今日はどこまで行ったやら・・・


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2006年
 9月24日(日)

四季の森公園
神奈川県横浜市
(神奈川キノコの会勉強会)
 数日前には台風が接近するために今日の天気予報は雨だったが、大きくそれるコースを取ったため朝から抜けるような青空の好天となった。ただ、しばらく雨が降っていないのできのこ観察にとっては「好天」とも言い難い。
 きっといい被写体は少ないだろうと歩き出したが、いきなりいい状態のムジナタケの幼菌を見つけることができた。後の鑑定会場では成菌も採取されていたので、以前から撮りたいと思っていたヒダのまだら模様を撮った。
 枯葉が深く積もった林床にザラエノハラタケに似た中型菌がいくつか生えていた。柄に綿状のササクレがないので別種だろうと思ったが、これは鑑定会でハラタケモドキと同定された。初めて聞く名前だったが「日本新菌類図鑑」に名前だけの記載があるとのことで、「北陸のきのこ図鑑」には図版も載っている。
 カラカラに乾いた斜面では、こういう日ならではのシーンに出会えた。小ぶりのノウタケがまるでメロンパンのように亀裂が入って、面白い表情になっていた。表情が感じられるきのこは、大きく背景を入れて撮るのにいい被写体になる。
 猛毒と恐れられるきのこが見つかった。以前からこの公園で生えるとウワサは聞いていたので撮りたいと思っていた。まさに名前どおり炎のような姿のカエンタケだ。死亡例もある強い毒でとても食用になるようには見えない外見だが、ベニナギナタタケを食菌だと知って誤食した例もあるらしい。つくづく、食べるのは確かな同定ができた美味しいきのこだけにすべきだと思う。
 お口直しという訳ではないが、撮りたいと思っていたお気に入りが撮れたので掲載しておく。
2006年
 9月23日(土・祝)

富士山南麓・高鉢
静岡県富士宮市
 台風が太平洋側で急旋回して東へそれるようになると、北からの冷たい風を呼ぶので気温が下がるようになる。そろそろ、きのこが賑やかになるだろうと期待して富士山へ向かったが、逆にこのところ世間を賑わしているクマの方が心配で、念のために鈴とラジオを持つことにした。
 しかし、さすがにこの時季の富士山は「きのこ狩り」の車が多く、森の中ではあちこちで話し声や鈴の音が響いて、賑やかなのは人間だった。
 迫力のある大きなきのこは見つからなかったが、最初に目に飛び込んできたのはきれいなオレンジ色のカノシタだった。一見ヒダのある普通のカサに見えるが、覗き込むと針がびっしり並んでいる。
 倒木の苔の間からポツポツと単生しているのはヒダハタケだった。カサの周囲には毛が生えていて、ヒダが垂生しているので分かりやすい。
 苔の間に青緑色の小さな粒がいくつも見つかった。よく見るとその下にやや淡い色の柄が伸びている。久しぶりに見るアオズキンタケだった。何とも不思議な色のきのこだが、ロクショウグサレキンの色にも似ているように思う。
 そのすぐ近くには頭部が同じような色のズキンタケがあったが、こちらは柄の色がまったく違う。きれいなオレンジ色で大きさもアオズキンタケよりかなり大きい。これは初めて見るアカエノズキンタケだ。付近を丁寧に探したが1本だけしかなかった。
 さらにもう1種、ズキンタケ科のきのこを見つけた。これは「山渓フィールドブック」にオムブロフィラ属の一種として載っているもののようだが、それ以上のことが分からない。「北陸のきのこ図鑑」に載っているオオニセズキンタケ(仮)も同種のように見えるが属名は異なっている。
 今日、唯一の群生きのこはクヌギタケだった。遠くから見つけて期待して近づくと「また、これか・・・」という感じだった。それでも新鮮な状態が多いのでいい被写体になってくれる。
 倒木のあちこちにキツネノロウソクがたくさん生えていたが、どれもすでに倒れていて絵にならない。あちこち探すうちにやっと新鮮な1本を見つけた。卵から出たばかりで先端のグレバもしっかり付いている。
 小さいきのこばかり撮ったのですっかり腰が痛くなり、車でしばらく体を伸ばしてから帰途についた。
2006年
 9月18日(月・祝)

地獄沢(高麗山)
神奈川県平塚市
 台風13号が強い南風と時おり激しく打ち付ける雨を降らせた。それは昼頃まで続きようやく空が明るくなって雨風はやんだ。
 ほんの一時間ほどだけ地獄沢を歩いてきたが、気温と湿度が高く見る見る汗が噴き出してメガネが曇った。
 それでもいい状態のきのこはいくつか見られた。入り口のすぐ横にイヌセンボンタケの白い群生があり、撮りにくい場所に少し躊躇したが輝くような白いカサにレンズを向けた。
 間伐材を積み上げたところではとても新鮮なウチワタケが並んでいた。ルーペで覗いてもカサの表面に毛が見えないのでツヤウチワタケかも知れないが、生え方やきれいなうちわ型を見るとやはり前種だろう。
 落ち枝にヒダを持つ硬質菌が付いていてそのヒダの様子からエゴノキタケだろうと思ったが、撮影のために枝を返してよく見るとサクラの木だった。となるとこれはチャカイガラタケになるが、こんなチャカイガラタケがエゴノキに生えていたらきっと区別できないだろうと思った。
 堰堤の上でようやく大きなカサのきのこを見つけた。雨でゴミを被っていたのが残念だがとても新鮮なヌメリツバタケがいくつも生えていた。
 やたらに蚊が多いところへ大きなスズメバチまで寄ってきたので、早々に切り上げて帰った。
2006年
 9月17日(日)

「四季の森写真展」
神奈川県横浜市
「四季の森公園」
 昨年に続いて今年も「新治きのこ観察グループ」が四季の森公園で「きのこ写真展」をすることになった。今年は出展者も増え9名18点の作品となり、本日から4週間の予定で展示する。、(「四季の森公園」へご訪問の折はぜひビジターセンターへ立ち寄りください。)
 今日は台風の影響で悪天候も予想されたが、幸いにも曇り空だったので午後は園内を観察することにした。
 今日もっとも多く見られたのはカレバキツネタケで、典型的なスタイルのものや柄だけが立派でカサがとても小さいものなどがあった。カサが開かないととても同定の難しい種類だが、成長すればカサの表面にはっきり溝線が出る。
 枯葉に埋もれて面白い形のきのこが見つかった。まるで植物の球根のような形をしているが、やがて外皮がいくつもに裂けて開くヒメツチグチ科の仲間だ。まだ開く前の幼菌での同定は無理があるが、形や大きさからはトガリフクロツチグリが近い。ただ、フクロツチガキも時どきこんな形になるらしいので、種名は確定的ではない。
 小雨が降り始め、次第に雨足を強めてきたのでそろそろ引き上げようとした時、見慣れない小型のきのこが見つかった。カサにヌメリがあり全体に弱々しい姿なので、まさかこれがテングタケ科とは思えないが、ヌメリカラカサタケ属のヌメリカラカサタケだ。ちょうどカサを開いたところで、成菌ではなくなってしまうツバの様子がよく見えるいい状態だった。
2006年
 9月16日(土)

高麗山
神奈川県平塚市
 もともと体力のある方ではないので、重いデジタル一眼レフとそれに釣合う重い三脚を持ってのきのこ撮影はけっこう厳しいものがあった。そこへ飛び込んできたEOSの新製品「Kiss-X」はなんとボディだけなら510gという軽さ。それでいて最高画素は1010万画素。これなら三脚もワンランク軽くできる・・・と、買ってしまった。
 で、やはり試し撮りには高麗山がいいと、そろそろ出ているはずのルリハツタケを探しに行った。ところがルリハツタケどころかきのこが見つからない。このところの急激な気温変化にきのこも「様子見」というところか。
 やっと、きれいなベニタケ属を見つけた。カサが鮮やかな赤で柄にも少し赤い色が付いている。カサの縁からヒダに向かって、わずかに赤い色のフチドリがあったのでヤブレベニタケだろう。
 すぐ横にはニクウチワタケの群生があった。まだ全体が白い幼菌もあったのでそっちを撮影した。ふと、1010万画素を実感してみたくなって管孔を撮影して、画像を思い切り拡大してみた。なかなかの手応えだ。
 去年と同じコナラの根際にコフクロタケが出ていた。うっかり引き抜くと同定に悩んでしまうが、根元の小さな袋(ツボ)から生えている。
 デジカメの場合、銀塩に比べるとどうしても劣ってしまう苦手な色がある。紫や紺色などが実際とは違う色になりやすいようだ。一方、暖色系はかなり忠実でこのベニチャワンタケモドキなどは、まさにそのままの色が再現できている。
 もう夏に戻ることがないとすると、きのこファンには嬉しいことに秋が長いのかも知れない。それにしても今はまだきのこが少ない。
2006年
 9月10日(日)

富士山南麓・太郎坊
静岡県御殿場市
(神奈川キノコの会勉強会)
 昨日の状況から考えて、今日の勉強会では大きなきのこや群生するものが見られるだろうと予測した。しかし、標高が違うせいか期待に反して手応えのある撮影はできなかった。
 ミズナラの倒木にナラタケが数本生えていた。形のいいのを選んで撮ろうとしたとき、ツバがないことに気づいた。しかし、この姿や生え方はナラタケモドキではない。早くにツバが取れてしまうワタゲナラタケという種類だ。ツバ以外の特徴はナラタケとあまり変わらない。
 あちこちの倒木にチシオタケが生えていて傷んでいるものが多く撮る気になれなかったが、ひと株だけきれいな状態を見つけた。やや色の鮮やかさに欠けるが、カサの周囲にフリンジ飾りを付けたいい姿だった。
 同じくクヌギタケ属の仲間を何種類か見つけたが、種名の同定が難しい。クヌギタケそのものかも知れないが、カサの色や条線の感じが何となく違う。名前は分からないがいい雰囲気の写真は撮れた。
 今日も初めて見る種類を撮ることができた。二つ並んだカサの周囲に白い毛が生えている。カラハツタケだ。中央が深く窪んでいるのでローアングルで撮ると日が透けて見える。幼菌には毛がないので不思議に思ってよく見たら、ヒダを覆っている内被膜が綿毛状になっていて、カサが開くにつれて周縁部に残ることが分かった。ヒダを傷つけると白い乳液を出し、極めて辛い。チチタケ属の中では珍しく有毒種となっている。
 もう1種は鑑定場所に持ち込まれたもので、枝の表面に直径1センチ前後の黒褐色のチャワンが並んでいる。初めて見るサカズキキクラゲだ。乾いていても内側の面に光沢があり、他のキクラゲの仲間とはずいぶん違う印象だった。
2006年
 9月 9日(土)

大志戸・木の実の里
山梨県甲州市(休大和村)
 いつもなら、そろそろ富士山でビバークをして・・・と考えるところだが、明日「神奈川キノコの会」の勉強会が富士山であるため、今日の探索地は久しぶりの「木の実の里」に決めた。昨夜に出発して現地に0時半に着いてすぐに就寝。朝6時に起床して朝食を済ませ、さっそく探索開始。
 地面は少し乾き気味だがそれでも散策路沿いに次々にきのこが見つかる。今はキチチタケとクサウラベニタケが最盛期のようだ。ベニタケ科、イグチ科、テングタケ科が多い中で、初めて撮影できたきのこが2種類あった。
 まずはスタイルのいいテングタケの仲間。カサの上に付いているイボ(外被膜の名残)が地色より白いのが特徴のキリンタケだ。別名ヘビキノコとも呼ばれ、よく似たヘビキノコモドキはカサの地色よりイボが黒いので区別できる。
 もう1種はカサのぬめりがとても強いので見つけることができた。乾いた枯葉の間にある湿ったカサはとても目に付くものだ。中央が窪んだ褐色のカサにはっきりした環紋が見えるのでその名もウズハツ。時どき勉強会でも採取されるが、撮影できたのは初めてだ。
 生える種類が多くなってくると、たまにとても面白い取り合わせに出会うことがある。巨大なアカヤマドリを見つけて傍へ行くと、そのすぐ横に小さなムラサキフウセンタケが生えていた。直径25センチ対高さ2.5センチ。このボリュームの差は面白い写真になった。
 そしてそのすぐ横にはさらに愉快な取り合わせがあった。キイロイグチとウラグロニガイグチが並んで生えていた。「黄色と黒」・・・? まるでタイガースファンのようなきのこだ。
 アカヤマドリ以外はあまり大型の種類はなかったのだが、最後に堂々たる風格のシロオニタケの幼菌を見つけた。全体にイボが付く姿は不思議なことに不気味さがあまりなく、むしろ美しいと感じるのは見慣れているからだろうか。
 たっぷり5時間歩いてもまだ昼。帰路の渋滞にも巻き込まれないので遠方はビバークするに限る。
2006年
 9月 3日(日)

南郷・上の山公園
神奈川県葉山町
(神奈川キノコの会勉強会)
 まとまった雨の2日後で爽やかに晴れて、昨日の状況から考えてもかなりの好条件には違いない。そして場所は、なぜか相性の良くない三浦半島での勉強会。どんなきのこがあるか・・・よりむしろ、ジンクスが覆るかどうかの方に、より強い興味があった。
 結果は今までにも増してジンクス通り。参加者20名以上の「きのこ目」をもってしても、ほとんど見つからないという事態になってしまった。
 しかも、さらに追い討ちをかけるように、見つけたわずかなきのこが不明ばかり。最初に見つけたものは高さ3センチほどのイッポンシメジ属。カサの表面がビロード状で柄には灰色の微細な粒点が付いている。
 もう1種は落ち枝に生えた1センチほどの幼菌。全体が灰色でカサには弱い環紋が見える。ヒダも灰色で縁が鋸歯状になっている。これにいたっては科すらも不明
 一つだけはっきりした成果は、初めて自分の目でカメムシタケを見つけられたことだった。しかしこれも、暗い影の中で生態写真が撮れず、標本写真だけになった。
 三浦半島との相性がますます悪化の道をたどっているが、何かいい対策があるのだろうか。
2006年
 9月 2日(土)

新治市民の森
神奈川県横浜市
 9月に入ると「神奈川キノコの会」の勉強会が毎週のように続くため、定点観察会が今日になった。幸いなことに昨日はたっぷりの雨が降り、今日の天気予報は空気が乾いて過ごしやすいとのこと。
 やはり歩くにつれ数多くの小型のきのこが見つかる。姿のいいものを追いかけて撮り進むうちに、見覚えのない中型菌に出会った。少しいびつになったツヤのないカサはイグチの仲間ではないかと思ったが、どことなく雰囲気が違う。カサの裏を覗き込んで納得。ヒダのあるイグチ、キヒダタケだった。普通はカサが開くと逆三角になるのだが、こんなスタイルのキヒダタケは初めて見た。
 とても足の長いきれいなきのこを見つけた。柄が鮮やかなオレンジ色ですぐには種名が分からなかったが、カサの様子や各部の特徴を見るとモリノカレバタケのようだ。こんなスタイルになることもあるのかと驚いたが、一部の図鑑には確かに似たものが載っている。本種の新たな一面を見たような気がした。※イッポンシメジ属のダイダイウラベニタケと思われる。
 いつも多種のイグチが生える斜面に差し掛かると、真っ白いきのこが見えた。一見して気づく特徴はカサの頂部の尖り。この姿はここでよく見かけるヤシャイグチなのだが、真っ白はおかしいのでカビに侵されたものだろうと思った。ところが近づいてよく観察してもそんな様子がない。管孔は本種の特徴であるやや紫がかった色が見えるし、柄にも隆起した網目がはっきり見える。これは白いヤシャイグチなのだ。恐らく色素が抜けてしまったタイプなのだろう。
 すぐ横には面白いカサのキクバナイグチが出ていた。カサを覆っている厚い皮膜があまりひび割れずに管孔から浮き上がって剥がれている。管孔と柄の色のコントラストがきれいだ。
 大きなスギの根際にテングタケダマシが群生していた。ほとんどが土に埋もれているような生え方だったが、離れた位置にイガグリ頭の幼菌があったのでこちらをメインに撮影。一見テングタケに似てはいるのだが、なぜか本種の方が表情が豊かで撮っていて面白い。
 気温はそれほど高くなかったが日差しが痛いほどで、後半は蒸し暑くなってかなり疲れた。
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