今日はどこまで行ったやら・・・


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2005年
 6月26日(日)

真鶴半島自然公園
神奈川県真鶴町
(神奈川キノコの会勉強会)
 
 本年度第1回目の「神奈川キノコの会・野外勉強会」が、神奈川県の最西端にある真鶴半島で開催された。午前中にはすでに真夏日となる猛暑の中で、探究心と好奇心の塊と化した精鋭メンバーの「きのこ探し」が始まった。
 梅雨とはいえほとんど雨が降らないため、大きなきのこは見つけることができなかった。そうなると、ありふれた小型菌でもいい状態のものを被写体に選んで撮影に集中するしかない。
 いつもいい被写体になってくれるダイダイガサが、幼菌から老菌までたくさん見ることができた。熱帯性のきのこで関東より北では見られない種類らしい。
 湿り気の多い黒い土からは、とても小さなキツネノカラカサ属のきのこが生えていた。カサ径は1センチ足らず。黒い鱗片が中心から放射状に広がり、柄にはしっかりツバが残ってとても繊細な美しさがある。種名はクロヒメカラカサタケでよさそうだ。
 落ち枝には鮮やかなレモン色の子嚢菌、ニセキンカクアカビョウタケが群生していた。これも南方系のきのこで、県下では海沿いの山に多く発生する。名前の通り赤いものもあるようだが見かけるのは黄色ばかりだ。
 もう1種、温暖地性のきのこで硬質菌のフルイタケをたくさん見ることができた。カサの表面を見る限りではセンベイタケとまったく見分けがつかない。ところが裏面をみるとビックリするほど一目瞭然。まさに「ふるい」ほどの目の粗さだ。
 こうなると、分布域が広がりつつあると言われる発光菌シイノトモシビタケも、近いうちにこの辺りで見つかるに違いない。図鑑には柄の基部に長い毛が密生すると書いてあるので、これを見つけたときはドキッとしたがホウライタケ属のきのこだった。それにしても異様に長い毛を付けているのは何のためなのだろう。
 またまた水不足が心配されるほどのカラ梅雨になっている。雨乞いでも何でも試してみたい心境だ。
2005年
 6月25日(土)

芝公園
東京都港区
 昨年は月一回の土曜出勤の日に、この芝公園のウッドチップを敷いた一角でいろんなきのこを撮影することができた。今年は雨のタイミングが悪くほとんどきのこを見ることができなかったが、今週は少し雨も降ったので何かあるはずだと探してみた。
 ところがもうウッドチップがくたびれてしまったのか、ヒトヨタケ科の1本すらも出ていない状態だった。諦めて帰ろうとしたが、さすがに夏至の頃となると午後6時を過ぎてもまだ十分に撮影可能な明るさだ。もう少しだけ公園内を歩いてみることにした。
 すると、石段の脇の薄暗いところにベニタケ科のきのこが1本だけ出ていた。カサ全体が粉っぽくて湿り気があり、紅色と黄色い部分が見える。この色の特徴はケショウハツだろう。カブトムシのようなニオイも少しあった。
 続いて少し大きめのベニタケ科も発見。これは2本ずつ4〜5ヵ所に生えていた。粗いヒダですぐにクロハツだと分かった。
 もうかなり暗くなって限界に近い頃、今度は緑色のベニタケを見つけた。もう肉眼でカサの細部を確認できないので、ひとまず撮影だけして後でチェックすると、どうやらアイタケらしい。
 諦めずに歩いてみるものだ。まさに犬も歩けば・・・か。
2005年
 6月19日(日)

びわ青少年の家
神奈川県平塚市
 これほど蒸し暑くなっていれば、もう里山にはベニタケ科のいくつかとテングタケ科の1〜2種は見られるだろう。・・・と、本当にそう思っていた。ところが、きのこが多いはずのこの施設内で、目を皿のようにして探したが見つからない。蒸し暑いことだけが現実だった。
 3年前の6月、この施設の付近で新種「コガネハナガサ」を見つけたので、今日もその場所を丁寧にチェックしたが、ハイイロイタチタケがいくつか出ているだけだった。
 キャンプ場の地面に、ササクレに覆われた褐色の団子状のものをいくつか見つけた。去年のキショウゲンジのポイントだったので、それの幼菌だとすぐに分かった。大きなツバと太い柄がわずかに見えている。
 園内をくまなく歩いたが何も見つけられず、最後に入り口にある小さな池へ向かった。その階段の脇にナガエノチャワンタケが出ていた。貴重な被写体だからと三脚を広げていると、そのすぐ傍にもう1種目立たないきのこがあった。
 同じ子嚢菌のクロアシボソノボリリュウタケだ。名前はとても長いがきのこは高さが4センチほどしかない。カサの形がユニークで上面の黒いところから胞子を飛ばす。
 最後になってようやく大きめのきのこが目に飛び込んできた。ベニタケ科でもテングタケ科でもない、なんとイグチ科だった。赤っぽいカサの表面が細かくひび割れていて、管孔面は黄色くて青変性がある。カサを割ってニオイを確認すると、粉っぽい感じの甘い香りがする。コウジタケでよさそうだ。
 スタートが遅れているのか、それとも生える種類が変わって行くのか、去年とはずいぶん様子が違うように感じる。
2005年
 6月18日(土)

富士山・西臼塚
静岡県富士宮市
 週の半ばにまとまった雨が降り、その後あまり晴れないまま週末に突入。こんないい条件は久しぶりなので、目新しい種類を求めて富士山南麓の西臼塚へ行くことにした。
 ここではまだそれほど気温が上がっていないせいか、大型のきのこには出会えなかったが、被写体としては撮り応えのある面白いものが見られた。
 公園内の散策路をたどってすぐ、コケの中に赤いものを見つけた。雨ですっかりグレバが流れ落ちてしまったキツネノロウソクだった。似た種類がいくつかあるが、赤とピンクの境界線がはっきりしているので間違いなさそうだ。
 倒木にタケハリカビに侵されたチシオタケを見つけた。特にクヌギタケの仲間がこのカビにやられるようで、今日はこの他にもクヌギタケ、コガネヌメリタケなどで見られた。
 何ヵ所かの倒木上にナラタケを見かけたが、少しずつ特徴が異なっていて同種なのかどうかが分からなかった。黄色みの強い幼菌やツバが綿毛状になっていてはっきり残らないものなど、2〜3種類が入り混じっていたのかもしれない。
 ブナの大木が立ち並ぶ広場で休憩がてらに昼食を摂り、食後の腹ごなしに歩き回っていると、1本だけシワカラカサが生えていた。シワだらけのカサと柄の下半分だけに鱗片が付いているのが特徴で、カサの周囲には被膜の名残が並ぶ。真っ白いヒダとのコントラストが印象的だった。
 これと少し外見が似ているきのこがブナの倒木に生えていた。同じようにカサの周囲にフリンジ飾りが並ぶが、こちらのヒダはカサと同じ褐色をしている。モエギタケ科のヒメスギタケだ。カサの表面に粉状のトゲや粒が付いていて、少し触れるだけで簡単に取れてしまう。
 歩き疲れて車にたどり着く直前、形の面白いものを見つけた。出始めたばかりのフサヒメホウキタケだ。クローズアップしてみるととてもユニークな姿なので、もうひとがんばりして撮影した。ことじ型の分岐を繰り返す・・・と、図鑑に書いてある。「なるほど」と納得できる表現だ。
 山を降りて御殿場に出ると、車のエアコンをつけるほど蒸し暑かった。富士山がもう少し暑くなるころ大型菌も出始めるだろう。
2005年
 6月12日(日)

高麗山・湘南平
神奈川県平塚市
 入梅2日目。雨の中の撮影や良くても暗い曇天を覚悟していたら、なんと朝から青空が広がって、夏の日差しが照りつけている。これならきっときれいな状態のきのこが何か出ているに違いない。
 気温はぐんぐん上昇して、湘南平に着いた頃にはじっとしているだけで汗が流れる。蚊取り線香とタオルが撮影の必需品だ。
 散策路脇の地面に小さな赤いきのこを見つけた。よく見ると真っ赤なカサの周囲に鮮やかな黄色いラインが見えた。これはヒイロベニヒダタケに違いないが、朽ちた倒木に生えるはずだからきっと埋もれ木から出ているのだろう。
 いよいよ今年もベニタケ科の季節になった。湿り気の多い土の斜面に、赤紫のカサに真っ白な柄とヒダのベニタケ属を見つけたが、いかに第一印象だけで乱暴な同定をする私もこの仲間は苦手だ。覚えるためにも何とか細部をチェックして図鑑を開くのだが、多くの場合当てはまるものが見つからない。今回もそうだった。消去法でいくとカワリハツの紫型になるのだが・・・。
 低木の植え込みの中に丸いものが二つ見えたので覗きこむと、小型のオオゴムタケが並んで生えていた。沢沿いなどの水分の多いところを好むきのこだから、ちょっと意外な場所だった。
 逆に日差しが強くても平気なのがヒメカバイロタケで、炎天下のマツの倒木などにみごとに群生しているのを何度か見ている。明るい日差しが似合うきのこだと思う。
 枯葉の堆積した日陰の斜面に、いくつもハイイロイタチタケが生えていた。とてももろいきのこで、うっかり手を触れるとばらばらに壊れる。周囲の枝や葉を慎重に取り除いて撮影するのだが、今度はわずかなそよ風にもゆらゆらと止まってくれない。かなり忍耐力の必要なきのこだ。
 まだきのこが少ないが、きれいな状態のものはこれから一雨ごとに見られるだろう。
2005年
 6月11日(土)

七沢森林公園
神奈川県厚木市
 いよいよ関東が梅雨に入った。予報では今年は梅雨らしい梅雨だということなので、タップリの暖かい雨がきっと野山をきのこだらけにしてくれるだろう。
 どんより曇った空を気にしながら、七沢森林公園の沢沿いを中心に探索したが、またまた息を止めてシャッターを切る苦しい撮影を強いられた。超小型の細いきのこは自分の鼻息でも揺れてしまう。
 比較的大きなきのこはイタチタケくらいのもので、それもたった1本だけのやや傷んだ成菌だった。
 HP「東京山案内人」の中島さんから、発光菌シイノトモシビタケの分布が広がっているという情報をいただいていたので、これを見つけた時は「まさか!」と思ったが、外見がちょっと似ているだけのクヌギタケの仲間だった。シイノトモシビタケは朽ちたシイの材上に生えるらしいので、これからも気にはかけておきたい。
 すぐ近くの地面からは柄の長いクヌギタケ属のきのこが出ていた。強くはないが薬品臭があったのでニオイアシナガタケだと思うのだが、小型のクヌギタケの仲間は同定が難しい。
 やっと種名の分かりやすいきのこを見つけた。今年はなぜか発生が少ないと気になっていたニガクリタケだ。独特の黄色いカサと硫黄色のヒダで、かじってみて強い苦味があるので間違いない。年中どこにでも見られるきのこだが、今年はほとんど群生をみなかった。・・・今日のオマケ
 夕方から雨が降り出して梅雨らしい天気になってきた。息を止めなくてもいいきのこを見つけたいものだ。
2005年
 6月 5日(日)

新治市民の森
神奈川県横浜市
 雨が降って気温が上がる。そして里山にも地面に生えるきのこが姿を見せ始める。今日の定点観察会は先月までと打って変わって、多くの地上生きのこを見ることができた。
 今日もっとも広範囲で観察できたのはこのイタチタケだろう。あちこちに生えていたが、少しずつ細かな部分に違いがあったこと。すべて同じイタチタケで良かったのか、少し気になるところだった。
 同じく草むらのあちこちに、スジオチバタケを見ることができた。なかなかカサの溝線が整ったものが少なく、以前に比べてカサの形に乱れが多いように感じるのは気のせいだろうか。
 毎年、見ることができる坂道のポイントに、もうハタケシメジが生えていた。場所を知っているから見つけられたが、本当に土の色にまみれて見つけにくいきのこだ。
 見つけにくいと言えば、このクロノボリリュウタケもその仲間だろう。薄暗い道端などではうっかり踏み潰してしまうことがある。カサも柄もまったく不定形でちょっと不気味な雰囲気もあるが、ユニークな姿は写真的にもなかなか存在感のあるきのこだ。
 そのすぐ近くにはキツネタケが並んでいた。これも今日、あちこちで見かけたきのこだ。硬くて時どき扁平になる柄が特徴で、同じ形態でキツネタケモドキというのもあるらしいが、顕微鏡でなければ区別できないようだ。
 今年初めてのテングタケ科のきのこを見ることができた。以前にタマゴテングタケモドキ(アカハテングタケ)を見た空き地だったので、これもそうだろうと思ったが、もっとカサを開いた成菌でもヒダの色は白いままだった。はっきりツバがあるのでこれはツルタケダマシということになる。
 テングタケ科のきのこが出始めると、今まで超小型きのこを息を止めて撮影していたのが可笑しく思えるほど、迫力のある写真が撮れるようになる。ミクロの世界もそれなりに面白味はあるが、やはり威風堂々とした姿を真正面から撮る醍醐味を今年もぜひ期待したい。
2005年
 6月 4日(土)

伊豆スカイライン
静岡県伊東市
高麗山・子供の森
神奈川県平塚市
 週末にかけて災害が心配されるほどの雨という予報だったが、実際は傘も不要な程度の降り方だった。そこで、少しでも多く降ったと思われる伊豆半島へ向かった。カーナビで伊豆スカイライン沿いに「野鳥観察・鹿ヶ谷公園」という所を見つけて、そこへ行くことにした。
 ところが時速30kmでも危険なほどの濃霧で10m先が見えない。やっと着いて探索を始めたが、枝葉からのしずくがまるで大雨のように落ちてくる。ウグイスとホトトギスが盛んにさえずっていたが、姿は見えない。
 枯木の目の高さのところに、毛むくじゃらのヒラタケ型のきのこが並んでいた。カサの表面は色が褪せてしまっているが、濃いオレンジ色のヒダでキヒラタケだと分かった。肉厚でしっかりしたきのこだが、独特の変なニオイがあり硬くて食用にはならない。
 きのこがほとんど見つからず天候も悪いので、昼前に切り上げて地元の里山へ戻ることにした。向かったのはやはり高麗山で、しばらく歩いてなかった「子供の森」を探索してみた。
 やはりきのこは少ないが、それでもすぐに真っ赤な幼菌を見つけることができた。ヒイロベニヒダタケの幼菌はいつもいい被写体になってくれる。
 道の真ん中に黄色いきのこが束生している。見覚えがあるような無いような・・・。ツバと柄を見てやっと分かった。地面に生えているように見えるナラタケだ。周囲を探したが他には無かった。
 落ち枝から真っ白な小さなカサが出ていて、よく見ると柄に強いヌメリがある。柄だけがゼリーで覆われているような感じで、これはヌナワタケで良さそうだ。
 ドクダミの葉に何かカビのようなものがついていた。白いマットの上にビッシリと黒い点が並んでいる。一見するととても不気味だが、黒い点をルーペで観察して驚いた。一度は見たいと思っていた粘菌(変形菌)のシロジクウツボホコリだ。胞子嚢が玉虫色の金属光沢を持つ、とても神秘的なものだ。※ヤマケイのフィールドブックにより種名を記載したが、ネット検索により正式名称は「ジクホコリ」であることが分かったので訂正します。
 明日の新治定点観察はもっと多くの種類を見ることができるだろう。
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