中空になるのがこの仲間の特徴らしい。
 もう一種、苔の上にカサの黒い小型のきのこを見つけた。名前が分からないので、採取する前にヒダと柄を確認して驚いた。なんとこれは、1本だけの小さなフチドリツエタケではないか!どの図鑑を見てもすばらしく美しい写真が載っていて、かねてからぜひ撮影したいと思っていたきのこを、こんな形で見つけるとは・・・。図鑑の迫力ある写真に到底及ばないが、念願のきのことの記念すべき遭遇である。高さが4センチ、それにしても小さい。
 こちらは小さいのが普通のヒメヒガサヒトヨタケ。2年前は一帯に大発生していたが、今日は数えるほどしかない。ピークを過ぎたのかもしれない。
 結局今日も、テングタケ科は小型の傷んだツルタケを1本見ただけだった。明日は見つけられるか?
2003年
6月15日(日)

新治市民の森
神奈川県横浜市
 雨が良く降ったこの時期に、月1回の定点観察だけでは見逃すきのこが多いように思って、臨時観察会を招集したところほぼフルメンバーが集まった。終日曇り空で気温が高く、蒸し暑い一日だった。
 湿った森の中を歩くと、足元には小さなきのこが無数に出ている。クヌギタケ属やホウライタケ属の小型菌となると、肉眼での同定はかなり困難であり、図鑑に載っていないような種類が多い。
 落ち枝にクヌギタケ属のきのこが束生していて、カサの表面は中心部だけが淡い灰褐色。周囲は白く粗い溝線が放射状に並ぶ、きれいなカサをしている。取り上げて柄の部分を良く見ると透明な粘液に包まれており、ヌナワタケだと分かった。あまりカサを平らに開かないきのこだが、こんな美しい表情も見せるようだ。
 最近ここを訪れた人のHPに立派なハタケシメジが出ていたので、ぜひ写真に収めたいと考えての召集だったが、しっかりした1本を見つけられただけだった。昨年秋に幼菌の群生を見た同じ場所だったので、これから何度も見ることができるだろう。
 畑地ではウッドチップの間からサンコタケがいくつも出ていた。しおれるのが早いのでしっかりした姿はなかなか撮影できないきのこだが、今日はいい状態が撮れた。
 コナラ林の斜面に差し掛かると、きれいなオリーブ色をしたイグチ科のきのこが生えていた。柄を観察すると細かな赤い粒点があり、ミドリニガイグチだと分かった。それにしても美しいカサの色だ。
 昨日に続いて今度は紅色型のハナオチバタケを見つけた。やはりこの色は華やかでいい被写体になる。
 大型のきのこを期待したが、まだ少し時期が早いようだ。
2003年
6月14日(土)

高麗山
神奈川県大磯町
 日本列島のほとんどが梅雨に入り、そして今年こそは梅雨らしく雨が多い。今年の梅雨は男性的な降り方・・・と言われながらシトシトと小雨が降り続く。近ごろはこれが男性的なのかと、妙に納得してしまった。
 今日は朝から晴れ上がり蒸し暑いが、久しぶりに見る青空はすがすがしく気持ちがいい。「湘南平」から自称「テングタケ通り」へ向かうコースを決めたが。スタートしてすぐのフィールドアスレチックの斜面で、いくつものきのこを見つけてなかなか前へ進めない。
 まだカサの開いていないイロガワリがいくつも出ていた。柄が鮮やかな黄色だが敏感に青変するので、うかつに触ることができない。慎重に草や葉を取り除いたつもりだったが、かすかにカサの縁に触れてしまったらすぐに色が変わってしまった。
 ベニタケの仲間もたくさん生えていたが、カビに侵されているものが多く種類が分からない。ドクベニタケは鮮やかな赤を見せて、元気な様子だった。
 この斜面にはイヌシデが何本もあって、その周囲にはヒロハシデチチタケが出ていた。たいていイビツな形が多いが、一本だけみごとな円形のを見つけた。ファインダーをじっと覗いていると、なにか陶芸作品の皿を見ているような気がしてきた。地味な色合いの中にも美しい模様が見えてくる。
 落葉を集めて捨てられた斜面に、ハナオチバタケの褐色型と思われるきのこを見つけた。非常によく似たハリガネオチバタケとの区別は肉眼では無理だとのことだが、一説にはヒダの数(20枚前後なら前者、15枚前後なら後者)で見分けられると聞いたことがある。実際はどうなのだろう。
 やっと「テングタケ通り」にたどり着いたのはもう昼を過ぎていた。尾根筋ではスミゾメヤマイグチを見つけることができた。柄の全体が黒の粒点で覆われ、濃いオリーブ褐色のカサに凹凸があり黒いぼかし模様が特徴だ。
 紫色がかった見慣れないベニタケが出ていた。カサの中央が窪んで周縁では表皮の色が放射状にひび割れている。柄にもかすかに淡い紫色のぼかし模様がある。図鑑で探すとウスムラサキハツに符合する。今まで見た記憶はないが、特にまれなきのこでもないようだ。
 テングタケ科のきのこはまだ出ていないようだが、1本だけ奇妙なきのこを見つけた。高さは6〜7センチ。全体がややくすんだ山吹色で、カサの表面にはトゲ状の突起が一面についている。ヒダを覆っていた被膜は柄に残らずにカサの周囲に垂れ下がっている。しかし、良く見ると被膜にはハッキリ条線があり、柄は上部ほど白くなっている。この特徴は確かに覚えがあると、良く考えると、どうやらキショウゲンジだと思われる。しかし、カサのトゲとツバが取れているのがひっかかる。
 最後に落ち枝に生えたオリーブサカズキタケを撮って、駐車場へ戻りかけた頃、大粒の激しい雨が降り出した。
 今年の梅雨は女性的(?)な降り方もするようだ。
2003年
6月8日(日)

寺家ふるさと村
神奈川県横浜市
 「マムシに注意!」の看板が、非常に説得力を持つ季節になってきた。しかし、そのマムシの居そうな所へわざわざ踏み込んで行くのだから、これからしばらくは細心の注意が必要だ。棒やステッキで草を分けながら、なるべく大きな足音を立てて歩くこと。そして、きのこを見つけても不用意には手を出さないこと。夏過ぎまでは気をつけたい。
 ちょうどそんな場所で、スギの倒木に橙色の中型菌が群生していた。チャツムタケによく似ているがほとんど苦味がない。これがコツブチャツムタケ(城川会長仮称)なのだろうか?
 同じスギ林の地面からはたくさんのオオホウライタケが出ていたが、カサが乾燥していたのでワサビカレバタケだと思ってしまった。カサもヒダもまったく辛味がなく、幼菌を見てオオホウライタケだと分かった。
 広葉樹の倒木からは興味を引くきのこが2種出ていた。まず目立ったのがカサ径35ミリくらいのカサヒダタケ。こんなに顕著なシワを持ったのは今まで見たことがない。カサを真上から撮ると、なんとも不思議な絵になる。まるで顕微鏡で菌糸を見ているようだ。もう1種は名前の分からないヒトヨタケ属の幼菌。かさ全体が白い繊維状の鱗片で覆われている。木から生えるヒトヨタケ属でこんなのがあっただろうか?
 尾根筋をしばらく歩いたがすでに地面は乾いていて、ほとんどきのこが見つからない。やっと見つけたカブラアセタケは、それでもなかなかいい状態だった。
 夕方近くになって、竹林の低地でシロキツネノサカズキを撮影。あまり色鮮やかなものは多くなかったが、形が面白いのでつい何カットも撮ってしまう。これも写真向きのきのこの一つだ。
2003年
6月7日(土)

七沢森林公園
神奈川県厚木市
 台風のおかげなどと言ってはたいへん不謹慎ではあるが、数日ごとにまとまった雨が降るのできのこには好条件のようだ。周囲からはベニタケ科をはじめ早くもイグチ科やテングタケ科の話題が出始めている。
 いつも通り「沢のさんぽみち」から歩き始めたが、針葉樹がメインなのできのこは少ない。大きな岩の苔の間に、鮮やかなオレンジ色の小型菌を見つけた。どうやらヒナノヒガサらしい。地面からはクロノボリリュウタケが出ていた。今日はあちこちで見られたが、どれも単生で絵になりにくい。
 いつも昼休憩を取る巡礼峠のすぐ近くで、散策路の脇に紫色のきのこを発見した。一見した第一印象はムラサキシメジ。晩秋に出るきのこだからそんなはずはない。するとフウセンタケ科なのか。カサの表面は平滑で湿り気があり、中心部分はやや褐色になっている。とにかく胞子紋だけは確認することにした。コムラサキシメジの可能性もある。
 コナラの多い斜面ではなかば土に埋もれたベニタケの仲間を見つけた。カサの表面が濃い赤紫色でヒダや柄が白く、柄の根元には赤いぼかし模様がある。カラムラサキハツだろうか、茨城県のシイダンゴ(カシタケ)に外見が似ているように思うが、付近にシイは無かったように思う。うかつにも味を確認しなかった。
 そのすぐ近くでは1本のコナラにだけ、ナラタケが群生していた。やや乾燥気味でカサの表面がひび割れていたが、まだまだ針のような幼菌もいっぱいあって、雨のたびにしばらく群生が見られそうだ。
 で、紫色のきのこの胞子紋はやっぱり白色だった。外見は小型のムラサキシメジなのだが、季節で消去されてコムラサキシメジとするのが妥当だろう。
2003年
6月1日(日)

新治市民の森
神奈川県横浜市
 昨日は台風4号による強い雨で「きのこ探索」に行く気になれなかったが、今日の定点観察には雨も止んで、午前中には青空も広がり始めた。雨の翌日ではまだきのこは出ていないだろうが、キクラゲかヒトヨタケ科くらいはあるだろうと観察を始めた。
 駐車場のすぐ近くでなんと計算通り(?)のヒトヨタケが出ていた。柄が純白でしっかりしていて、灰色のカサがとても肉厚だ。アルコールとの相性が悪く、人によってはヒトヨタケを食べた前後1週間に酒を飲んでも悪酔いのような中毒を起こすと聞いたことがある。私のような下戸は安心だが、調理に酒を使ったらどうなるのだろう。
 スギ・ヒノキが多い薄暗い林の中で、黄金色に輝くきのこを付けた落ち枝が見つかった。写真のモデルとしてたいへん優秀なダイダイガサだ。カサの表面全体に鮮やかなオレンジ色の尖った鱗片を付け、ヒダの方は全く色を持たない純白なのでその対比が鮮やかで美しい。まさにフォトジェニックなきのこだ。
 タケかササの地下茎から極めて小さなきのこが束生しているのを見つけた。カサの直径が3〜4ミリで高さも25ミリくらいしかない極小きのこだが、カサの色が赤くてアップで撮影するときれいだ。ヒダは8枚しかなくて赤い縁取りがあり、柄には繋がっていなくてヒダ同士が連結する面白い特徴が見られた。ホウライタケ属ヒメホウライタケ節に見られる「襟帯(キンタイ)」と呼ばれる特徴だ。
 今日はいたるところでアミスギタケが見られ、ハタケシメジもいくつか出ていたがすでに傷んでいるものが多かった。
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