今日はどこまで行ったやら・・・


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2007年
10月28日(日)

大志戸木の実の里
山梨県甲州市
 二十四節季の霜降(ソウコウ)が24日でいよいよ冬が間近いというのに、突然台風20号が発生した。幸い猛スピードで駆け抜けてくれたので、今日は秋晴れのいい天気になった。
 もう山もきのこが終わる頃なので、名残の探索に行ってきた。今回はHPを見ていただいた地元の方からアドバイスをいただいて、大志戸林道を反対側から入れたので先週とは違うコースを歩くことができた。
 最初に見つけたのは「霜降」をそのまま訓読みにしたきのこシモフリシメジだ。これも山きのこの終盤を告げる種類で、小さくてもろいのだがとても美味しいきのこだ。
 シラカバの斜面に差し掛かると大きな赤いカサがいくつも見える。ここ数年あまり見かけなかったベニテングタケだが、例年より1ヵ月ほど遅れてピークを迎えたようだ。残念ながら昨日の台風で白いイボが取れてしまったものが多かった。
 広葉樹の細い倒木に褐色の小さなカサがたくさん並んでいた。同じ木にはチヂレタケも出ていたが、これは形が全く違う。チャヒラタケやヒメムキタケほどのサイズで、カサの表面にふけ状の白い被膜がある。裂いてみるとカサが2層になっていて表面がゼラチン質だった。ヒメムキタケ属ではないかと思うが、こんな色の種類は初めて見た。
 もうほとんど中型サイズ以上のきのこはなかったが、やっと枯葉に埋もれた強いヌメリのカサを見つけた。枯葉を取り除いてみると淡い紫色を帯びた白っぽい柄が現れた。柄にも強いヌメリがある。これはかなり大き目のヌメリササタケだ。
 下山は別の道を歩いたが、そこで最後に思わぬオオモノを見つけた。遠くにヌメリのある大きなカサが見えて近づいてみたら、なんとムレオオフウセンタケの群生だった。きのこ狩りで「ダルマ」と呼ばれる幼菌から、カサの反り返った老菌まで10数本まとまって生えていた。幼菌の一群を撮影しながら、ふと「おろし和え」が食べてみたくなった。手頃な3本を採取して帰り道で青くび大根を買った。
 密かに狙い続けて「今年こそ」と思っていたホンシメジの写真は、今年も撮ることができずに終わりそうだ。
2007年
10月21日(日)

高麗山・地獄沢
神奈川県平塚市
 朝から雲一つない快晴で、抜けるように高い青空がとても気持ち良かった。・・・が、気分がいいのはそこまで。高麗山のふもと高来神社に車を停めて歩き始めたのはいいが、2日前の雨も効果なく全くきのこが見当たらない。
 付近の里山ではナラタケの噂も聞こえていたので、群生が期待できる女坂を登って行った。目当てのタブノキの倒木には何もなくて、変形菌と思われる直径1ミリほどの黄色い粒の塊が見えた。目一杯のクローズアップで撮ると表面が微粉状だ。ふと横を見ると白い柄が伸びているものもある。なんとこれはナラタケの幼菌だったのだ。その後は少し大きめのもあったが、高麗山ではこれからがピークのようだ。
 黒く朽ちた倒木から生えるフサタケを見つけた。たくさん枝分かれをして先端は針のように尖っている。
 地獄沢の堰堤の上にヒラタケの生える倒木があるので行ってみると、遠くから白いカサが2つ見えた。ところが近付くにつれて長い柄も見えてきた。ヒラタケではなく大きなヌメリツバタケだった。また、散策路の橋の下にもぐってローアングル撮影をした。
 車に戻る途中、ウッドチップの道に小さなヒトヨタケ属のきのこが生えていた。幼菌と並ぶ姿が良かったので何カットも撮ったが、図鑑では種名を決めることができなかった。
 渋滞覚悟で富士山へ行くべきだったかと、ちょっと後悔した。
2007年
10月20日(土)

大志戸・木の実の里
山梨県甲州市
 前回、通行止になっていた大志戸林道の反対側の入り口から歩こうと考えた。しかし、結局道が分からず引き返して前回と同じコースを歩いた。昨夜、タップリの雨が降ったのでこの時季の通行止はあまりにも痛い。
 大きな岩が露出した斜面ではハナホウキタケの群生を見つけた。大きくて朽ちたものも含めて、かなり広範囲にたくさん生えていた。色はやや黄色みが強いオレンジ色だった。
 また、種名の分からないフウセンタケ科のきのこをいくつも見つけたが、ヒダが淡い紫色の幼菌があったのでローアングルで撮った。カサは明るい褐色で強いヌメリがあり、柄の根元はかぶら状に膨らんでいる。
 秋らしいきのこを見つけた。全体が黄色い、その名もキシメジだ。「山の金茸」と呼ばれて食用にされているが、よく似た「浜の金茸」ことシモコシに比べると苦味がある。キシメジは広葉樹林に生えることでも区別できる。
 さらに秋らしい・・・というより晩秋のきのこを見つけた。コナラなどの根際に群生するクリタケだ。カサの赤みのある褐色はいかにも栗色で、周囲に綿毛状の鱗片を付けるが開くと落ちてしまう。乾くとカサの表面に放射状のひび割れが現れるのも本種らしい特徴だ。
 多くの種類で発生時期が遅れているため、夏から晩秋にかけてのきのこが同時に生えているような印象だった。
2007年
10月14日(日)

新治市民の森
神奈川県横浜市
 第一日曜にキノコの会の勉強会があったため一週間遅れになった定点観察会だが、雨が少なかったのか尾根筋はかなり乾いていた。
 ほとんどきのこが見つからない中、スギ林に白い小さなカサを見つけた。邪魔な落葉を取り払ってみると、柄にツバが付いているのが見えた。よく見るとカサの中央にわずかに褐色の部分がある。シロヒメカラカサタケだ。日に透けるヒダがくっきり見えたのでレフ板を使わずに撮ってみた。
 竹林ではカラカサタケが生えているころだと探したが、1本だけしか見つからなかった。しかしとてもいい状態だったので、竹林をバックにローアングルで撮った。樹種を選ばずいろんな所に生えるきのこだが、背の高いスタイルは竹林にとてもよく似合う。
 もう1種、この尾根筋を選んだ理由のきのこがある。2年前の10月の観察会で大きな菌輪を描いていたシロケシメジモドキだが、その時はうまく写真が撮れなかった。何とか再チャレンジと探してみると、同じポイントではまだ幼菌が出始めたばかりだった。その後、別のポイントでやや大きめの2本が見つかった。これはキシメジ属のシロケシメジとは違ってカヤタケ属の仲間になる。
 探索も終わりごろ、見慣れない種類が見つかった。とても新鮮な状態で、黄色味の強い褐色のカサは微毛に覆われているようだ。柄に段だら模様が見えたのでテングタケ科かと思ったが、次第にローアングルにしていくと黒いヒダと糸くず状のツバが見えた。今まで見た中でもっとも美形のムジナタケだった。
 探索には申し分のない絶好の気候になったのだから、せめてわずかでも雨を期待したいものだ。
2007年
10月13日(土)

富士山南麓・高鉢
静岡県富士宮市
 今回は早朝出発で富士山へ向かった。南側の1,200m付近は視界が良かったが高鉢駐車場へ着くと深い霧に包まれて、朝8時の気温が5度しかなかった。もうすっかり防寒の必要な季節に変わっていた。
 歩き始めてすぐに倒木上のヌメリスギタケモドキを見つけた。数は少なかったがカサを開き切った新鮮な状態だった。
 少し開けた苔の上にアブラシメジを見つけた。今まで朽ちたものしか見たことがなかったので、カサの溝線状のシワがよく分かるように丁寧に撮影した。よく似た外見が数種あるが、この放射状のシワで見分けられる。
 もう1種フウセンタケ属のきのこを見つけたが、図鑑で調べても名前が分からなかった。カサの上はジェル状の粘液が層になるほどヌメリが強く、太い柄には赤錆色のクモの巣膜が見える。カサの直径が7センチほどのボリューム感のあるきのこだが、こんな強いヌメリの種類はなんだろう。
 ウラジロモミの林の地面に黄色いカサが点々と散らばっている。よく見るとカサの周囲にはフリンジ状に被膜の名残が並び、中央から独特のシワが放射状に広がっている。シワカラカサタケだ。柄に白っぽい粒点があり、その粒がいくつも集まってできたようなツバがある。小型ながらなかなか絵になるきのこだ。
 その付近ではホコリタケが数個まとまって生えていた。今日は何ヵ所かで新鮮なホコリタケを見かけたが、中には直径3センチを超える大きなものもあった。
 昼ごろには晴れ間も見えて、気持ちのいい探索ができた。
2007年
10月 8日(月・祝)

高麗山
神奈川県平塚市
 朝からどんよりと曇り、今にも雨が落ちてくるという雲行きだった。こういう時は散歩がてらに高麗山を歩くに限る。
 昨日の状況から考えてきのこは少ないと予想したが、全くの予想外!「少ない」のではなく「無い」のだ。どんなに目を凝らして丁寧に探しても、極小菌1本見当たらない。雨を予知してきのこを出さないのだろうか。
 やっと見つけた「撮る気」になるきのこは、幅10センチあまりのニクウチワタケ。柔軟な肉質で形や色に変化が多いので、どれが典型なのかはっきりしない。さらに、世界中に分布するのに近縁種がなく1属1種の変わり者だ。
 斜面の土に埋もれて顔を覗かせている、ヒメツチグリ属の幼菌を見つけた。この仲間は幼菌だけで同定するのは難しいが、ある程度は絞り込むことができる。擬宝珠状に尖っているが落葉の積もった場所ではないので、エリマキツチグリではないようだ。表面がひび割れた褐色で毛が生えてないこと、下面が丸く根のような白い菌糸が伸びていることからトガリフクロツチグリではないだろうか。
 撮影しながら考えていたら、とうとう大粒の雨が降り始めた。地獄沢のヤグラタケも気になったが、2週続けての雨の地獄めぐりは止めることにした。
2007年
10月 7日(日)

四季の森公園
神奈川県横浜市
(神奈川キノコの会勉強会)
 10月最初の「神奈川キノコの会」の野外勉強会は横浜市の「四季の森公園」で行われ、気候も変化したのでどんな種類が観察できるのかに期待して参加した。
 風通しの良い斜面では地面が乾いていたので、常緑樹の多い日陰の斜面を歩いてみた。地面は十分な湿り気を含んでいるのだが、意外にもきのこは少なかった。
 最初に見つけたのはアオミドリタマゴテングタケの幼菌と成菌で、かなり新鮮ないい状態だった。幼菌のカサをよく見ると、独特のカスリ模様がきれいだった。
 せせらぎのそばの湿地ではテングタケ科のきのこが3本生えていた。柄にはしっかりツバがあり、明るい色のカサには条線が見える。多分アカハテングタケだろうと覗き込むと、ヒダの淡いピンク色が見えた。和名としてはタマゴテングタケモドキとなっているが、特徴を現すアカハテングタケの方が通りがいい。
 鑑定場所でもやはり採取された数が少なかったが、ダイダイガサが幼菌から老菌までたくさん集められていた。カサの色の濃さも様ざまだったが、このきのこの色鮮やかな幼菌は、やはりやり過ごせない被写体だ。
 明日から天気が下り坂になるようだが、その後がまた楽しみな変化が見られそうだ。
2007年
10月 6日(土)

大志戸・木の実の里
山梨県甲州市
 冷房も暖房も要らない快適な日というのは、一年のうちで本当に短い期間でしかないように思う。10月に入ってかなり過ごしやすくなったので、そろそろ「木の実の里」も賑やかになったに違いないと、まだ見ぬホンシメジにも淡い期待を抱いて行ってみた。
 ところが先月の台風の影響でまたもや道路が封鎖されていた。仕方なく麓に駐車して徒歩で登った。汗の吹き出る季節でなくて助かった。
 雨が少なかったのか地面が乾いていて、目に飛び込んでくるようなきのこがない。それにまだ「夏きのこ」のタマゴタケやシロオニタケの幼菌が見られる。
 枯葉に埋もれて生える白いカサを見つけたが、シロオニタケにしてはイボの先端が丸くわずかに色も付いている。きっとタマシロオニタケだろうと根元まで掘ってみると、なんと次々にきれいなササクレが現れた。久しぶりに見るササクレシロオニタケの幼菌だった。
 あちこちにケロウジが生えていた。小さなコウタケか?と、ちょっと期待してしまうのだが、真ん中が窪まずにササクレも小さい。裏の針が白いことや味が苦いので見分けは簡単だ。
 苔の上に蛍光オレンジのきのこハナガサイグチが生えていた。9月ごろがピークのきのこだろうか、小さくて勢いがなかった。
 階段の木から色のきれいな硬質菌、アオゾメタケが生えていた。成長とともに青い胞子が出るので、きのことしては珍しい青い色を帯びるようになる。
 黄色いカサの幼菌を見つけて、てっきりクリフウセンタケだと思って撮った。ところが根元がかぶら状に膨らみ、ヒダもやや粗い。カサに強い粘性があるのでこれはコガネフウセンタケモドキになりそうだ。後でクリフウセンタケも見つけることができたが、まだまだ群生にはなっていなかった。
 コースの最後近く、そろそろ引き返そうと思っていた時、わが目を疑うようなものが見えた。これは見覚えのあるコウタケの幼菌だ。興奮気味に撮影をしながらふと横を見ると、なんと大きな成菌の株があるではないか。今日一番の「ドキッと」は喜んで持ち帰り、秋の味覚を堪能することにした。
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