今日はどこまで行ったやら・・・


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2006年
 5月27日(土)

富士山北麓
山梨県鳴沢村
 地震の次に怖いものとして昔から雷が恐れられているが、この雷がきのこの発生を促す刺激になるらしいという話はよく耳にする。事実、ハウス内で放電して栽培に利用している話も聞く。
 で、関東では久しぶりに木曜の夜に激しい雷雨となった。その時点で今日の探索地はほぼ決定していた。明日28日は「神奈川キノコの会」の総会に行くので撮影には行けないから、今日の富士山を丹念に歩くことにした。
 いつも通り、東富士五湖道路の富士吉田出口にあるウッドチップの植込みに、サケツバタケを探した。狙い通りあったのだが、もう養分不足になってきているのか柄の長さがずいぶん短くなってきた。初めて見た時の堂々たる雰囲気はなくなってしまった。
 朝から冷たい雨が降り続くので標高を上げるのはやめて、「創造の森」を歩くことにした。車を停めると目の前に大きなアミガサタケが立っていた。やはり、ここはまだ早春なのだ。
 この森にはカラマツがたくさんあって、散策路の脇材にも間伐材が使われているが、今日はその脇材のいたるところにツバマツオウジがたくさん生えていた。カサは白っぽいものが多く、成長に従って褐色になっていくようだ。
 同じ脇材の苔むしたところに小さな黄色いきのこを見つけた。何の幼菌だろうと顔を近づけてよくみると、表面につぶつぶが見えた。冬虫夏草だ。この姿ならきっとアリタケだろうと掘り出してみた。やはり、大きなムネアカオオアリが出てきた。冬虫夏草にやられた虫は不思議なことに、脚も触覚も取れずにしっかり付いている。
 もうそろそろヒロヒダタケやハナビラタケの幼菌でもないかと探したが、わずかに1本だけヒロヒダタケがあった。やはり1本では背景を入れても絵にならない。梅雨明けの頃に狙いを付けてみることにする。
 余談だが、ガソリンの値段がついに140円に届く勢いで値上がりしている。せめて誠意を込めて名前だけでも「イレギュラーガソリン」にしてはどうだろう。
2006年
 5月14日(日)

横須賀・猿島
神奈川県横須賀市
 無人島へ行ってきた。などと言うと絶海の孤島でジャングルを歩いたように聞こえるが、横須賀の三笠桟橋から10分で行ける小さな自然島「猿島」だ。特別何が目的という訳ではなかったが、偶然ネットで見つけて面白そうだと思っただけだ。
 明治時代の要塞だったため島内に残るレンガ造りの遺構は独特の趣があり、実戦がなかったので戦争の生々しさは感じられない。雨上がりということもあって木が生い茂る散策路は、ちょっと熱帯雨林のような雰囲気も味わうことができた。
 散策路脇にきれいな褐色の中型菌を見つけた。柄がささくれてしまっているがしっかりした被膜を持ち、カサの周囲には白い鱗片が付いている。どうやらこれはイタチタケのようだ。雰囲気で決めてしまうのは乱暴だが、アシナガイタチタケより頑丈で肉厚な感じがする。
 ササ薮の根際にとても小さなきのこが生えていた。根から生えているならちょっと珍しいかと期待したが、地面から生えているので恐らくコガサタケだろう。柄の繊維は少し捻じれて胞子の色は褐色だった。
 あまりきのこは見つからず、山頂(とは言っても海抜50mほど)の展望台広場で昼食を摂った。そのテーブルに小さなツノマタタケがたくさん出ていた。雨を受けるとツヤのあるきれいな姿を見せてくれる。
 小さい島でゆっくり歩いても1時間ほどで一周してしまうので、午後は見落としを期待して逆周りにもう一周した。すると、アオキの枯れ枝に極小菌がいっぱい生えているのを見つけた。その名もアオキオチバタケだ。ハリガネオチバタケを更に小さくしたようなきのこで、ピントを合わせるのに一苦労する。
 斜面にフジイロチャワンタケモドキがたくさん生えていたので、前から何度か試していた胞子を噴き出す瞬間の撮影に挑戦してみた。やっと1カットだけその瞬間を捉えることができた。
 森が深く手付かずの自然が残されているので、梅雨ごろにはもっとジャングルの雰囲気を味わえるに違いない。ちょっと小さすぎるが再度行ってみたい島だ。
2006年
 5月13日(土)

高麗山・子供の森
神奈川県平塚市
 5月に入って真夏日になるような日もあったというのに、今日は朝から冷たい雨が降り続き、おまけに北風が吹き荒れて吐く息が白くなるほど寒かった。そろそろどこかへ遠征でも・・・と考えていた出鼻を完全にくじかれた。仕方なく最も近い場所を探索することにして、明日の天候回復に期待する。
 こう寒くては高麗山でもどこを歩くべきか迷ってしまうが、しばらく歩いてなかった「子供の森」へ行ってみた。
 大きなクヌギの根元にムジナタケの幼菌が並んでいた。雨に濡れてカサが光っているので初めは何だか分からなかったが、今の季節でこのスタイルならおおよその見当はつく。よく見るとカサも柄もササクレ状の毛が生えていた。
 付近にはもっと柄の細いきのこが疎らに生えていて、こちらもこの季節によく見かけるアシナガイタチタケだった。濡れた枯葉がバックではほとんど見えないが、姿勢を低くして探すと次々に見つかる。
 大きな切り株にはクリゲノチャヒラタケが生えていた。実は「クリゲ」ではない普通のチャヒラタケのいい写真がなくて「資料館」用に探しているのだが、今回もよく見るとカサの表面に褐色の毛が生えている。なかなか大きなチャヒラタケが見つからない。
 マツの切り株にはきれいなオレンジ色のヒメカバイロタケがたくさん生えていた。小型のきのこでもこんなに色鮮やかなものは、うっとうしい気分を晴れやかにしてくれる。ローアングルでクローズアップすると長く垂生するヒダがきれいだ。
 もうそろそろイヌシデの樹下にヒロハシデチチタケが出始める頃だと、湘南平の遊具の斜面も探してみた。なんといきなり目に飛び込んで来たので、他にもたくさんあるのかと探したが結局これだけだった。傷つけると白い乳を出し、とても辛い。舌の先が痛くなるほどの強い辛さだ。
 5月なんだから「夏」や「冬」ではなく、普通の「春」になって欲しいものだ。明日は青空が見られるだろうか。
2006年
 5月 7日(日)

四季の森公園
神奈川県横浜市

新治市民の森
神奈川県横浜市
 連休最後の日は雨になった。傘を差しながらの定点観察会は一向に構わないのだが、新治市民の森の園内には雨を凌ぐことができる昼食に適した場所がないので、昼までは四季の森公園を探索することにした。ここのウメやアンズの樹下にハルシメジが出ていたということなので、探してみるという目的もあった。
 アンズの樹下にはもう出ていなかったが、ウメの方は根元まわりに敷かれた砕いた炭の間から、立派なハルシメジが生えていた。この数日間は乾燥した日だったのに、カサにひび割れもなくとてもきれいな状態だった。炭に保水作用でもあったのだろうか。
 茂みの中に黄色いカサがいくつか並んでいて、少し傷んだものを採取してみると、柄の上部に膜質のツバをつけたフミヅキタケだった。雨の中でもカサにヌメリがないので種名はこれで良さそうだ。
 小さな東屋で昼食を済ませて、次はいつもの新治市民の森へと移動した。
 ここでは早くもハタケシメジの群生が見られたが、カサが密集していてゴミを巻き込んでいるのであまりいい被写体ではなかった。この場所のハタケシメジはややカサの色が黄色っぽいような印象を受ける。
 その付近の池の傍ではヒメヒガサヒトヨタケがいくつか生えていて、とても小さな幼菌が2本並んで立っていた。種名に「コツブ」が付く方なのかどうかは顕微鏡下でないと判断できない。成菌があまり大きくなくて数本がまとまって生えていたので、今のところ「コツブ」は外しておく。
 同じ池の付近で、この公園では初めて見るオオセミタケが出ていた。ここ数日で何度も見ていたので、雑草に埋もれた状態でもすぐに種名が分かった。今が発生のピークだと思うが今年は発生数が多いのかもしれない。
 一日中、雨が降ったり止んだりの状態で思うように写真が撮れなかったのが残念だが、おおよそ期待した種類は見ることができた。
2006年
 5月 5日(金・祝)

霧降渓流の道
神奈川県平塚市
 今年のGWは好天に恵まれて気持ちのいい日が続いている。行楽にはもってこいの連休なのだが、きのこ探しをする者にとっては乾燥が進んで条件が厳しくなる。先月に初めて訪れて気に入ってしまった「霧降渓流」沿いの道は、きっと湿度も保たれて面白いものが見つかる予感がした。
 ところが、じっくり丁寧に探してやっと見つけたのは小さなミイノモミウラモドキだった。柄が曲がっていてカサも乱れた開き方で、あまりいいスタイルではない。
 また、オオゴムタケの幼菌を見つけた。いい雰囲気の場所だったので縦位置で構図を取ってみた。目いっぱい近接しているので大きく見えるが、直径は2センチほどの小さなものだ。
 前回の時に数個見つけたオオセミタケはほとんど姿を消していたが、斜面の低い位置に大きな子実体が2本出ているのを見つけた。7〜8センチも離れているので2個の幼虫かも知れないと掘ってみたところ、4センチほどの大きな幼虫の両端から生えていた。
 ようやくカサの直径が7センチほどある大きなきのこを見つけた。スギ林の地上に生えているように見えたが、埋もれた広葉樹に生えているらしいウラベニガサだ。ちょうどカサを開き切ったところで、ヒダがきれいなピンク色を見せていた。
 砂地の斜面に小さな褐色のカサを見つけた。直径1.5センチで表面が滑らかなベルベット状に見えた。レフを効かせてカメラのアングルを下げていったが柄が見えてこない。不思議に思ってミラーで覗いてみたら、柄が見えないのも当然のツチヒラタケだった。あまり見かけない種類だが、ここではもう一ヵ所でも見つけることができた。
 沢沿いに積み重なった倒木から、ムササビタケがたくさん生えていた。もうほとんどが傷んでいてカサが乾いていたが、一ヵ所だけ新鮮な群生を見ることができた。
 前回では行かなかったコースも歩いてほとんど全体を見たが、これからのシーズンにかなり期待できそうなフィールドだと感じた。
2006年
 5月 4日(木・祝)

木もれびの森公園
神奈川県相模原市

泉の森公園
神奈川県大和市
 昨日の新顔たちに気をよくして、渋滞覚悟で遠征しなくても近郊の公園や里山で充分撮影が楽しめると考えた、・・・が、結果から言えばハズしてしまった。
 コナラ・クヌギがメインの雑木林が広がる「木もれびの森公園」では、地面は充分に湿り気があるにもかかわらず何一つ見つけられない。
 ウッドチップの散策路に差し掛かってようやく小さなクリイロムクエタケを見つけた。やや透明感のある独特の栗色がきれいで、カサの縁に明るい色のラインが見えるのが特徴だ。
 そしてその付近では、これも小さなオオカバイロヒトヨタケが出ていた。これから柄が長く伸びるのだろうが、「オオ」と付けるのをはばかるほどの小型の幼菌だった。
 2時間ほど歩いたがこれ以上探してもムダだと考えて、昼食後は大和市の「泉の森公園」へ移動することにした。こちらは公園内のせせらぎで遊べるとあって、子供連れの家族でごった返していた。
 かなり古いアミガサタケを見つけて撮影をパスしようとしたら、その付近に見慣れない小さなきのこが生えていた。カサも柄もやや堅い肉質で、表面はざらついている。高さは2センチあまりしかなくて束生している。ヒダは白っぽく柄はやや偏心していて、ヤブアカゲシメジのような雰囲気もあるが種名は分からない※アカチャイヌシメジだと思われる。
 この公園でもほとんど被写体となるきのこは見つけられず、諦めて車に戻る時に、初めに通って探したはずの場所に大きなチャワンタケが出ていた。オオチャワンタケで良さそうだが、きのこ目が「諦めモード」になっているとこんな大きなものも見逃すのかと驚いてしまった。
 今日も快晴で清々しく、気持ちよく散策することはできた。
2006年
 5月 3日(水・祝)

高麗山・地獄沢
神奈川県平塚市
 季節が変わった。季節というものは日々刻々とゆっくり変わっていくものだが、時として劇的に変化するときがある。今日はまさにそんな感じの日で、日差しが嬉しかった今までから冷たい風が心地いい季節に変わった。
 こうなると里山のきのこ達の顔ぶれも一気に変わるはずである。そんな期待を持って、地獄沢の入り口から探索を始めた。
 最初に見つけたのは地面をバックに、まるで保護色のような色をしているウスベニイタチタケだった。カサが乾いて白っぽくなった1個を見つけて傍へ行くと、付近に次々に見つかる。広い範囲に群生していた。
 沢沿いに登ってみると、倒木のあちこちにオオゴムタケの幼菌が生えていた。そろそろ梅雨に向けて出始めたらしい。まるで動物の毛皮のような外観で、小さな丸い姿はなかなかひょうきんだ。
 高麗山には大きなスダジイもたくさんあるので、この季節になるとどうしても根際を一周してしまう。まだ少し早いのかなかなか見つからない。あれば見落とすはずがない真っ赤なきのこカンゾウタケだが、やっと顔を出したばかりの小さなものを見つけた。あまり気温に左右されずにいつもGWの頃に生えるようだ。
 昼食の場所によく利用している「けやきの広場」には、名前のとおりケヤキの大木が何本もある。そしてその内の1本の根際に毎年タカネイタチタケが出る。かなり珍しい種類なのか図鑑やネットで写真を見ることができない。
 かなり歩き回ったが、たっぷり雨が降った割にきのこが少ない。そして元の地獄沢へと戻る直前、大きな針葉樹の倒木に1本だけウラベニガサが出ていた。水分を含みすぎて倒れ掛かっているが、おかげでヒダのきれいな色を写すことができた。
 その撮影中にふとすぐ横の別の倒木を見ると、とてもきれいな幼菌がカサを並べていた。去年の11月にも出ていたサマツモドキだ。春にも生えるきのこらしい。赤紫のカサと黄色いヒダの配色がきれいで何枚もシャッターを切った。
 やはり期待通り、先月までと顔ぶれが一気に入れ替わった。里山が面白くなってきた。
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