今日はどこまで行ったやら･･･

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２００３年１０月２６日(日) 高麗山・地獄沢神奈川県大磯町	前回の高麗山では大雨にたたられてほとんど探索ができなかったので、秋晴れの好天気となった１０月最後の日曜日をここ高麗山で締めくくることにした。　１週間前にナラタケがたくさん出ていると聞いたので、春に群生を見た女坂を登るコースをとってみた。ところが、その倒木にはわずかに１～２本の小さなナラタケがあるだけで、その周囲の地面には真新しい足跡がいくつも残されていた。残念ながらわずかな差で先を越されてしまったようだ。　しかたなく、普段はあまり足を伸ばすことがない北東斜面の低地「けやき広場」へ行ってみることにした。すぐにキララタケの群生を発見。とても新鮮な状態で、カサの表面をルーペで見ると、細かな鱗片がまるでガラスの粉をまぶしたようにキラキラ光るのを観察できた。　付近の倒木にはコキララタケも出ていた。普通は根元にオレンジ色の菌糸塊（オゾニウム）を付けているが、このようにそれがほとんど見られない場合もあるようだ。　すぐ近くの倒木に鮮やかなオレンジ色のきのこを発見して、すぐにベニヒダタケだろうと思った。ところが同じ木から生えている幼菌がすべて赤い色で、カサや柄を良く見るとヒイロベニヒダタケとしか思えない。改めてさっきのカサをよく見ると周縁部に条線が見えるものの、カサの中央には赤い細かな隆起を見ることができたので、どっちか分からなくなった。同じ木に２種が生えることはごく普通にあるから、やはりこれはベニヒダタケでいいのかも知れない。　午後はいつものように地獄沢へ降りてみた。ここでも小さなナラタケを見つけたが、どうも普通のタイプと色合いが違う。カサ全体にグレーや黒っぽい鱗片が見えるので、これがクロゲナラタケという種類だろうか。　付近の地面からツバのはっきり見える小さなきのこが生えていた。以前にも何度か見つけたフミヅキタケのようだ。サイズはかなり小さくなって高さが３～４センチしかないが、スタイルとバランスがいいきのこなので、写真としては絵になりやすい。　※後日(11/3)、「キノコのホームページ」の山口氏にフミヅキタケではなく、柄が細くてツバが中ほどに付く「ツチイチメガサ」だと教えていただいた。　堰堤の上の倒木に見慣れないきのこが出ていた。ヒダを見ると淡いピンク色が見えたのでどうやらウラベニガサ科らしいのだが、こんなタイプのウラベニガサ科のきのこを図鑑で見たことがない。カサの中央部分には細かなシワがあって、全体的にきゃしゃな感じのきのこだった。　日没が早くなったので暗くなる前に車に戻ろうと急いでいると、ウッドチップを敷き詰めた道のわきで褐色のカサのきのこを見つけた。これといって特徴のはっきりしないきのこだが、どうやらこれはハタケシメジのようだ。付近を探すと単生のものがあと２本見つかり、残念ながら株立ちになったものはなかった。　狙いをつけていたナラタケがなかったので、今日はハタケシメジを持ち帰ることにした。






２００３年１０月１９日(日) 八菅(ﾊｽｹﾞ)いこいの森神奈川県愛川町 (神奈川キノコの会）	「どうせ大したきのこは無い」という先入観がずっと付きまとっていたために、少しでもきれいな状態のきのこがあれば、それを撮影して満足してしまった。　チシオタケはいつも可憐できれいな姿を見せてくれるので、きのこの少ない時でもいい被写体になる。落ち枝から２本だけ生えていたが、淡いワイン色のグラデーションと言い、カサの周縁に並んだフリンジ飾りと言い、スラッと長く伸びた柄と言い、うまくフレームに収まってくれる撮り応えのあるきのこだ。　そのすぐ近くにヒメロクショウグサレキンの生えた木片があった。ロクショウグサレキンに比べて中心の色が薄くほとんど白に近い。盤の中心があまりへこまず皿状の形にならないものが多いのも見分けるポイントだ。それにしても「姫・緑青腐れ菌」とは、何ともスゴイ名前だと思う。　もう１種はナラタケのごく小さな幼菌。大きなきのこが見つからないので、１センチほどしかないきのこを画面いっぱいに撮ってみた。　ところが、意外にも鑑定場所へ行ってみると、ミヤマタマゴタケやハタケシメジなど、大きくて絵になるきのこがたくさん採取されていた。やはりどんな場合でも諦めずに探すことが大事だと反省。


２００３年１０月１８日(土) ふじあざみライン静岡県小山町	もの事がめまぐるしく移り変わることをよく猫の目にたとえるが、今日の天気はその猫でさえきっと目を回したに違いない。私のきのこ探しの必須アイテム、クリーム色の傘が、撮影時の日除けに、探索時のステッキに、そして、本来の用途である雨傘にとフル回転の活躍だった。　今年は富士山へ行く機会があまりないままに、もう山頂に雪をかぶってしまった。時間を有効に使いたいと前夜からの「竹ベンツ」ビバークを敢行したが、夜通し雨が降ったので心配したほど寒くはなかった。　早朝から勇んで探索を始めたが、大きいきのこはまったく見つからない。やっと見つけたのは倒木のウロに生えたクリタケのようなきのこ。カサの表面が滑らか過ぎるので少し疑問があるが、ヒダの色はモエギタケに似た紫灰色だった。　付近に１本だけカヤタケが出ていた。ホテイシメジかとも思ったが赤っぽい褐色のカサと、その周縁に短い条線が見られたのでカヤタケで良さそうだ。　目に飛び込んでくるようなきのこが無いとなると、きのこ目のスケールは小型菌に切り替わる。そしてすぐにアシナガタケを発見。カサに水滴をつけて何本も立っていた。カサを指先でつぶしてニオイを確認したが、まったく無臭だったのでニオイアシナガタケではない。　やや大きめのクヌギタケのようなカサのきのこを見つけたが、柄をよく見ると繊維状でねじれている。根元にも白い菌糸があるのでミイノモミウラモドキのようだ。クヌギタケにそっくりのカサをしているがイッポンシメジ科のきのこだ。　朽ちた切り株に小さなきのこが群生していて、よく見るとカサの上にトゲのような鱗片が付いている。形から受ける雰囲気はクヌギタケ属のように思えるが、こんな特徴は図鑑に見当たらない。ほんの少し青みがかったような灰色にも見える。なかなか写真栄えのする面白いきのこだ。　クヌギタケの群生があちこちに見られたが、それに混じってずい分色の違うひと塊をみつけた。どうやらセンボンクズタケのようだ。湿っているときはカサにはっきり条線が見える。　帰りがけに売店できのこうどんを食べて、ご主人に聞いてみると、今年は９月上旬に一度ピークがあったきり、きのこが出なくなったらしい。これからもあまり期待できないだろうとのことだった。五合目では紅葉が見頃だった。





２００３年１０月１３日(月・祝）高麗山神奈川県大磯町不明菌の続報	かなりまとまった雨が降ったので期待して高麗山へ行ったが、やはりきのこはほとんど出ていなくて、前回のウスヒラタケの幼菌が少し成長していた程度だった。昼頃には雲行きが怪しくなってついに大粒の雨が降り始め、やがて集中豪雨のようになってしまい、その後の探索は断念した。　前回の「キノコの会の勉強会」で城川会長から、お願いしていた２種の不明菌の検鏡結果を伺ったが、２種とも耳を疑ってしまうほど意外なものだったので紹介しておく。　まず、９月２８日に高麗山で見つけた真っ赤なヒラタケ型の小型菌で、当初チャヒラタケ科チャヒラタケ属ではないかと思って掲載したが、これがなんと、フウセンタケ科の可能性があるとのことだった。まだ確定的ではないものの、フウセンタケ科の中に「柄が著しく偏心する」いわゆるヒラタケ型になる一属があるらしく、そのグループの１種であるかもしれないとのことだった。そうなれば「超」のつく珍菌に違いなく、今日も同じポイントを探して見たが見つけることはできなかった。　もう１種は、１０月４日に神武寺で見つけたモエギタケ科スギタケ属ではないかと掲載したきのこ。これは検鏡の結果はっきり同定されたが、これも驚くべきものだった。なんとヒトヨタケ科ナヨタケ属のきのこで、種名はすでに「新菌類図鑑Ⅰ」にも掲載されている「コムジナタケ」だとのこと。胞子が通常のヒトヨタケ科に比べて淡色であるため、新鮮なときのヒダの色がモエギタケ科のような紫灰色になるとのことだった。　ほとんどきのこのが出ない最悪の状況が続いているが、こうして珍しいきのこに出会えたことですこし慰められる気分だ。


２００３年１０月１２日(日) 大志戸木の実の里山梨県大和村	昨年ここでベニテングタケの群生を見たのが１０月５日だった。もうそろそろ出ている頃だと思い行ってみた。途中ずっと雨が降っていたので撮影は困難かと思ったが、運良く到着する頃に雨が止んでくれた。　車を停めて散策路を登り始めていきなり、階段わきにヌメリの著しい大きなカサを見つけた。カサの色は濃い栗色で白い柄にはっきりツバがある。ヌメリイグチだ。すぐ傍にはまったくツバのない幼菌があり、管孔面にいっぱい水滴をつけているのでこちらはチチアワタケの幼菌なのだろう。時どきこうして混生しているのを見かける。　遊具のある広場に黄色いカサの裂けたきのこが生えていて、アセタケ属だろうということまでは分かったが、図鑑で見ても種名は特定できなかった。アセタケの仲間は図鑑に載っていない種がたくさんあるようで、簡単には名前がわからない。カサの表面の条線がくっきり見えてきれいなきのこだ。　やはり予想通りベニテングタケは出ていたが、去年より１週間遅く、しかも数がかなり少ない。これから出るのかもしれないが、去年のような大群生は見られないように思う。それでもやはり、このきのこは迫力のあるきれいな姿をしているので、気がついたら何十カットもシャッターを切っていた。強い雨のせいでシラカバの葉が緑のままいっぱい落ちて、きのこの赤といいコントラストを見せてくれた。　さらに斜面を登っていくと、なんとも特徴のはっきりしないきのこが出ていた。カサの表面は褐色で目立った模様はなく、柄も同じような色でヒダは白い。つかみ所がないきのこだが、採取してみると柄の根元に白い菌糸のかたまりがあり、長い菌糸がいっぱい見える。これはスミゾメシメジの特徴だ。カクミノシメジと似ているが、この菌糸毛の有無で区別できる。　帰路の混雑を避けるため早めに出発しようと駐車場まで戻ってみると、なんと車を停めたすぐ近くにきのこが群生している。よく見ると１本のコナラの木を取り囲むようにいくつもの株がある。カサの表面を見て中央にトゲ状の鱗片があるのでナラタケの仲間であることはすぐに分かった。ツバが繊維状で弱々しく、どうやら昨日の四季の森でも出ていたワタゲナラタケのようだ。　渋滞回避が効を奏して、ほとんど渋滞に巻き込まれることなく帰り着くことができた。




２００３年１０月１１日(土) 四季の森公園神奈川県横浜市（神奈川キノコの会）	待望の雨はなかなか思うように降ってくれない。今週も月曜日にわずかに降っただけで、きのこが一斉に目を覚ますというほどのまとまった雨ではなかった。　案の定、今日の野外勉強会も硬質菌が多く、いい被写体になってくれるきのこは少なかった。今回は残念ながらすべて自分で見つけたきのこではない。　見つけるとどうしても撮りたくなるきのこが何種類かあるが、このダイダイガサはその代表のようなものだ。もうたくさん撮ったからいいかな・・・と思いながらも気がつくとファインダーを覗いている。肉眼で見るよりファインダーの中で見るほうが遥かにいきいきするきのこだと思う。　今日は園内の数ヵ所でアミヒラタケの新鮮なものが観察されていた。カサの表面にこげ茶色の鱗片を一面につけて、太いしっかりした柄を持っている。時にはビックリするほど大きなものもあるが、今日は大きくても１０センチくらいまでのものだった。幼菌のうちは食べられるようだが、成長してしまうと強靭なコルク質になってとても歯が立たない。　もう１種、写真向きのきのこがあった。腐朽の進んだ木から生えるウラベニガサ科のきれいなきのこ、ヒイロベニヒダタケだ。ダイダイガサと同じように特別珍しい訳ではないが、ついつい何カットも撮影してしまうきのこだ。　夜になってかなり本格的に雨が降った。幸い３連休なので明後日あたりにはいい結果が見られるような気がする。


２００３年１０月　５日(日) 新治市民の森神奈川県横浜市	昨日の状況から考えて、今日の定点観察会もあまり面白いものはないだろうと推測していた。ただ、昨日に比べると朝の気温が下がり肌寒さを感じるようになったので、きのこが生える引き金にならないかと淡い期待は持っていた。　いつも通り駐車場に車を停めてその周辺から探索を始めると、なんといきなりヒトヨタケの群生を見つけた。新鮮な状態なので今朝生えたものだろう。やや褐色がかったカサの色からヒトヨタケそのものと判断した。カサだけしか見えない小さな幼菌からカサを開いてすでに真っ黒に液化したものまで、種々そろったきれいな群生だった。　毎年決まって姿を見せるハタケシメジのシロがあって、今年もそろそろ出始めるかと期待をしていたら、やはりたくさんの幼菌を見つけることができた。灰色でツヤのないカサは乾いた枯葉にまぎれてたいへん見つけづらい。初めに見つけた場所へ撮影に戻ると、探したはずの場所でさらにいくつもの群生を見つけた。まだどれも小さな幼菌だったので採取はしなかったが、今年もしばらく楽しませてくれそうだ。　竹やぶの中に立ち枯れた木と倒木があって、ヒラタケやキクラゲがよく発生するのだが、今日はその同じ倒木からウスヒラタケが生えていた。付近一帯にペンキのスプレーを吹き付けたかと思うほど白い胞子が飛び散っていた。カサはすでに少し乾き気味でしおれかけていたが、大きく開いた新鮮なものもいくつか出ていた。　思いのほか数種の群生を見つけられて撮影もたっぷりできたので、予定していた谷戸の観察は時間がなくなってできなかった。これであと一雨あれば里山に多くのきのこが見られるようになるかも知れない。


２００３年１０月　４日(土) 神武寺神奈川県逗子市（神奈川キノコの会）	横須賀市自然博物館主催の市民自然観察会に、当神奈川キノコの会も参加してキノコ観察会が開催された。開始の挨拶で、まるで城川会長が責任を感じて弁解しているような、今はきのこが少ないという説明があった。　まったく予想通りで、ほとんど堅いきのことツチガキの仲間が多く、ハラタケ類は数種類しかなかった。　その中の１種、大きな倒木に生えていたのは、スギタケの仲間のようにカサ全体に褐色の鱗片がある小型菌で、やや灰色がかったヒダの色からモエギタケ科であることまでは分かったが、図鑑を見ても種名が判明しなかった。スギタケ属だろうと思ったが、検鏡しないと分からないとのことだった。　そのすぐ傍に高さが６～７センチのヒトヨタケ科のきのこが生えていた。見たところカサも柄も繊維状の菌糸に覆われ、柄が上部ほど細くなっているのでザラエノヒトヨタケだと思ったが、ヒトヨタケ科も肉眼的には似たきのこが多いため、正確には種名を断定できない。同定はヒトヨタケ属までということになった。　どうもきのこの少ない時ほど、珍しいものを見つける傾向がある。みんなが目を皿のようにして探す結果なのだろう。　※９月２８日(日)に高麗山で見つけた、赤い小さなヒラタケ型のきのこを城川会長に見ていただいたところ、チャヒラタケ科でもヒラタケ科でもなさそうだとのことで、詳しく検鏡していただくことになった。