今日はどこまで行ったやら・・・


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2006年
 6月25日(日)

鎌倉中央公園
神奈川県鎌倉市
(神奈川キノコの会・勉強会)
 「三浦半島とはなぜか相性が良くない」・・・というジンクスは、今日も崩すことができなかった。今年最初の「神奈川キノコの会」の野外勉強会は、その相性の良くない三浦半島、鎌倉中央公園で行われた。
 今年の梅雨はそこそこ雨の量も多くいい条件のはずなのだが、小さなベニタケの仲間が少し見つかるくらいで、大きなものが目に飛び込んでこない。
 散策路の階段の木材から小さなきのこが2本生えていた。種名が思い浮かばないまま、まずは撮影開始。モニターで大きくしてみるとカサ全体にフェルト状の繊維があり、まるでムジナタケのような感じだった。しかしツバはなくて柄の全体には白い鱗片があり、根元に白い菌糸が生えている。全体的にはアセタケ属のような雰囲気なのだが、鑑定会でも不明になってしまった。
 落ち枝に黒い小さな貝殻型のきのこがたくさん生えていて、カサの表面には白い短毛が密生している。どうやらシジミタケのようだが同じ木からずいぶん大きくていびつな形のカサも生えていた。こうなると少し雰囲気が違って見える。
 鑑定場所で注目されたのは株状に生えた中型菌で、まったく見覚えの無いもの。カサの表面には細かなシワがあり、数本から10数本が株になってまるでナラタケモドキのような生え方をしている。城川会長を大いに困らせた「不明菌」となった。これほどの大きさで未知種が生えるというのは、確実な気候変動の証拠ではないかと考えてしまう。
 同定がスッキリしない種類が多かったので、締めくくりは鑑定に持ち込まれた極めて分かりやすい種類を撮った。鮮やかなオゾニウム(菌糸塊)に囲まれたコキララタケだ。オゾニウムがない場合も多いので、こういうシーンはきっちり撮っておきたい。
2006年
 6月18日(日)

新治市民の森
神奈川県横浜市
 先月に続いてまたまた雨の定点観察会になり、懲りないモノズキの集いとなった。今年の梅雨は本当に梅雨らしい天候になっている。こういう日こそ尾根伝いに歩く方が目新しい種類に出会えることが多いのだが、森の中はとても暗くて思うように撮影ができない。
 針葉樹の多い尾根筋ではあちこちでモリノカレバタケとスジオチバタケの群生が見られた。カメラを向けるのはどうしてもスジオチバタケになってしまう。溝線に乱れのないきれいなカサだった。
 もう数種類のイグチの仲間が姿を見せるようになったが、中でも一番大きく堂々としていたのはヤマイグチだった。まだほとんど虫の付いてないきれいな状態だった。
 その付近ではうっかり見過ごしてしまいそうな極小菌、シロコナカブリが2本並んでいた。肉眼ではほとんど見えないが柄には長い毛(シスチジア)がびっしりと生えている。暗い中での撮影はとても困難だが、それが純白の超小型きのことなればもうお手上げ状態だった。
 もう1種、どうにも撮影がままならないきのこが見つかった。そこそこの大きさがあるイグチなのだが、肉眼でもどこにあるのか分からなくなる。見事な迷彩色をしているオニイグチモドキだ。少しカサをかじられた後だったが、管孔面がまだ明るい灰色の新鮮なものだった。
 夕方になるとますます空が暗くなり、雨も強く降るようになってきた。もう撮影の無理な明るさになってきて駐車場へと向かっているとき、広葉樹の落ち枝に見覚えのないきのこを見つけた。鏡で目いっぱい明るくして撮ったのでかなり不自然になってしまったが、柄とヒダの鮮やかな黄色はなんとか写った。いくら考えても図鑑をめくっても思い浮かぶ似た種類もない。※後日、ヒロハアマタケの幼菌と分かった。
 このところ「まるで見当も付かない」という種類がよく出てきて、興味深くて面白いのだが、何ともスッキリしないモヤモヤ気分になってしまう。
2006年
 6月17日(土)

びわ青少年の家
神奈川県平塚市
 3年前の今ごろ、びわ青少年の家で見つけてフチドリツエタケだと思った小型菌が、城川先生の検鏡でウラベニガサ科だと分かった時はとても意外だった。先日、先生から「Pluteus eugraptus」にほぼ間違いなく和名がないので「フチドリコイノベニヒダタケ」という仮称にしているとメールをいただいた。カサ表面の写真を撮ってなかったのが悔やまれる。
 そこで時季がちょうどいいので探すことにしたが、珍菌はそう思い通りに見つからないから珍菌なのだ。残念ながら見つけられなかった。
 今日たくさん見られたのはベニタケ科の仲間で、毎年コナラの根元に生えるニオイコベニタケも可愛い姿を見せていた。数ある赤いベニタケの仲間では最も鮮やかな「赤」だと思う。
 もう1種はあちこちにいろんな大きさで見つけられたチギレハツタケだ。小さくてカサの開いてないものはちょっと同定に自信がないが、成菌や老菌が傍にあるので間違いないだろう。
 サクラの枯木(根元に「マメザクラ」の名札が落ちていた)に小さなヒラタケ型のカサが並んでいた。よく見ると根元が山形に盛り上がった灰色のカサで、表面はビロードのように毛が密生している。これはヒメムキタケだ。日に透けるヒダがとても美しい。
 枯葉を集めて捨てられた場所では種名の分からない小型菌が出ていた。高さは約4センチで明るい褐色のカサと白い柄でヒダは極端に幅が狭く、柄からは大きく離れている。こんなに広く隔生している特徴は決め手になると思うが、図鑑でも該当するものが見当たらなかった。モリノカレバタケ属ではないかと思うのだが・・・。
 ずいぶんスタイルのいいクロノボリリュウタケを見つけた。カサの形は不定形で柄には深い溝があり、ずんぐりした形態のものが多いのだが、カサがまるで何かの動物の顔のような形のスマートなスタイルで立っている。まるで別種のように見える。
 少し歩くと汗が流れる季節になってきた。明日の定点観察ではテングタケ科に期待しよう。
2006年
 6月11日(日)

富士山南麓・高鉢
静岡県富士宮市
 朝、外を走る車のタイヤの濡れた音で目が覚めた。富士山へ行くと決めていたからせめて小雨程度であって欲しいと願ったが、結局は時おりたたきつけるような激しい降り方の梅雨らしい一日だった。
 昨日、「遊々きのこ」のフジタケさんがキイロスッポンタケを撮っていたので、何とかいい状態が見つかることに期待した。
 標高1,600mの高鉢ではミズナラの倒木が多いようだが、全体が苔むしていると樹種が分かりにくい。そんな倒木のあちこちにクヌギタケがたくさん生えていた。絵になりそうなものを選んでいくつか撮影した。
 同じようにたくさん生えていたのはコブリマメザヤタケの不完全世代のもの。大きな倒木から小さな落ち枝まで、いくつもの群生を見ることができた。これだけあればどこかに完全世代の子実体がないものかと探していると、長さ2センチほどの1本だけが苔の間に出ていた。
 笹薮に近いところに、カサの周囲に鱗片を付けた中型のきのこを見つけた。カサの様子から大型のナヨタケ属だろうと思ったが、よく見ると長い柄のどれにもはっきりツバが付いている。チャモエギタケかカバイロタケのどちらかで迷ったが、カサの粘性が強くかなり柄が長いのでカバイロタケだろうと判断した。
 太い倒木の苔の上に柄の長い小さなきのこが並んでいた。第一印象は「ずいぶん黒いクヌギタケ属」だった。幼菌にいたってはカサも柄も真っ黒。図鑑で探すとどうやらニセアシナガタケということになりそうだ。柄の下半分が黒っぽいのも特徴が合う。
 同じ倒木の下側には黄色い大きなカサが見えた。この生え方と鮮やかな山吹色からオオワライタケだと判断して味を確かめた。噛むにつれてどんどん苦さが口に広がる。近くには幼菌もあった。
 高鉢から西臼塚へ下っていく道をかなり歩いて、もう目当てのキイロスッポンタケは見つからないかと諦めかけていた。切り株に群生したクヌギタケを撮るかどうか迷っていた時、鼻を突くすえたニオイが漂ってきた。動物のフンでもあるのかと立ち上がったら、視線の先に白い柄と黄色い頭が見えた。急いで近づくと紛れもなくキイロスッポンタケの群生。雨に打たれてほとんどが倒れていたが、何とかいい状態のものを撮影できた。
 長靴にレインギア、さらに傘を差しての探索は億劫になるが、イキイキしたきのこを見ることができるのでいつも結果には満足できる。
2006年
 6月 4日(日)

高麗山・湘南平
神奈川県平塚市
 雲が切れるとまるで初夏のような強い日差しになる。そろそろきのこの種類も顔ぶれが変わったかと思い、湘南平から「テングタケ通り」までを往復した。
 遊具のある斜面ではヒロハシデチチタケがずいぶん増えていたが、それに混じってベニタケの仲間も出始めたようだ。ベニタケ属の見分けはたいへん難しいが、今日たくさん生えていたのはチギレハツタケだった。ヒダにやや色がある点が疑問だが、カサの表皮が剥がれやすく肉に辛味はなかった。
 今日は落葉の間に生えている小型のきのこをいくつか見つけたが、初めて見るものが多かった。カサも柄も真っ白で高さが6センチほどのきのこは、カサの形からシロトマヤタケかと思ったがヒダも真っ白なので恐らくキシメジ科なのだろう。カサには放射状のカスリ模様があり柄には粉状の鱗片が付いている。
 そしてもう1種、まったく不明のものがあった。カサはツヤのない樺色で柄も同じ色で縦に繊維状の筋がある。ヒダは白く密で枯葉の上に菌糸のマットを作っている。これもキシメジ科だと思うが図鑑に見当たらない。※後日、検鏡していただきデルモロマ属sp.とされた。
 今度は本当にシロトマヤタケを見つけた。カサの表面は繊維質で何よりヒダの色が褐色を帯びている。すぐ横に幼菌があったが、カサが淡い紫色をしている。
 石から生えるきのこなどあるはずがないのだが、時どき斜面に露出した石の表面に極小の白いカサを見つけることがあった。よく見ると石の表面のわずかな土や苔から生えているようだが、図鑑を見ていてやっとその種名が分かった。なんとこれがチチタケの仲間だというから驚く。乳が出ることもカサの味も確認は極めて困難だ。
 クヌギの大木の根際にきれいな紫のベニタケを見つけた。粘性が強いらしくてカサのゴミが取れない。撮影後に味を確かめたがまったく辛くないので「カラ」の付かないムラサキハツのようだ。これも初めて見るきのこできれいな紫のグラデーションがとても印象的だった。
 この季節になるときのことは別に粘菌(変形菌)を探してみるのも面白い。ルーペでやっと見えるミクロの世界は知る者だけの楽しみかも知れない。昨年初めて見たジクホコリだが、今年はまだ色のない状態を見つけた。時間を経て黒くなっていく経過を見ることができた。さらに初めて見る粘菌も1種あった。
 小型から超小型、さらにはミクロの撮影で目と腰が疲れ切ってしまった。
2006年
 6月 3日(土)

七沢森林公園
神奈川県厚木市
 朝から雲が厚く時おり小雨のパラつく過ごしやすい天気になった。こういう日は尾根筋を歩いても面白いに違いないと、久しぶりに七沢森林公園へ行ってみた。
 正面入り口横のコナラの斜面から入るとすぐに、倒木上のフサヒメホウキタケが目に入った。いくつもの塊がとても新鮮な状態で勢いがあった。他のホウキタケの仲間に比べると垂直に伸びる枝が印象的だ。
 別の大きな倒木にカサが見えたので、前にここで見つけたイタチナミハタケだろうと思った。ところが肉が薄くヒダの縁も波型になってない。よく見るとカサの表面に褐色の毛が生えている。ずいぶん大きなカサだがこれはクリゲノチャヒラタケだ。大型でカサ表面の毛が少ないタイプがあるのかと思ったら、すぐ横に小さくて毛に覆われた幼菌があった。
 サクラの枯木に褐色の硬質菌がびっしり生えていた。今までにあまり見た記憶もなかったので撮影した。図鑑で調べるとどうやらカワウソタケのようだ。管孔面がやや銀色に光り、カサの表面は褐色の胞子に覆われているらしい。大きくはないがこれだけ並ぶとなかなか壮観だ。
 泥まみれになった株状のきのこを見つけて調べていると、視野の端に何やらうごめくものが見えた。なんと、2匹のヤマヒルがまっしぐらに向かって来るではないか。そう言えばこの公園にもヤマヒルが出るようになったと聞いていた。慌てて両足をチェックすると、すでに2ヶ所もやられていた。これからはヒル対策が必要になるかと思うとゆううつになる。
 こうなると足元を気にしながらの探索になるから、よほどいい被写体でないと撮る気になれないが、その「いい被写体」を2種類見つけた。まず、色鮮やかなダイダイガサだ。カサの大きさも生え方のバランスもいいのでアングルを変えて何カットも撮る。
 もう1種は久しぶりに見るシロキツネノサカズキだ。こちらは大き目の1個を色を重視して撮ってみた。群生もきれいだがこういうクローズアップも趣があるきのこだ。
 ヤマヒル生息地はもっと広がっていくのだろうか。避けられないなら万全の対策を考えなければ・・・。
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