今日はどこまで行ったやら・・・


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2007年
8月26日(日)

鎌倉中央公園
神奈川県鎌倉市
(神奈川キノコの会勉強会)
 今日はたとえ相性の良くない三浦半島でなくても、きのこが少ないことは分かっていた。この一週間というもの局地的な夕立以外は全く雨が降らず、なおかつ気温30度を超える厳しい残暑が続いた。
 やはり予想通りという感じで、鑑定会の大きなブルーシートにはまばらに採集品が並ぶさびしいものだった。
 写真を撮った種類もとても少なかった。ヤマグワの幹の間から白いきのこが出ていて、かなりかじられてしまって原型を留めない姿になっていた。かすかに柄に長く垂生するヒダが見えたのでヒラタケの仲間だろうと思った。付近に幼菌が出ていて、その色などからウスヒラタケだと分かった。
 冬虫夏草のハナサナギタケが見つかった。長さ1センチほどの小さな虫の両端から明るい褐色の柄を伸ばし、真っ白い分生胞子をタップリ作っている。普通もっとたくさん枝分かれをするらしいから、まだ成長段階だったのだろう。虫は蛾のサナギの場合が多いらしい。
 細い枝に高さ数ミリの白いきのこが生えていた。柄の根元がやや黒ずんでいるのでシロホウライタケのようだ。他に絵になりそうなものが見つかるとも思えなかったので「白い極小菌」をじっくり狙ってみた。やはり難しい。
 解散の頃にはヒグラシの涼しげな声が響いて、残暑が和らぐのもそう遠いことではないと予感させた。
2007年
8月19日(日)

高麗山
神奈川県平塚市
 平塚市では17日(金)に夕立があり昨日も雨が降っていた。今日も曇りがちで雨も降るような予報だったはずなのに、昨日の天気予報では晴れて暑いという。久しぶりに里山をじっくり・・・と考えていたが、先週と同じように高麗山を早朝の短時間だけ歩くことにした。
 晴れて陽射しが強いものの気温はあまり高くなく、時おり吹く風も涼しくて気持ちがいい。歩き始めていきなり目に留まったのはひと塊のツクツクボウシタケだった。改めてセミの鳴き声を聞くと、もう何匹ものツクツクボウシが鳴いていた。掘り返すのはためらったが、これがすべて一匹から生えているのか気になった。なんと3センチもある大きな幼虫からすべてが出ていた。
 真っ白いカサのベニタケが1本だけ生えていた。ヒダが淡いクリーム色をしているのでシロハツモドキだろう。ヒダの間には脈連絡が見られた。
 斜面の一角にとても小さなじょうご型のきのこが群生していた。短い柄があって外側は白く、内面は淡い黄色になっている。朽ちて褐色になってしまったのもあったので多分きのこだろうと、メモ程度のつもりで撮影した。何科になるのかも分からなかったが、フィールド図鑑を見ていてフウリンタケ科のエツキヒメサカズキタケによく符合することが分かった。初めて見る種類だった。
 他にいい状態のものが見つからないので、いい状態の変形菌ムラサキホコリを撮影して、暑くなってきたので引き上げた。
2007年
8月18日(土)

富士山北麓・南麓
山梨県鳴沢村
静岡県富士宮市
 先週は富士山南麓だったから次は北麓でビバークと決めていた。気温は異常なほどに高くなったので、少し標高の高い場所を選んでみた。例によって軽い朝食の後、早朝から探索開始。濃い霧に混じって時おり雨が落ちてくる。
 歩き始めてすぐに読みが外れたことが分かった。全くきのこが見えないのだ。やっと見つけたのは小さなホウキタケの仲間で、枝先をよく見ると「ねずみ足」に近い形だがホウキタケとは色が違う。とても小さいがそれでも絵になるきのこだ。
 そのすぐ近くに枯葉の間から白いカサの極小菌が出ていた。記録だけと思って撮影してみると、カサの表面に網目状の凹凸が見えた。ルーペで裏側を見るとなんと管口になっている。うかつにも根元をチェックしなかったが地面から生えているようだった。
 雨が降っているので草や苔は濡れているのだが、その下の地面は白っぽく乾いている。これではいくら歩いても期待できないので、まだ時間が早いうちに南側へ移動することにした。
 南麓のブナの大木がある森を歩いたが、ここもあまりいい状態ではなかった。それでも倒木からはいろいろ出ているので丁寧に探してみた。ツノフノリタケがたくさん生えている近くに、ずいぶん赤い色のものが見つかった。その姿からすぐに冬虫夏草だと分かった。木を掘り起こしてみるとうまい具合に割れて、中の幼虫が姿を現した。図鑑の絵合わせでベニイロクチキムシタケらしいことが分かった。幼虫の長さは2センチほどあった。
 もう少し大き目の被写体はないものか・・・と探していると、とてもきれいなツエタケが見つかった。色合いは地味だが姿はそれなりに迫力がある。カサの表面も独特の模様がきれいだ。
 やっと富士山らしい群生を発見した。倒木上にびっしり並んだスギタケモドキだ。まだどれも幼菌で、トゲだらけのカサが美しい。少し大きめのものを選んで構図を工夫してみた。
 最後にちょっと嬉しい種類を見つけた。硬質菌なのだがややまれな種類で、表面の鮮やかな黄色がよく目立つきれいなきのこサジタケだ。柄があって名前の通り「匙型」にカサを広げる。
 酷暑の日々がようやく終わりまとまった雨も降ったから、これからは里山も期待できるかも知れない。
2007年
8月12日(日)

高麗山・地獄沢
神奈川県平塚市
 早起きして涼しいうちに短時間の探索を・・・と、早朝から地獄沢を歩いたが、初めの1種を撮った時点ですでに汗だく。昨日が「天国」のようだったから、まさに今日は地名通りだ。
 地面は乾いていて新鮮なきのこは何一つ見つからないが、状態のいいベニタケ属が1本あった。緑色のカサは数種類あって見分けが難しいが、周囲にはっきり条線が見えるのでクサイロハツだろうか。ヒダは蜜で白色。柄も白色で根元が細くなっていた。
 あちこちの倒木や落ち枝にアミスギタケがたくさん生えていた。きのこが少ないときにいい被写体になってくれる1種だ。まるで全体のバランスを意識して生えているのかと思うほど、それぞれの大きさや配置がいい構図になっている。
 太い倒木に明るい褐色の大きなカサが群生していた。以前にも同じ木で群生を見ているからすぐにハチノスタケだと分かったが、小枝に生える小さなタイプとはあまりに雰囲気が違うので同種でいいのかと疑問に思う。
 斜面に倒れ掛かった細い木から、灰色の小さなきのこが出ていた。とても状態が良かったので今日の貴重な被写体だとじっくり撮った。カサに並ぶ鱗片やヒダの色などからハイイロイタチタケではないかと思うが、それにしては柄が細くずいぶん小さい。大きさは同定の決め手にならないのだ・・・と、自分に言い聞かせる。
 歩いていると数歩ごとに足元からセミが飛び立つ。アブラゼミやヒグラシなどはもう盛期を過ぎているらしい。・・・となると、そろそろツクツクボウシの羽化が近い・・・と、探してみると、やはり出ていた。冬虫夏草の1種、ツクツクボウシタケだ。オレンジ色の柄に白い粉が付いている。
 2時間足らずの探索でもかなり消耗が激しいことを実感した。
2007年
8月11日(土)

富士山南麓・西臼塚
静岡県富士宮市
 天空にかかる天の川に「夏の大三角」が輝き、偶然にもペルセウス座流星群のピークだったため大きな流れ星も2つ見えた。昨夜に出発をして久々の西臼塚ビバーク。雄大な大自然のふところに抱かれてゆったり眠る。そして、目覚ましのコーヒーを飲んで早朝から探索を始める。猛暑日や熱帯夜の続く下界を離れて、まるで天国のような快適な時間を過ごせた。
 散策路をたどって歩いたがあまりきのこが見当たらない。そこで以前、西臼塚に登って面白かったことを思い出して小さな噴火口の外周を歩いた。すぐにいい形のコガネヤマドリが見つかった。やはりこれは柄が太いどっしりした姿が絵になるが、なかなかそういうタイプに出会えないものだ。
 撮り終えて一息入れていると、そこへ登ってきたのが「遊々きのこ」のフジタケさん。2度目の偶然に行動パターンが似ているのかと思ったが、そうではなくて彼の庭へお邪魔しているようなものだと気づいた。もちろんその後は「庭の主」のきのこ目を頼りに一緒に歩いた。
 するとすぐにとてもきれいなキイロスッポンタケが見つかった。今までグレバのなくなったものばかりだったので何カットも撮影したが、次々にハエが集まってくるのが愉快だった。
 朽ちた倒木にフチドリベニヒダタケが出ていた。ヒダを覗き込んでも縁取りが見えないようだったが、後で写真をみるとわずかに写っているのが確認できた。それにしてもこの独特の模様はどうしてできるのだろうか。
 2001年にこの場所で見つけた珍種、ナガエノニカワアナタケ(仮)がちょうど今ごろだったので念のためチェックしたら、わずかに2本だけ見つけることができた。細い根のような菌糸が地中深く伸びていて発生源が不明のままだが、とても深くて細いので掘り起こす気になれない。
 フジタケさんが最初に見つけていたミミブサタケへ案内してもらった。午後には別の場所でも群生しているのを見つけた。今まで見たものより肉が薄く色も違うように思ったので別種のような気がしたが、小型のものはこんな感じになるのかも知れない。あるいはもう1種のオオミノミミブサタケだろうか。触れると大量の胞子を噴き出すが、撮影することはできなかった。※後日、オオミノミミブサタケと分かった。
 ハナガサタケのみごとな一群を見つけることができた。カサのササクレがきれいに揃っていて、恐らく本種のベストショットになるだろうと何枚もシャッターを切る。なかなかこんないい瞬間には出会えない。
 もう1種、富士山らしい迫力のあるきのこが見つかった。ミズナラの根を取り囲むようにオオミヤマトンビマイが生えていた。やや赤味のある厚いカサが何枚も重なって、ダイナミックな生え方をしていた。
 昨夜、着いた時の気温が16度。日中もほとんど汗をかくことがなく、撮影を堪能することができた。
2007年
8月 8日(水)

4日の不明菌・続報
 4日(土)に富士五湖の西湖にある「野鳥の森公園」で見つけた、朽ちたきのこに生えたヤグラタケのようなきのこが、かなりまれな種類であることが分かってきた。キシメジ科ヤグラタケ属のナガエノヤグラタケの可能性が大きい。
 ヤグラタケに2種あることも初めて知ったが、その特異な生態も面白い。ヒダでは普通の胞子を作らず、かと言ってヤグラタケのようにカサの組織が厚膜胞子になることもない。検鏡していただいた結果、ヒダの組織がとても面白い形の厚膜胞子になることが確認できた。
 日本新菌類図鑑によると「熊本県で採取」とあるが、関東などでも観察されているようだ。
2007年
8月 5日(日)

新治市民の森公園
神奈川県横浜市
 もう分かったから・・・と思っても「明日は暑い」と天気予報が何度も念押しをしている。こういう日のきのこ観察はせめて曇り空で風が吹いて欲しいと思うのだが、不幸にも行楽日和となってしまって歩くだけで汗が噴き出す。
 それでもメゲずに奇人8人が集合して探索を開始した。そして早くも駐車場で最初のきのこを発見。車止めの脇材から生えたミドリスギタケだった。カサの上の鱗片があまりなく平滑だったが、赤錆色の胞子を被った独特のオレンジ色のツバが決め手になる。
 みんなの意見が一致して日陰の多い尾根筋コースを進むと、カサの縁に紫色が残っているきのこが見つかった。種名が分からないまま撮影して、採取してみるとヒダや柄に紫色のシミが出ていた。カサが乾いて本来の姿ではなかったが、これはトビチャチチタケのようだ。あまり見かけない種類だからぜひヌメリのある姿を撮りたいものだ。
 少し前に比べるときのこの数が極端に少なくなっている。いわゆる「夏の端境期」に入ってしまったのだろう。被写体になるきのこが見つからない。ようやく斜面の高いところに小さなノウタケを見つけた。
 こうなると「きのこ目」はミクロになって行く。朽ちてボロボロになった木の断片から真っ白な細いきのこが生えていた。「純白の極小菌」・・・極めて撮影が難しいためいつもならやり過ごすところだが、よく見るとガラス細工のような細い柄にしっかりコップ状のツバが付いている。最もいい状態だったので撮っておくことにした。キツネノカラカサ属だと思うが種名は分からない。
 今日はあまりいい状態のきのこが見つからなかったが、いろんな種類の変形菌を見ることができて興味深かった。肉眼で見る限りでは「不気味」と感じるものも多いが、ルーペを使ってミクロの世界へ入り込めば驚くほどきれいなシーンを見ることができる。今日見かけた中ではススホコリだと思われる黄色い変形菌が状態が良かった。そして偶然にも長時間露光をしたために、菌が動いているシーンを撮ることもできた。現在の分類ではきのことは縁が遠い存在だが、被写体としては面白いのでこれからも追いかけたい仲間だ。
2007年
8月 4日(土)

西湖・野鳥の森公園
山梨県富士河口湖町
 台風5号が日本海へ抜けて東へ向かっているため、南からの湿った空気が吸い寄せられてとても蒸し暑い。そろそろ避暑を兼ねて富士山へ行きたいが、まだ標高の高い所では早すぎる気がした。となると、面白そうなのはやはり樹海だ。先月行った「野鳥の森公園」で、時間の都合で引き返した所よりさらに奥をメインにたっぷり歩いた。
 今日いちばん目に付いたのはチチタケだった。あちこちに新鮮なものがたくさん出ていた。丸くて黒っぽい幼菌から直径10センチほどもある大きな成菌まで、ピークを迎えている様子だった。
 苔が盛り上がった上からきれいなアケボノアワタケが1本だけ出ていた。赤い粒点がある柄や少しワイン色を帯びた灰色のカサ、そしてきめの細かい柔らかな管口など、本種の典型のような姿だった。
 ベニタケ科の白い仲間を見つけた。苦手なグループだ。あまりきれいとは言えない生え方が多いのでカメラを向けることが少なく、それが理由で種名も見分け方もイマイチよく分からない。1種はヒダが粗くてとても辛い乳が出るのでケシロハツかと思ったが、カサに褐色のシミがあることとカサ表面に毛がないようなのでツチカブリモドキの方だろう。
 もう1種は乳が出ないのでベニタケ属なのだが、図鑑を見てもこんな淡い褐色のカサが見当たらない。シロハツモドキかとも考えたが、ちょっとスマート過ぎる。堅くてしっかりしたカサだった。
 樹海らしい1種を見つけた。カサの表面に焦げ茶色の鱗片が放射状に広がり、裏の管口も独特の放射状パターンが見える。ベニハナイグチだ。名前の「ベニ」が似合わないが、幼菌の時はキノボリイグチに似た赤い色をしている。
 被写体として華やかなタマゴタケやアカヤマドリはもうピークが過ぎたようで、あちこちで無残な老菌を見かけた。タマゴタケはわずかにまだきれいな幼菌やカサを開ききった成菌があって、いい被写体になってくれた。
 タマゴタケを撮り終えた時、真っ黒になったきのこの上に小さな白いカサが見えた。ヤグラタケだろうと思ったが、カサが尖っていてまったく雰囲気が違う。よく見るとどうやらアセタケ属のきのこのようだが、こんなヤグラタケのような生え方をする種類は記憶にない。しかし、仮称をつけるなら「ヤグラアセタケ」と、とても分かりやすい。採取してみたが果たして何か分かるだろうか。
※後日、検鏡していただいた結果、かなりまれな「ナガエノヤグラタケ」らしいことが分かった。(8月8日に続報掲載)
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