今日はどこまで行ったやら・・・


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2006年
 7月30日(日)

富士山南麓・西臼塚
静岡県富士宮市
 今日は相模原市で「神奈川キノコの会」の勉強会の日だったが、昨日が月1回の土曜出勤の日でしかもそろそろ梅雨が明けそうな気配だったので、撮影を優先したくて勉強会を休んで富士山へ行った。
 早朝から歩きたかったので久しぶりに前夜出発で現地ビバークをした。帰路の混雑を避けて早めに現地を発ちたいこともあるが、もう一つ早く帰って来たい理由もあったのだ。
 朝6時、東側駐車場付近にあるモミ林を歩いてみると、早くもウスタケが出始めていた。緑の中でとてもよく目立つきれいなきのこだ。近くには幼菌も並んでいた。
 ブナの倒木がたくさんあるポイントを歩いてみたが、倒木に出るきのこがことごとく姿を消していた。大きなブナの立ち枯れにも極小菌以外は何も見つけられなかった。かなり探し回ってやっとひと塊のウスヒラタケだけ。
 これなら散策路のある公園内の方がマシかも知れないと急いで移動した。入り口には恐ろしい看板が立っていて、入っていくのをためらってしまう。仕方なく、おもむろに大きな咳払いをして入っていく。ほんの気休めだが・・・。
 遠くの切り株に大きなマスタケを見つけた。差し渡し30センチほどもあり色も鮮やかなので遠くからでも簡単に同定できた。
 やっときのこが群生するきれいな倒木を見つけた。やはり富士山ではこういうシーンを撮りたいものだ。種類はどうやらムササビタケのようだ。
 やや赤味のある褐色のカサが並んだ切り株があった。柄が短くてヒダがよく見えなかったが、この独特の色合いはサマツモドキだ。大きさにかなりの幅があるきのこで、時どきとんでもない大きさに驚かされる。これは10センチ前後のものだった。
 一番奥にあるブナの広場で昼食を摂っていると、それまで目まぐるしく入れ替わっていた空模様がとうとう本降りの雨になってしまった。仕方なく傘を差して車に向かっていると、それまで単生だったヒメコナカブリツルタケが珍しく束生しているのを見つけた。これは見過ごせないと傘を差しながら撮影。
 急いで帰りたいもう一つの理由は、昨日の仕事帰りに平塚駅のバス停で見つけたヤナギマツタケを撮りたいからだ。今までにも小さなものは生えていたが今回は見事な大きさ。やっと本種らしい姿を撮ることができた。
 やはり今日で梅雨が明けたらしいが、本格的なきのこシーズンはもう少し後になりそうだ。
2006年
 7月28日(金)

23日地獄沢の続編
神奈川県平塚市
 先日の高麗山・地獄沢で見つけた中で、とても興味深いものがあったので記録しておく。
 地獄沢の上流に一つ大きな堰堤があり、その上は一面にヤブミョウガが生い茂っていたためにほとんど探索ができなかったが、一箇所に倒木を積み上げた所があって数種のきのこが観察できた。
 倒木の間の薄暗い中にフサヒメホウキタケの幼菌があったので、何とかGallery級の写真を狙って撮っていたが、結局、きのこに付いていたゴミに気づかず失敗作になった。
 ところがそのすぐ横に、見覚えのない直径5センチあまりの白い円盤状のきのこを見つけた。硬質菌の1種だろうと思ったが、表面がとても滑らかで裏面には管孔がない。いろいろ考えるうちに子嚢菌ではないかと思い当たった。
 ニクアツベニサラタケに感じが似ているので、採取して城川先生に送って見ていただいた。検鏡結果はやはりニクアツベニサラタケと同じであることが分かった。
 2001年6月にもこの山でピンク色のものを見つけたが、ひょっとすると子実層面の色にはかなりの変異があるのかも知れない。
2006年
 7月23日(日)

高麗山・地獄沢
神奈川県平塚市

藤沢少年の森公園
神奈川県藤沢市
 今にも雨が落ちてきそうな空模様だったので、最も近い高麗山へ行った。前回で地獄沢を歩かなかったので気にもなっていた。
 高麗山の北側からダイレクトに地獄沢に入ると、いきなり2本の背の高いきのこが見つかった。テングタケ科でしっかりツバがあり、ヒダがピンク色をしているから同定は簡単だ。タマゴテングタケモドキという名前より、名は体をを現しているアカハテングタケの方を使いたい。
 気をよくして大型きのこを探す目になったら、その後は何も見つからない。次第に対象を小さくしていって、ついには枯葉の上に生えたアシグロホウライタケを撮っていた。柄に付いた小さな水滴に後ろの木漏れ日が写っている。
 一旦は諦めて車で昼食を摂っていたが、ふと藤沢市の少年の森へ行ってみたくなった。ナビ嬢を頼りに40分で着いた。
 ここも同じように雨の量が多すぎるせいか、大きなきのこは見当たらなかった。湿度が高くて普通に歩いていてもメガネが曇ってしまう。
 道沿いに点々と黄色いきのこが踏み潰されていた。見たところベニタケ科だったが、しばらく行くと全く無傷の一群があった。黄色いカサはしっとりした微粉状で、ヒダから出る乳液は白い。どうやらヒロハチチタケのようだが、昨日の富士山のものとは少し感じが違ってしばらく悩んだ。
 斜面の上に真っ白いきのこを発見。遠目にも形がいいので撮影。高さは5センチくらいのドクツルタケの仲間の幼菌で、まだ被膜がヒダを覆っている状態だった。
 散策路脇の杭に黄色いカサの小型菌が群生していた。あまりの色鮮やかさに種名が思い浮かばなかったが、特徴を冷静に考えるとどうやらヒメカバイロタケだ。こんな色になることもあるのか。まるで超小型のタモギタケのように見えた。
2006年
 7月22日(土)

富士山北麓
山梨県鳴沢村
 まだ梅雨が明けない。梅雨前線が日本列島にのしかかり、記録的な大雨で大きな被害が出ている。やはり日本の気候が熱帯のような高温多雨に変わってきているのだろうか。
 今日は雨が降らない予報だったので富士山の北麓へ向かった。最初に、昨年ハナビラタケの幼菌を見つけた「創造の森公園」を探索したが、予想に反してきのこが少ない。それでもハナビラタケの場所では、直径25センチもある大きなものが出ていた。花びらが大きくしっかりしたタイプで、ハナビラタケにもいろいろ個体差があるようだ。
 この公園では他に目ぼしいものが見つからず、やっと形のいいキツネノカラカサを撮ることができた。小型ながらもきのこらしいいいスタイルで、柄にツバがあると何となく引き締まった感じに見える。
 もっと標高を上げてホウキタケの仲間が多いポイントへ向かったら、なんと悪天候による防災のため通行止になっていた。残念だがしかし、こういう措置には感謝しなければいけないのだろう。
 仕方なく「山梨県環境科学研究所」内の自然観察路を歩くことにした。ここでもきのこの姿は少なくて、やっと見つけても単生ばかりだった。
 苔むした溶岩に明るい褐色のカサを見つけた。カサの表面にツヤがなく、よく見ると細かなシワが見えた。ヒロハチチタケのようだ。チリメンチチタケとはカサの色の違いで見分けられる。
 大きなイグチも1本だけ生えていた。一見してヤマイグチだと思ったが、柄に黒い粒点がない。よく見ると縦長の細かい網目があるからヤマドリタケモドキだが、もうかなり傷んでいて今にも崩れそうなカサだった。
 最後にやっと華やかなきのこを見つけた。ややカサの色が薄いが、今年初めて見るタマゴタケだ。しかし、よく見ると柄に段だら模様が見えない。ひょっとすると「皇帝きのこ」だろうか。
 梅雨が明ければ大型きのこが一斉に生えてくれるのだろうか。
2006年
 7月 9日(日)

高麗山・湘南平
神奈川県平塚市
 あちこちからタマゴタケの話題が聞こえるようになってきた。となれば、そろそろ高麗山の「テングタケ通り」もチェックしておかねばならない。朝から小雨混じりの蒸し暑い天気なので、タマゴタケの瑞々しい姿に期待した。
 湘南平の遊具のある斜面には今年も、小型ながらきれいなイロガワリが生えていた。うっかり触らないように慎重にゴミを払って撮影。
 今日は大型きのこに重点を置いて、なるべく小さなものはやり過ごそう・・・と、考えていたはずだが、ふと気づくと極小菌を撮っている自分がいた。
 まず最初が直径3ミリのシロスズメノワン。付近にカビに侵された残骸がいくつもあって、正体はなんだろうと探してこれだと分かった。
 次が枯葉上に束生しているホウライタケの仲間。カサの表面はシワホウライタケのように見えるのだが、カサが小さくて全体のバランスが違う。
 さらにもう1種も枯葉上に生えたアシグロホウライタケ。こちらは名前の通り柄が黒いので分かりやすいが、これも似た種類があるようなので確定的ではない。
 結局「テングタケ通り」では、撮影を待ってくれているはずの真っ赤なタマゴタケどころか、他にも目にとまるようなきのこは何もなかった。さらに歩いてずっと行き過ぎた所でやっと真っ白のテングタケ、アケボノドクツルタケを見つけることができた。
 撮影しながらふと足元を見ると大きなクモタケが地面から垂直に生えていた。付近を注意深く探すと、次々にクモタケが見つかる。トタテグモの巣を見つけることはほとんど不可能に近いと思うが、それにしてもこれほどたくさんいるとはビックリだ。
 雨が降ったり止んだりを繰り返すので、これ以上の探索を諦めて引き返した。同じ道を戻っても見落としがあるものだが、あれほど慎重に探した「テングタケ通り」でクロハツモドキを見つけた。しかし、なぜモドキだと分かったのかが分からない。とても不思議で腑に落ちない気分だ。
 この山がテングタケの仲間で賑やかになるのは、もう少し後の梅雨明けごろになるのだろう。
2006年
 7月 8日(土)

大志戸木の実の里
山梨県甲州市(旧大和村)
 今日から2泊3日で「神奈川キノコの会」の宿泊勉強会が始まった・・・のだが、残念ながら都合で参加できなかった。そこで、せめて少しは遠出をしたいと、久しぶりに「木の実の里」へ行った。
 車を停めて機材の用意をしていると早くも汗が流れてくる。もうこの場所でも気温は真夏ほどに高い。
 散策を始めてすぐの斜面に赤い色のイグチが見えた。登っていくと付近にいくつもアメリカウラベニイロガワリが生えていた。普通のイロガワリに比べて管孔面が赤いので分かりやすい。
 枯葉がずいぶん堆積していてとてもきのこが探しづらいのだが、背が高くて大きなカサを広げているガンタケを見つけることができた。今日、3本見つけたがいずれも単生だった。
 同じテングタケ科のスマートなきのこを見つけた。ツバやツボが淡い黄色なのでコタマゴテングタケだと思ったが、カサの色がやや黒っぽい褐色をしている。となるとこれはクロコタマゴテングタケということになりそうだ。
 深い枯葉の間からタンポタケがいくつも頭を出していたが、ほとんどが古くて傷んでいた。やっと新鮮なものを見つけて撮影した後、掘り出そうとするがとても柄が長くて深い。やっと出てきたがツチダンゴかどうかよく分からなかった。
 ミズナラの根元にいい状態のきのこを見つけて、一見したところクサウラベニタケだと思ったが、どうもカサ表面の感じが違う。柄も中実でしっかりしているのでどうやら小型タイプのハルシメジのようだ。ルーペで確認するとカサの表面に白いカスリ模様が見える。間違いなさそうだが食べる気にはなれない。
 最後に行った遊具のある斜面で、やっとこの場所らしい種類を見つけた。まだ幼菌で7センチほどしかなかったが、これは紛れもなくホウキタケだ。これだけを今日の収穫として持ち帰った。
2006年
 7月 2日(日)

新治市民の森公園
神奈川県横浜市
(定点観察会)
 まだ梅雨は明けないが気温はもう真夏並みになってきて、里山もずいぶん賑やかになってきた。相変わらず名前の分からない小型菌が多いのだが、極力見なかったことにしていい被写体を探した。
 今日、最もたくさん見られたのはイタチタケだった。ほとんどがカサの直径3センチまでの小型だったがいたるところで群生していた。カサが開き切ると胞子で黒ずんでしまうので、まだ開く前の幼菌の群を撮った。
 昨日の勉強会ではタマゴタケなどの大きなテングタケ科のきのこが採取されていたので、期待して探していると早速1本見つかった。高さはおよそ12センチで淡い褐色のカサに条線が見え、柄にはツバがある。ヒダを覗き込むとピンク色を帯びているのが確認できた。タマゴテングタケモドキだが、分かりやすい通称のアカハテングタケで掲載しておく。
 もう1種たくさん見られたのが、カサがきれいなオリーブ色をしたミドリニガイグチなのだが、そのほとんどがカビに侵されて真っ白になっていて無傷のものは数えるほどしかなかった。
 大きなオニイグチモドキの朽ちた老菌を見つけてよく見ると、その周囲にまだ新鮮なものが点々と生えていた。本当に見つけにくいきのこなので、当然ながら撮影も極めて困難だ。どんなにダイレクトに鏡で光を当てても、ツヤのない灰色の鱗片で覆われた黒い柄は見えない。
 竹林に差し掛かるとまた大きなテングタケ科が1本生えていた。カサに黒いイボが放射状に付いている。柄も灰色をしているがよく見るとツバがない。ずっと見たいと思っていたテングツルタケにようやく出会えた。珍しくはないのだが今まで見ることができなかった。
 竹林の中ではオオキヌハダトマヤタケが長い柄を伸ばしていたので、竹林の雰囲気を背景にローアングル写真を撮ってみた。普段はあまりきのこが見られない場所だが、今日は他にもザラエノハラタケなどが出ていた。
 もう観察も終盤になり駐車場へ向かっていると、散策路脇に点々とこげ茶色のツヤのない饅頭型のカサが見える。カサの下を覗き込んでも黒くてよく見えないが、この独特のカサの色はウラグロニガイグチだ。レフ版を強く当てるとようやく黒褐色の粒点が並ぶ太い柄が見えた。広い範囲にたくさん束生しているのが観察できた。
 種類も多くいい被写体にも出会えて、たっぷり撮影を堪能した一日だった。
2006年
 7月 1日(土)

八菅山いこいの森
神奈川県愛川町
(神奈川キノコの会・勉強会)
 今日は更新をやめようかと思うほど「被写体きのこ」を見つけることができなかった。何しろ参加者は「きのこ目」のベテランぞろいだから、1種見つけて撮影に集中しているとすっかり採り尽されて、めぼしいものなどほとんど残っていない。
 最初の写真は集合場所へ着く前に、ちょっと寄った所で見つけたヒメカバイロタケの群生。アカマツの朽ちた切り株に密集していた。
 湿度が高く蒸し暑い時季は、いろんな種類の粘菌(変形菌)を見ることができる。きのことはやや縁が遠いのであまり興味を持っている訳ではないが、子実体のミクロの造形美は芸術的とも言える見事なものがある。これもマツの切り株だったがクモノスホコリらしいものが付いていた。見たいと思っていた粘菌だがあまりいい状態のものはなくて、かろうじてかごのような頭部が見えた。
 もうきのこ探しを諦めて城川会長と一緒に鑑定会場へ戻ろうとしていた時、中島さんが「例のきのこじゃないか?」と見つけたのは、先日より先生が探しておられた「Pluteus eugraptus」(仮称・フチドリコイノベニヒダタケ)だった。カサの直径は2センチ足らずの小さなきのこで、ヒダにくっきりと褐色の縁取りがある。柄の表面にも同じ色の粒点が並んでいる。付近に老菌も幼菌もあったので今年は多く発生しているのかも知れない。
 鑑定場所へ戻る直前、斜面にヒメコナカブリツルタケが出ていた。灰色の粉を被った幼菌がいい姿だったのでアップで撮影した。
 時おり雨が降るものの気温は高くとても疲れるが、そろそろイグチやテングタケの仲間が増えてきて撮影が楽しくなってきた。
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