今日はどこまで行ったやら・・・


2007年
9月
現在へ
2007 2006年へ 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2008年へ

2007年
9月30日(日)

高麗山・地獄沢
神奈川県平塚市
 予定していた横浜市内の「茅ヶ崎生態園」での「親子きのこ観察会」が、あいにくの雨のため中止になってしまった。
 ここ平塚も昨夜から雨が降り続いていたが空は明るいので、そのうち小降りになるだろうと地獄沢へ向かった。梅雨前に新調したレインウェアに、一度は袖を通して着心地を確かめておこうという妙な動機もあった。
 傘を差して歩き始めると道沿いにたくさんのクロハツが並んでいる。ここは毎年ヤグラタケがたくさん出る場所だが、今のところ幼菌も見えなかった。今からヤグラタケの胞子がそれぞれに載るとも思えないので、一帯のクロハツにはすでに組織内にヤグラタケの菌糸が入っているのだろう。
 斜面にきれいなカサを見つけて、下の面が白く膨らんでいるのでイグチの仲間だろうと思った。よく見るとまだ内被膜がヒダを覆っている状態だった。カサの表面に細かなシワがあることからヤナギマツタケだと思われる。
 タブの倒木からヌメリのある白いきのこがたくさん生えていた。ヌメリツバタケだ。透明感のあるカサが光っていて本種らしい姿を見せていた。
 シダの葉の陰で薄暗くなったところに、何やら赤い丸いものが並んでいた。よく見るとベニチャワンタケモドキの幼菌だった。直径1〜2センチの小さなものだが、葉を払って明るくすると鮮やかな色が現れた。
 ここまでやると「変人」の一線を越えて、「狂人」の域に踏み込んだのではないだろうか・・・と、やや不安に駆られながら1時間で探索を終えた。
2007年
9月26日(水)

富士五湖周辺
山梨県富士河口湖町
 遅めの夏休みを取っていたので、先日フジタケさんに案内していただいた場所を歩いてきた。第一目的は24日の「遊々きのこ」に載ったヒゴノセイタカイグチに会いたかったのだが、自分の目で見つけようと頑張ったのが裏目に出て見つけられなかった。
 それでも山は一気に賑やかになって、ずいぶんたくさんの種類に出会うことができた。
 歩き始めていきなりいい状態のシロヤマイグチを見つけた。幼菌の間はカサが褐色を帯びていて、やがて全体が真っ白になる。柄に黒い粒点がないので分かりやすい。
 白の次は黒、ウラグロニガイグチだが、恐らく本種の最大クラスだろうと思うものもあった。カサの上に凹凸があって直径は15センチを超えていた。
 あちこちに色鮮やかなタマゴタケが出ていて、最も撮りごろの状態をいくつか選んで撮った。卵形の幼菌もたくさんあったので、まだしばらく見られるだろう。
 大きなウラベニホテイシメジが7〜8本まとまって生えていた。真っ白い太い柄に均整の取れた三角のカサを広げて、銀色のカスリ模様や楕円の斑紋がくっきり確認できた。この姿なら有毒のクサウラベニタケと間違える心配はないだろう。
 目当てのきのこには出会うことができなかったが、ずっと見たいと思っていた種類を見つけることができた。いままで典型のタケリタケを見たことがなかった。図鑑によって宿主となるきのこの種類がマチマチだが、これはカサの部分の様子からテングタケ科ではないかと思う。高さは約10センチだった。ヒポミケスキン科の菌糸に寄生されてこんな形になってしまうのだが、カビなどの数種が混在しているとも言われている。
 上り坂ではまだ汗が流れるが、吹き抜ける風は乾いていて気持ちがいい。一雨ごとに季節が進んでいくだろう。
2007年
9月24日(日・祝)

高麗山・湘南平
神奈川県平塚市
 3連休の最終日はリンクHP「ちょっと道草〜きのこ道」のUさんご夫妻と地元高麗山を歩いた。そろそろルリハツタケの姿が見られるかとご案内したが、今年はきのこ全般に1〜2ヵ月のズレがあるようなのでまだ出てなかった。
 小型のきのこが多くだんだん「きのこ目」がミクロになって行く中、斜面の上に白い大型菌が目に入った。下からよじ登るのはちょっと難所だったので、つづれ折りになった上の道から下りていった。1列に5本並んだ大きなシロオニタケだった。5メートルほどの間に幼菌から成菌まで立っていたが、1枚の画面に納めるには無理があった。
 ヒダにやや赤味のあるクロハツが生えていて、ヒダの数も少し多いように思ったので、気になって変色を確かめてみた。かなり遅く赤変してそのまま黒くならないように見えた。ついに高麗山でニセクロハツを確認かと思ったが、散策が終わる頃には黒くなっていた。しかし、2年連続で死亡中毒が出ているので、慣れていてもクロハツを食べるのは止めるべきだろう。
 午後は自称「テングタケ通り」へ向かったが、遊具のある斜面で見慣れない種類が見つかった。カサの表面にヌメリがあり柄にはササクレ模様がある。付近に柄まで強い粘性に覆われた幼菌があったのでヌメリカラカサタケだと分かった。今まで針葉樹林内で見ることが多かったが、ここは周囲すべて広葉樹だった。
 まだこの時季にドクツルタケの仲間がたくさん生えていたが、散策路脇にはタマゴタケもあった。白いツボから出たばかりの幼菌も見つかった。
 何度かコフクロタケを見ているポイントをチェックすると、大小取り混ぜてたくさん生えていた。そして、強い雨で流された結果だろうか、散策路に沿って延々と疎らに生えていた。中には本種と思えないほどの束生する姿もあり、タップリ撮影を楽しむことができた。恐らくコフクロタケのもっとも美しい姿ではないだろうか。
 夕方近く探索を終える頃に雨が降り始めた。時どき晴れ間が見えながらも汗の流れ落ちない季節になり、疲労の度合いが全く違うことを実感した。
2007年
9月23日(日)

高尾山
東京都八王子市
(神奈川キノコの会勉強会)
 平塚市から高尾山へは直線距離はそう遠くないのだが、交通の便はかなり悪い。少し遅れても大丈夫なのでのんびり出かけたら、ちょっと電車の選択を誤って大幅に遅れてしまった。おまけにいつも持っている撮影の日除け用の傘も、今日は晴れてないからと置いていったらなんと雨が降り出した。あれは雨傘だったのだと改めて認識した。
 で、結局300円のビニール傘を買ったものの、時間がないので山には登らず付近を歩いた後、鑑定会に参加した。
 スギの根元に黒っぽい丸いカサが見えたが、水滴が付いていて種類が分からなかった。ひとまず撮影していると、すぐ付近にも少し開いたカサが見えた。どうやらナカグロモリノカサのようだ。被膜がヒダを覆っているが柄から離れているので、ツバが柄に残りにくいことがよく分かる。
 赤土の斜面には数ミリから最大でも1センチという、小さなアシボソノボリリュウタケが群生していた。子嚢盤が反り返ってちょうど円盤状になったものがいくつかあった。
 鑑定場所の付近ではキヒダカラカサタケが生えていた。かなりまれな種類だが、発生周期があるようで今年は多いらしい。
 鑑定会では高尾山をよく知る人が驚くほど、大型のイグチの仲間が採取されていた。雨と気温の変化で多彩な種類が一気に出そうな予感がする。
2007年
9月22日(土)

富士山北麓
山梨県富士河口湖町ほか
 まだ暑いというから、また富士山へ逃げた。先月、ほとんど何も見つからなかった北麓も少しは様子が変わっているに違いないと、1,600mあたりから高度を下げながら探索した。
 最初のポイントでたくさん見かけたのは、並んで生えるのが特徴のサクラシメジ。2004年にはこの場所で8月末に見ているから、ちょうど1ヵ月遅れている感じだ。
 同じようにハナホウキタケの仲間もあちこちに出ていた。一番いい形のものはなんと、溶岩樹型の太い穴の向こう側に生えていた。三脚を渡してまるで綱渡りのような撮影で、カメラや小道具を落としそうでヒヤヒヤだった。
 いろんなイグチの仲間も見かけたがいい状態のものは少なかった。新鮮なドクヤマドリの幼菌が1本だけ出ていた。特にはっきりした特長がないイグチだが、意外に似た種類がないので同定はしやすい種類だと思う。
 苔の周囲に鮮やかな黄色のキンチャワンタケが並んでいた。独特の膨らんだ白い柄の上に黄色いチャワンを載せている。きれいな群生を見たいと思っているのだが、今回もそんなシーンは見つからなかった。
 その次は赤いカサのきのこだ。フウセンタケ科のササタケ属にヒダの赤い種類がいくつかあるが、これはその中でもカサの上まで赤い種類。名前もズバリ、アカタケだ。カサの周縁部に粉状の鱗片があり、柄は繊維質で上の方が色が明るい。
 麓の「西湖・野鳥の森公園」まで降りてくると、気温もかなり高くなり暑い。短時間だけ溶岩樹海の散策路を歩いた。
 また、アカヤマドリがあちこちで元気な姿を見せている。まるで脳のような姿のカサがユニークで不気味なスタイルだが、きのこ狩りでは好まれる種類の食菌だ。カサの直径が20センチ以上にもなる大型きのこで、1本だけでも十分な収穫になる。
 カサが真っ黒なイグチの仲間を見つけた。まるで黒いベルベットのようなカサで全く光を反射しない。柄は全体に黒い網目があり上の方が明るい。クロアワタケよりもっとカサが黒いとされるオオミノクロアワタケになるのだろう。もっと大きくカサを開いてもう少し淡色になるようだ。
 いよいよ明日が彼岸の中日。暑さが終わる日であることに期待したい。
2007年
9月17日(月・祝)

四季の森公園
神奈川県横浜市
 今年も今日から4週間、10月14日(日)まで県立「四季の森公園」のビジターセンターで「きのこ写真」を展示する。いつもの定点観察の仲間10人が自慢(?)の写真を出展した。(「四季の森公園」へご訪問の折はぜひビジターセンターへ立ち寄りください。)
 展示作業を終えた後は例によって公園内を散策。そろそろまた、あの超危険なきのこが出ているのではないかと行ってみると、予想通り4〜5本のカエンタケが生えていた。とにかく他のきのこの毒とは全く異質の成分で、触れても危険な場合もあるらしいので安易に扱ってはならない。
 立ち枯れたエゴノキの根元に直径15センチ近い大きなカサを見つけた。表面は滑らかで特徴がない。ヒダは真っ白で柄には全体に黒っぽい細かな粒点が見える。これはオオツエタケだ。まだ仮称種のようで、これだけ大きくて特徴的なきのこが最近の図鑑にも載らないということは、よほど発生地域が限られているということだろうか。幼菌が面白い表情だったのでクローズアップしてみた。
 枯葉に埋もれるようにして新鮮な黄色いカサが見えたので撮影したが、名前が分からない。ベニタケ属だと思うのだが柄もヒダも黄色いので思い当たる種類がない。断面の標本写真を撮っておいたが、やはり特徴はベニタケ属になりそうだ。
 今日も暑くて疲れたので早めに切り上げることにしたが、車に戻るコースでナラタケモドキを見つけた。やや古くなっているが本種らしい姿でいい写真が撮れた。
 今日も数種類の変形菌を見つけたので、いい状態のものを1種載せておく。細い柄の先に、まるで押しつぶしたようなひび割れのある黄色い球体を付けている。図鑑でイタモジホコリだと分かった。球体の直径は0.5ミリほどの色のきれいな変形菌だ。
 園内には白花のヒガンバナがたくさん咲いていた。秋が待ち遠しい。
2007年
9月16日(日)

高麗山⇒きのこ展
神奈川県平塚市
東京都八王子市
 今日は神奈川キノコの会の勉強会の日だったが、八王子市で開かれている「きのこ展」(東京きのこ同好会)へ行く予定にしたので欠席をした。昨日、雨の中をタップリ歩いたのも体力的に堪えていた。
 そこでまた、早朝の短時間だけ高麗山を歩いてきた。歩き始めた頃は涼しくて気持ちが良かったが、8時を過ぎると海から吹き上げてくる風がまるで熱風のようで一気に気温が上がり始めた。
 尾根筋をたどると、まず目に留まったのがアカキツネガサ。高麗山ではカサが大きくてきれいなものをよく見かける。枯葉の多い斜面が好きなきのこらしくて、いつも撮りづらい場所で見つける。
 枯葉の間から褐色の小型菌が束生していた。見たところホウライタケ属の感じだったので、またきっと名前が分からないだろうと思いながら撮影。後でヒダを見てみると、なんとピンク色を帯びている。ルーペで見るとピンク色の胞子がヒダに残っているのが見えた。これはイッポンシメジ属の方だった。
 大きいきのこが2本並んでいた。柄を見ると全面に網目模様があった。かなり老菌ではあるがヤマドリタケモドキだ。これは初夏に多いきのこだから、夏へ逆戻りした・・・と言うより、また夏が始まったと言うべきなのだろう。
 最後に大きな赤いきのこを見つけた。こんな目立つきのこを行く道で見落としていた。柄の上部に筋状の赤い粒点があり、柄の根元がかなり太い。これはオオウラベニイロガワリだ。去年なら「アメリカ・・・」としていたところだが、ようやく見分けが付くようになった。
 午後遅くに八王子市で昨日から開催されている「きのこ展」を見に行ってきた。たくさんの写真とたくさんの実物展示は、とても興味深く面白い。会員の方のきのこ写真は2月の私の講演が功奏したのならとても光栄なのだが、どれも個性的できれいな力作だった。展示は明日17日の17時までで、2年に一度の開催とのことだった。
2007年
9月15日(土)

富士山南麓
静岡県富士宮市
 「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったものだ。朝夕は少し凌ぎやすくなったが、相変わらず残暑が厳しい。まだ日中は夏日になるというので、やはり今週も富士山へ避難した。
 どうしても富士山へ行きたい理由がもう一つあった。特に珍しい訳ではないのになかなか出会えない種類がいくつもあるが、そんな2種類が同じポイントで見られると「遊々きのこ」のフジタケさんに教えていただいた。
 まずその1種、クチキトサカタケだ。ブナの倒木に生える子嚢菌で不定形のくさび型がユニークだ。日本固有種、つまり日本でしか見ることができないきのこなのだ。
 その同じブナの倒れていない方の根元に、褐色のこぶ状のものが並んでいて、以前から見るたびに気になっていた。表面をルーペで見ると細かな粒が一面に見える。これも子嚢菌の仲間のようなので標本撮影をして調べてみると、「日本のきのこ」に載っているオオボタンタケにとてもよく似ている。これも日本固有種らしい。
 もう1種撮りたかったのはムカシオオミダレタケだが、教えてもらった場所へ向かう頃から雨が本降りになった。仕方なく傘を差しながらの撮影となったが、とても暗くなりレンズの水滴に気づかなかった。
 撮影を中断して車で雨宿りをしていると、1時間ほどで青空が見え始めた。場所を変えて西臼塚の散策路を歩くことにした。フジタケさんが撮っていたトンビマイタケの群生が見たかったからだ。
 もうかなり老菌になっていたが、それでもブナの根を取り囲む生え方は迫力満点だった。ほとんど裏が黒くなっていたが、まだいい状態のものも撮ることができた。
 すぐ近くの倒木には小さな褐色の盤菌が並んでいて、よく見るとアラゲコベニチャワンタケに似た種類だった。円盤の周囲に長い剛毛が生えている。この仲間は似た種類がたくさんあるようで、まだほとんど名前が付いてないらしい。
 ヒノキの根際に真っ赤なカサを見つけた。暗い影の中で撮影に苦労したが、カサの表面がビロード状なのでアカヌマベニタケのようだ。
 また雲行きが怪しくなってきたので引き上げることにした。帰路、たわわに実った稲田のあぜに咲き始めのヒガンバナを見た。「彼岸」までもう少しだ。
2007年
9月 9日(日)

富士山南麓・太郎坊
静岡県御殿場市
(神奈川キノコの会勉強会)
 例年のように仲間3人を平塚駅で乗せて、午前7時半に意気揚々と出発した。ところがなんと15分も走った頃、昨日車検を受けたばかりの愛車「竹ベンツ」がトラブル。バッテリーランプが点灯したかと思うと、見る見るサーモメータが上昇してまもなくラジエターが沸騰。コンビニに停車してチェックするとファンベルトが切れてなくなっていた。
 仕方なくJAFと整備会社へ連絡して、レッカー車で戻って代車を借りて再出発。すでに9時半。現地へは11時に到着したが、ちょうど鑑定会が始まるところだった。
 あまり大物はなかったがそれでもたくさんの種類が採取されていた。物足りなさを覚えながら眺めていると、フジタケさんが大物を見せてくれた。来る途中に寄ったポイントで見つけたという大きなエゾハリタケだった。直径が4〜50センチもあり2Kgほどあった。もう一つあったというので、解散を待ちかねるようにして仲間を誘って急いで向かった。不運にも天候が悪くなり、濃霧に包まれた。
 ポイントに着いた頃は少しマシになり、まさしくピンポイントで見つけることができた。カエデの大木に生えた大きなエゾハリタケは、深い霧の中でもしっかり存在感があった。
 付近ではきれいなコガネヤマドリがいくつも生えていたが、これもまたちょっと季節がずれている感じがした。
 帰路もうまく渋滞を逃れることができて、出だしの大トラブルの割には充実した楽しい日だった。
2007年
9月 8日(土)

富士五湖周辺
山梨県富士河口湖町
 台風9号は6日深夜に小田原市に上陸して、大量の雨を降らせながら北へと縦断して行った。十分すぎるほどの慈雨を得て多種多様のきのこが出るに違いない・・・と期待して、「遊々きのこ」のフジタケさんと富士五湖周辺を探索した。
 ところが、いったいどうしたことか全くと言うか、むしろ「お見事」と言いたくなるほどきのこがない。「日照りの後の急な雨でまだ目を覚ましたばかりなのだろう」などと勝手な理由を付けてみる。
 それでも今回の目当ての一つだったものは見つけることができた。開けた林床に一直線に並んで生えていたシロアンズタケだ。名前はアンズタケだがラッパタケ科のきのこで、老菌になると放射状に裂けてしまう。
 斜面にクチベニタケが群生していた。広島や関西では普通に見られたが、関東に来てから初めて見た。これは別種とされるホオベニタケになるのかも知れない。
 落ち枝に新鮮なロクショウグサレキンモドキが出ていた。柄が中心からずれているものが多いのでモドキが付く方だ。何度見てもこの仲間は不思議な色をしている。
 明日も富士山南麓で「神奈川キノコの会」の勉強会があるが、標高が高いことと「目を覚ました翌日」に期待しよう。
2007年
9月 2日(日)

新治市民の森公園
神奈川県横浜市
 昨日、この公園で16人もの人がハチに刺されるというニュースを見たので、今日の定点観察会は場所を変えることも検討した。しかし、狭い範囲での出来事だろうから心配ないと決行した。
 探索を始めるとみんなそんなことはすっかり忘れたように、いつも通りのコースできのこを探していた。・・・が、よく雨が降った割には目立つきのこは少なかった。
 ようやく新鮮な姿で見つかったのは赤いカサがきれいなコウジタケだった。名前の「コウジ」は麹のような甘い香りがするからで、食用になるのだがあまりまとまって生えるきのこではないようだ。
 そのそばに落ち葉から生える小型のきのこがあった。柄が黄色い微粉状で根元が太くなっているので、第一印象はワサビカレバタケだったが、カサがビロードのようで色が濃くヒダも黄褐色だったので自信がなくなった。しかし、図鑑ではヒダが黄色味を持つこともあるようなので、名前の通り辛ければ間違いないだろうとカサをかじってみた。人によって感じ方に差はあったが、私はいきなり舌先にぴりぴりする辛さを感じた。はやり始めの印象でOKだったようだ。
 道の真ん中近くに柄の長い、弱々しそうなきのこが生えていた。発見者がカサの周囲に黒い縁取りがあると言うのでよく見ると、極めて薄いカサの周囲から黒く溶けているようだった。種名は分からないがヒトヨタケ属の仲間であることは確かだ。
 落ち枝から1本だけカサの反り返った小型菌が生えていた。柄は黒っぽくて堅く垂生するヒダは枝分かれした脈連絡が見えた。これはサカズキホウライタケのようだ。カサの表面には独特の放射模様が見える。
 今日も数種類の変形菌を撮った。図鑑で見る美しいミクロの世界が、こんな身近なところにあったことに改めて驚いた。今まで肉眼レベルでの気持ち悪さでずっと見過ごしていたということだ。今日の印象的な変形菌はパイプのような姿に見えるエダナシツノホコリだ。
 探索コースの一番最後に「ハチの巣あり」のロープがあり、改めて思い出したような感じで何も影響はなかった。
2007年
9月 1日(土)

富士山南麓
静岡県富士宮市
 今年も残すところ・・・と言うのはまだ気が早いが、それでももう3分の2が過ぎてしまった。記録尽くめの猛暑だった8月が終わると、いくぶん陽射しも穏やかさを取り戻しつつある。しかし、まだ汗まみれの撮影は敬遠したいので、やはり足は富士山へ向いてしまう。
 1,600mの高鉢駐車場から探索を始めて、次第に高度を下げながら移動していった。
 高鉢ではほとんど被写体になるようなきのこを見つけられず、一つだけいい形で生えていたサンコタケを撮った。しばらくハエが来るのを待ってみたが、やってきたのは小さなショウジョウバエ1匹で絵にならなかった。
 西臼塚の付近ではいろいろ面白い種類を見つけることができた。太いヒメシャラの木の根元にひときわ目を引く生え方をしているきのこがあった。遠くからの印象はナラタケのようだったが、近づくとカサに鱗片はなくかなり黄色味が強い。カサに弱い粘性があり柄が長く繊維状で、上の方にわずかにツバが残っている。これはカオリツムタケのようだ。図鑑にはトウモロコシや石鹸のニオイとあるが、かなり弱くほとんどニオイを感じなかった。
 カラマツの多い明るい林を歩いていると、ひと塊のハナビラタケが目に飛び込んできた。もう時期は終わったかと思っていたので、新鮮な姿はちょっと驚きだった。明るい橙褐色も美しいが、何よりこのヒラヒラと舞うように広がる姿が華やかで美しい。
 ブナの倒木が多いポイントへ移ると、大きな倒木の上にたくさんの小さなカサが覆っていた。どうやらムササビタケの群生のようだ。大きいものでも直径3センチほどで、まさに数え切れないという生え方だ。
 ムササビタケの大群生を撮りながらふと傍らの立ち枯れた木を見ると、地面に近いところにオレンジ色のきのこが見えた。2週間前に見ているから正体はすぐに分かった。冬虫夏草のベニイロクチキムシタケだ。今度は2ヶ所から生えているからいい標本になると期待したが、残念ながら今回は虫の方が貧弱だった。他にもこの付近だけで8個も見つけたので、富士山ではさほど珍しくないのかも知れない。
 ウラジロモミの大きな倒木にとてもよく目立つカサが並んでいた。カサの直径が7〜8センチもある大きなヒロハアマタケだ。くっきりと粗い溝線が広がり、波打って反り返る姿はなかなか面白い被写体になる。老菌になっても華やかできれいなきのこだ。
 今日もたくさんの変形菌を見ることができたが、その中でも特に印象に残ったのがタマサンゴホコリだ。直径1〜2ミリという極小の白い粒だが、クローズアップしてみるととても儚げで繊細な世界が見えてくる。なぜこんな形に・・・などと理屈を考えることがとても野暮に思えてくる。
 午後からは霧が濃くなり雨も落ちてくるようになったので、早めに切り上げて帰途についた。
pagetop